土砂降り | ドクター鈴木・あめぶろ研究室

土砂降り

異常気象だ。太平洋側は総じて空梅雨、他方日本海側は豪雨である。昨年夏の新潟福井の大雨被害を思い出すが、今年はそのような悲しいことの起きないことを祈る。


さて、激しい雨が降ることを日本語では「土砂降り」という。つまり「土と砂」が降ってくる、ということだ。しかし「土と砂」が降ってくるところを見たことのある人は少ない。


大雨が続くと地盤が緩み、「土砂崩れ」が起きることがある。毎年この自然災害で被害を受ける方もいらっしゃる、お気の毒である。これは物理的に「土と砂(岩や石も)」が崩れるのだからイメージどおりの言葉であろう。


土砂崩れには前兆現象がある。地下水位の異常な変化・湧き水の急激な濁り、これは発生の直前に観測される。また土砂崩れ、いわゆる「土石流」が発生すると、その下流では土石が流れてくる前に異常な「風」が流れる。地盤の形状が変化することにより、局所的に気圧のバランスが崩れる。そのためそのアンバランスを解消するために気圧の平衡化現象が発生し、気圧の低いところへ気圧の高いところの空気が動く。今まさに土石流が発生した部分は土砂によって大気が圧縮され気圧が上がる、それをリリースするために風は下流(これから土石流が進んでいく方向)へ押しやられていく。土砂が動く速度よりも風が動く速度のほうが早いため、下流ではその発生をわずかではあるが事前に察知できる。この「風が来てから土石が来る」までの数秒の間に逃げられるかどうか、で、人生が大きく変わる場合もある。


さて、その土砂降り。英語ではなんと言うか。


It rains cats and dogs.


猫と犬(しかも複数!)が雨といっしょに降ってくる、そういう意味だ。日本のように「土と石」では無い。


猫や犬をペットとしてかわいがっている方は多い。そのような方には申し訳ないが、英語で「猫」「犬」は良い意味ばかりではない。お手元の辞書を調べてほしい。


When the cat is away, the mice will play.
(鬼の居ぬ間に命の洗濯)
turn the cat in the pan
(裏切る)
cat walk
(狭い通路)
cat call
(野次)
look like something the cat brought in
(ひどくだらしが無い)
enough to make a cat laugh
(滑稽な)
Let sleeping dogs lie.
(触らぬ神に祟りなし)
go to the dogs
(落ちぶれる)
a dog's life
(惨めな生活)
cat-and-dog life
(けんかの絶えない生活)


「猫や犬」も「土や砂」が降ってくる雨は、歓迎できない。モノには程度というものがある。日照りと大雨、この中間、が長期安定して実現できれば良いのだが・・・。

ではそういうことで。