納税者の視点で見直せ 開業医と勤務医の診療報酬配分


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090615-00000506-san-soci
6月15日9時55分配信 産経新聞

来年度が医師の人件費に当たる診療報酬改定年とあって、早くも日本医師会などが医師不足解消を理由に大幅引き上げ論を展開している。国民に分かりにくい診療報酬の仕組みを検証し、そのあり方を考えてみたい。

 ◆医師会の主張は正当か

 国民医療費は高齢化の急進展で10年後には20兆円も増加し、56兆円に達すると見込まれている。その財源内訳は現在、保険料が49%、税金が37%である。患者負担は14%だから、大半をまかなっている国民負担が急増することになる。

 では、使途はどうかというと、ちょうど50%の16・5兆円が医師などの人件費、21%の7・1兆円が医薬品、残りが医療材料、光熱費などである。

医師などの人件費、つまり診療報酬には多額の税金が注ぎ込まれていることを、まず国民は認識せねばならない。

 同じように税金を財源とする公務員給与と比べるとどうか。前回のデフレ局面以降、診療報酬の引き下げ幅は民間準拠を建前とする国家公務員給与のそれよりはるかに小さかった。いや、2年前の改定では逆に引き上げられたのだった。

 民間は今、急激な景気落ち込みにより給与削減だけでなく雇用不安にも直面している。そうした中で医師の給与をさらに上げよ、という主張を納税者が簡単に納得できるだろうか。

 ◆医師不足の本質は偏在

 医師不足解消という大義名分も説得力に欠ける。すでにこの2年間で医学部定員は1割以上も増員され、医師会が求めていた医師数は確保される。だが、これで医師不足は解消されまい。問題の本質は別にあるからだ。

 それは多くの識者が言うように病院勤務医と開業医、地方と都市部、産婦人科と内科など診療科の間にある偏在である。その構造を支えているのが診療報酬のいびつな配分であり、ここを大胆に見直さない限り、医師数を増やしても偏在は拡大するだけだろう。

 例えば勤務医と開業医の年収格差はグラフを見れば明らかだ。勤務医の1415万円に対して個人開業医は2804万円とその差は2倍だ。医師会調査でも勤務医が開業医になりたい主な理由は「激務が給料に反映されない」だった。

 これについて医師会は税金や借入金返済などを差し引くと、平均年齢59歳の個人開業医の手取り年収は1469万円だと反論する。勤務医だって税引き前の数字だし、借入金についても一般の会計手法とは違っている。

 何よりこの理屈はサラリーマンに理解しがたいだろう。開業医には定年がない。医師会はサラリーマンには退職金があるというが、多くはそこから住宅ローン を完済し、残りを老後の蓄えとする。開業医は週休2・5日、時間外診療も往診もほとんどせずに、この高報酬をずっと維持できるのだ。

 

◆米の報酬体系は真逆

 他の先進国はどうか。米国でも医師の高報酬が問題になっている。今春、米社会保障庁を訪ねたら、「医師会がロビー活動団体の登録をするなど、政治力が強くて報酬を下げられない」と頭を抱えていた。ただ、その報酬体系は表が示すように日本と真逆だった。

 日本の開業医に似た家庭医の年間報酬を1とした場合、勤務状況が厳しく訴訟も多い産科は1・44、高度医療の放射線介入診断が2・44など、専門性が高く勤務が厳しい診療科ほど報酬が高い。報酬体系としてはこれが常識だろう。

 日本も優遇されすぎた開業医の診療報酬を大胆に削り、その分を不足する勤務医や診療科に配分すれば、診療報酬全体を上げなくても医師不足はかなり是正される。それができないのは、配分を決める中央社会保険医療協議会(中医協)に問題があるからだ。

 中医協はかつて改革が行われ、公益委員や健保団体の代表もいるにはいる。だが、開業医を中心とする医師会の影響力が依然として圧倒的だ。大胆な配分見直しを断行するには、納税者が納得できるような別の機関か中医協を主導する場が必要なのではないか。

 さらに、医師には教育段階から多額の税金を投入している以上、配置規制も考えねばならない。米国は専門医制度での資格取得で診療科間の調整を行うし、ドイツでは保険医(開業医)開業に対し地域や診療科ごとに定員規制を設けている。日本ほど自由な国はないのだ。

 もちろん、欧米とは制度の成り立ちが違うから、診療報酬体系も配置規制も単純に比較はできない。しかし、納税者の視点を欠いた護送船団的“医療村”だけに任せておいては、医師不足解消も国民負担抑制もままなるまい。(論説委員・岩崎慶市)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


