ノート | ドクター鈴木・あめぶろ研究室

ノート

普通「大学ノート」というと、B5かA4の大きさで、紙が40~50枚が綴じられているもの、という連想をする。


小学生の頃、ほかの友達がチャラチャラした「学習帳」を使っていたのがとてもうらやましかったが、私は親が買い与えてくれる無味乾燥な「大学ノート」を使っていた。


小学生が大学ノートを使ってよいかどうかわからなくて、当時親は担任にそのことを質問した。担任は、「大学ノートは、東京大学の正門前の文具店がその名前で発売した商品名であるから一種の縁起物だ。ノートの機能とかに差は無いから、罫線の間隔とか紙質が自分にあっていると思えば使ってよろしい」とおっしゃっていたと思う。「縁起物」というキーワードが一人歩きして、当時(田舎の小中併設校)一大ブームになってしまった(苦笑)。


小学生には40ページしかないようなノートがとても厚く感じた。1年で1冊使いきれなかった記憶がある。

そしてついに自分がその大学生になった時、時代はルーズリーフ。ほかの友達が「白紙のルーズリーフ」だけを持って登校、講義中に書き込んだその用紙は自宅に帰ってバインダーに綴じるのだ、という。私は大学ノート使用を貫いた。


というか、当方大学生(学部と修士・都内某大学)時代は親に勘当され仕送り無しのキャンパスライフを送っていたため、高価なルーズリーフの紙(とそれを綴じるバインダー)を買えなかった、というのが実際のところではある。


そんな中で大学の講義中にある先生が「ノートのとり方」を教えてくださった。まさにわが意を得たりの感覚だったので以降それを実践し続けている。


その方法とはこうだ。


大学には、厚いノート一冊だけを持って来る。このノートは「講義別」に使い分けるのではなく、すべての講義で共通に使用する。一日の最初に新しいページに移り日付を書く。そしてその日の講義の内容を速記よろしく片っ端からそのノートに書き写していく。とはいえあまり神経質になる必要も無く、キーワードだけを列記しても良いし先生のおっしゃるくだらない駄洒落なんかもメモするのも面白い。つまり、何でも書くノート、を大学に持っていうのである。


そして講義終了後、自宅で科目別に用意した別のノートに書き写す。後で見返しても理解できるようにきれいな字で書く。講義中不明だったことなどはさらに図書館で調べたりして整理しておく。そのためこのノートは「差し替え」が便利なようにルーズリーフでも良い。私はこの科目別ノートも大学ノートだった(理由は前述)が、差し替えとか挟み込みはもっぱら広告の裏なんかを切ってノートに貼り付ける作業となった。


つまり、講義中に使用するもの(ほとんど書き殴り)と自身の財産となる講義記録(清書してきれいにまとめてある)のもの、の2種類のノートを維持していく方法である。


この方法、確かに復習効果があって講義内容を忘れにくいし、しかも、講義中にまとめながら書くという作業が不要な分だけ先生の話に集中できる。


このときの記録ノート(先の火事でも焼失を免れている)は今読み返してみても教科書以上の値打ちがある、と自画自賛している。一方の殴り書きノートは、確かに日記帳みたいな性格として別の意味の価値はあるが、何が書いてあるのかほとんど判別不能だ。



立場が変わって教える身分になった。当時の自分と同じく、ノートの書き方がわかっていない人が多い。こちらが板書しなければノートを書かない。別のエントリーで書いたことがあるが当方の肉筆はとても日本語として解読できるような代物ではないので、板所を書き写すことだって彼らからすると困難かもしれない。だから、差し出がましいようだが、こんな方法もあるぜ、と私が習って実践しているノートのとり方を教えたりすることもある。


いや、学生だけじゃない、教室会議なんかで他の先生方と一緒になる会議に参加することがあるが、先生方の中にもノートの取り方が変な方がいらっしゃる。会議なんだから「板所」は無い。あらかじめわかっているような議題については添付資料があることがあるが、その裏側を使ってメモをする人もいれば、ラップトップ持ち込んでその場でワープロで会議メモを作ろうとがんばっちゃっている方もいる。私は、分厚い「なんでもノート」を持参し速記録、後からワープロで整理して添付資料と一緒にファイル、だ。確かに時間とか手間はかかるが、内容はかなり覚えておくことができる。


私はずっと理科系の人間だから、文科系の事情は良くわからない。果たして人文科学や社会科学で同じようなノート法で良いのかどうかもわからない。文系の方はどういうノート法を採用しているのか、教えていただけると幸い。


さて、その「分厚いノート」。このごろはなかなか入手できなくなった。以前は東京銀座の大きな文具店で買うことができたが、今は在庫が無いようだ。手持ちあと1冊、このままの勢いだとあと数ヶ月で使い果たす。どこかでこのノートを見かけたら情報頂戴。


サイズ:A4
罫線:なし
紙質:わら半紙
枚数:500枚(大学ノート10冊分?)
ちなみにメーカー不問(現用品もメーカー不明、海外製品かも)。


ではそういうことで。