殺人マシン雑感 | ドクター鈴木・あめぶろ研究室

殺人マシン雑感

 久しぶりに東海道新幹線に乗った。驚いた。なんと、「喫煙できる車両」が減っているのだ。「ひかり」の自由席5両のうち、タバコが吸えるのは「3号車」だけになっている。以前は4号車もそうだったが、車内放送では、3月18日のダイヤ改正からこのような措置をした、といっている。


 タバコに寛容なJRにしては大英断だな、と思った。


 何しろひかりに乗ったのですべての駅を見たわけではないが、4号車周辺にあった喫煙スペースが少なくともいくつかの駅から消えていた。かなりな前進である。自由席でタバコを吸う人は3号車車内にすし詰め状態となり、「殺人マシン」と化していた。なにしろ、両側の車両が禁煙席だからデッキでも喫煙ができず(以前は、3号車と4号車の間のデッキ、ここには洗面所もあって、喫煙席が満席でもここで立ってタバコが吸えたらしい)、席がない人も3号車通路での喫煙が強いられている。


 いっそのこと、3号車の換気装置を止めてみようと思ったが・・・(空調のスイッチはデッキのくずもの入れの近くにあるやつかな??)。


 いまさらながら私がこのブログでタバコの害、特に受動喫煙について書くことではないほど、皆さんご承知のことだと思う。


 20年前に書いた修士論文のテーマが「屋内浮遊粒子環境」関係、すなわちタバコの煙等を空調装置を駆使して撃退する方法について縷々研究したものである。ある意味、私はタバコの煙研究者の端くれなわけだ。だから、私も皆さんと同じぐらいの知識は持ち合わせてはいる。JR関係の方はこういったことは研究されていないのだろうか…。


 喫煙者が自身の体を壊していくことはある種自業自得なのだが、それでほかの人を巻き込んではいけない。駅のホームの喫煙所など「鉄道会社ぐるみの傷害行為」ではないだろうか。新幹線のホームにもこの喫煙スペースがあるが、その煙は風に乗って、停車中の「禁煙車両」にも流れ込んでくる。臭い!とても臭い。以前東京に出張した際に、中央線だったか(記憶不確か)で、「女性専用車両」が止まるホームの端に喫煙コーナーが設けられているのを発見し、JRに「お前は人殺しか」と苦情のメールを打ったことがある。先が知れている私はまあ我慢するが、妊婦さんも利用するであろう「女性専車両」に煙(や燃焼ガス)が流れ込むようなことがあれば、一度に二人を危めていることになる。


 以前JR九州である特急に乗ったとき、3両編成で、2両が指定席、1両が自由席。で、その1両しかない自由席の半分が禁煙席で半分が喫煙席だった。当然同じ車両だから、禁煙席にも煙が押し寄せてきた。車掌に苦情を言ったら、「指定席に移りますか?」と指定席券を売ろうとしていた。とんでもない対応で、これまた苦情のメールをした。


 話を新幹線に戻す。車内販売が回ってくるが、「喫煙できる車両」を通ってきたワゴンに乗っている品物は何か汚らしく感じる。どんなにおいしい駅弁を売っているにしろ子供には食べさせたくない。鞄からラップトップを取り出して仕事したいが、キーにヤニがつくような気がしてその気になれない。車内ではひたすら臭いにおいを我慢して、本でも読むことに没頭していなければならない。楽しく窓の外を眺めることもできますまい。だいたい、タバコが吸える車両で検札した車掌さんの制服がヤニ臭くて閉口したことがあるぐらいだから、「殺人マシン」の状況がいかばかりか、ということである。


 さて、ひかり号自由席の「タバコが吸える車両」。これが、自由席車両1~5号車の真ん中の3号車であることは何とかならないだろうか。たとえば、4・5号車が満席で1.2号車に空き席を探すときに、「殺人マシン」と化している3号車を通り抜けなければならない。大人はまだ良いが、子供やお年寄り、あるいは妊婦さんもそこを通らなければならない。


 愛煙家の方は「たばこ1本吸うと1円がJRに入る」現在のタバコ税の仕組みを逆手にとって、「新幹線車内での喫煙権」を持ち出すこともあるかもしれない。だったらそれはそれで良いから、「タバコを吸える席」は1号車と16号車、すなわち列車編成としての両端だけにしておいて、隔離してあげたらどうだろうか。車内販売も来ない。あるいは、あえて愛煙家の方の「権利」を尊重して、トイレの近くに「喫煙ブース」でもつくり、5分100円ぐらいの金とってタバコを吸わせてあげればどうだろうか。そこまでされても吸いたい人は吸うだろうし。


 「公共の場所では(屋内屋外とも)タバコを吸わない」ようにすることが一番じゃないかな。なかなか難しい問題ではある。ではそういうことで。