既に各方面で顰蹙をかっているこの記事ですが、

医療(医師)に対して悪意をむき出しにして結局言ってる事が、

>ちょうど50%の16・5兆円が医師などの人件費


ですか。


あくまで医師「など」の人件費ですよ。

医療は医師だけで行っているのではありませんよね。


看護師から事務員、検査技師、薬剤師など様々な職種が雇用されているのが病院ですから

こんな騙し言葉で


医師の人件費が高い=医者は給料泥棒


なんて構図を描いているのは、全くの悪意としか感じられません。


そして、お決まりの

開業医=金儲け主義

というレッテル貼りですか。


開業医であっても、個人事業主として看護師や薬剤師、事務員などの雇用を生み出している訳だし、

自分だけが儲ければ其れでよいと言うわけには行かないのは、当然なのに、


>開業医は週休2・5日、時間外診療も往診もほとんどせずに、この高報酬をずっと維持できるのだ。


と、根拠も無い事を書いてバッサリですか。

本当に酷い記事です。


おそらく意図的だと思いますが、医療費増加に関してこの記者が見てみぬ振りをして

覆い隠そうとしている真実があります。


それは当ブログを最初からお読みいただいた方にはよくお分かりのことでしょう。


医療費とは、どうして発生しますか?


当然、患者が病院へ受診に来るからこそ発生する訳です。

患者が受診した医療を受けた結果として、医療費が発生し、

そのうちの7割~が国の負担として増えている訳です。


では何故医療費は以前より増えましたか?


それは、一つには医療が充実してきたからです。


糖尿病や高血圧でも基準を厳しくして、早期に治療を開始します。

癌に対しても様々な治療法が確立され、生存率も上がってきている訳です。

臓器移植や集中治療といった高度な医療には、当然高額の医療費がかかります。


つまり、命がお金(医療費)で買える時代が来た訳です。


それを国民健康保険という国の補助で賄っている訳です。

つまり、国が税金からお金を出して国民の生命、健康を守っている訳です。


現在、どんどんそのお金(医療費)が増えているという事は、

それだけ国民の命や健康を守ろうとした結果にすぎません。


その結果、老齢人口は増えるのですから、さらに必要な医療費も増えて然るべきです。



決して、多額の医療費が医師の人件費に奪われたからでは、ありませんよw

ssd先生のエントリーでは、自治体病院の医師の人件費は全体の4分の1に過ぎない との事です。



こう考えると、納税者の視点から見ても医療費削減という意見は単に、

病気の人は、早く死ね!



と言っているだけなのに、


いや、違う!医者高給取りなのが悪い!


と、誤魔化しているだけという、この記事の愚かさが良く解りますね。


そして、それでも医療費を削減するというのなら、

国民の命よりも一体、何にお金を使うつもりなんでしょうか?


道路ですか?箱物ですか?天下りですか?居酒屋タクシーですか?




さて、他に医療費が増えた理由を現場で考えるとすれば、それはこのブログで再三取り上げている、

不必要な受診や検査

の増加もあると思います。


もちろん、それは医者が患者に強要しての結果ではありません。


常日頃の外来では、

大したことも無い、ちょっとした擦り傷、打ち身、打撲で受診し、

いくら診察上「問題ないようです。」と言っても安心せずに、

レントゲン検査やCTをむやみやたらに受けたがる患者ばかりです。


「あとから何かあったら、心配だから。」


この免罪の言葉によって、大量のスクリーニング検査が行われています。



頭部外傷に至っては、本当にヒステリックです。

なんの症状もないのに、CT検査を要求されるケースも増加の一方です。

いくら、「症状がみあたらない」、と説得しても何の納得も得られません。


何故ですか?


もちろん、マスコミによって恐怖を植えつけられているかです。



後から脳出血して悪くなったら怖いって、TVで言ってたから。」

「肩が痛いんですけど、癌じゃないかって。」



患者の「心配です」の一言で、検査をしない訳にはいきません。


何故ですか?


それは、その後万が一にも病気が発生したとすると、訴訟沙汰が免れないという恐怖があるからです。


「あの時、症状を訴えてたのに、検査しなかった。

していたら、早く見つかって治っていたはずなのに。訴えてやる!」


裁判所 「適切な治療を受ける機会を失った。損害賠償を命じる。」


こんなトンデモ判決はいくらでもありますからね。


マスコミによって病気に対する恐怖と医療に対する不信感を植えつけられた患者が、

過度な義務と責任を医療に押し付ければ、

医師はJBMに従ってover medicationを行わざるを得ず、

大量のスクリーニング検査を行う事となり、

その結果、医療費は増加の一途を辿るしかないじゃないですか・・・。


もうここまででお腹いっぱいですが、まだ言いますか、この記事は。



>医師には教育段階から多額の税金を投入している

>配置規制


・・・もう愚か過ぎて、反論もしたくありません。


一体、いくらの税金がどう投入されているのか、具体的に示してもらいたいです。

まさか、今更


「医師一人育成には、一億円の税金が投入されている!

だから強制配置は然るべきだ!」



って言うつもりじゃないでしょうねw


もし、そういう考え持っているなら、周回遅れも甚だしい。

さっさと論説委員なんかリタイヤしてもらわないと、でしかありません。


まだ解らない人は、

「医師 一億円 税金」

ググッて 見てください。











<医者の常識、マスコミの非常識>


「納税者の視点」って、いいながら死角ばかり。



これは、単なる

「マスコミの視点」、「サンケイの視点」、「論説委員・岩崎慶市


の視点です。