wikipediaの「当直医」でも書いてある通り、病院には当直医が必要です。

当直は大抵が若い医者のアルバイトで賄われています。

 

そりゃそうでしょう。

 

年をとってまで、病院に泊り込みなど、誰もしたくはないですから。


ベテランの先生で、いくら昼間「お医者様でござい」と偉そうにしていても、

夜は人気の無い病院の片隅で、モソモソとコンビニ弁当を食べて、当直室で眠る

なんてのは、非常にわびしいものです。

 

「わしらの若い頃はもっと過酷だったから、若い人にはもっと頑張ってもらわないと。」


と、現在の夜間医療の疲労とハイリスクを十分承知で当直を振ってきます。


若いうちは勢いと収入目的で引き受けていましたが、

現在の医療事情では、リスクの方が高いので本当にプレッシャーを感じます。


いつ、割り箸事件 の様に「実は重症だった」なんて患者に遭遇するかわからない中、

責任だけが簡単に投げかけられる当直医の立場は本当に不安です。

 

夜中、コールがあろうが無かろうが熟睡などできません。

その結果、私も長年の当直生活がたたって、不眠症になりました。


夜間は3時間おきに目が覚めます。

鳴ってもいない電話の呼び出し音や救急車の音を感じて目が覚めます。

 

いつ耳元の電話が鳴るかと、構えているのでしょう、

寝ていても電話の音がなると、飛び上がるように起きます。


と、同時に心臓がバクバクと動悸を打ち、口から飛び出しそうな勢いです。

(医者らしくない例えですが、そんな感じです。)

朝になっても、全く体が休まった感じがしません

 

いつ夜間の急患で手術の呼び出しがあるかもしれない、という状況では、

家でもゆっくり休めません。


携帯電話(以前ポケベル)を常に気にし、定期的に覗き込んでしまいます。

 

非常に心臓に負担がかかっていると常々感じていました。

そんなストレスが何年も続いた結果、私は期外収縮という不整脈を発症しました。

 

私だけではありません。同年代の多くの医師が同じような症状を訴えています。

「夜間コールが一度でもあると、それ以後寝付けない。」

「電話の音で飛び起きて、動悸がする。」

「普段から不整脈を感じる。」

「当直明けは疲れがとれにくい。」

 

・・・そんな風に過労が重なれば、ある日「突然死」を迎えて何の不思議があるでしょう?



研修医の過労死が問題になってからは、

若い人でも、当直を控える傾向が目立ちます。


 

・・・・・・・・・・・・・・?




だれが当直を引き受けているのでしょう?


そんな当直でも、「誰か」が引き受けなくては成りません。

まじめで、人の嫌がることを進んでする、

頼まれたらいやと断れない、いい人・・・。

結果、only the good die young. という事です。。。




・・・私も頼まれると嫌とはいえないタチで、かなり無茶してきたものです。

4~5日間連続で当直をしていた時期もあります。



一週間連続とか、最大10日連続当直した、なんて武勇伝を聞いたこともあります。。。

 

若者もベテランも回避する傾向にある夜間医療体制は、

見かけは保っていますが既に空洞化しています。


 

<医者の常識、世間の非常識>


当直、夜間医療は患者、医者の双方にとって完全な鬼門となっています。


医師の当直に関して交代制度などの対策を確立せねば、

夜間医療は完全崩壊してしまうでしょう。




 

 

「これからは、ちゃんと昼間に仕事休んで

病院行かないといけないな。」とお気づき頂いた方は、

  にクリックよろしくです。。。




アメリカでは、夜勤専門の医師や看護師がいるというのを
聞いたことがありますが、日本ではなかなか難しいのでしょうねぇ。。。
by midori (2005-11-27 17:47)


医師の交代制は、ほとんどされていません。
医者は寝る間を惜しんで仕事をするものだとされてきたようです。

医療の質が問われ出した近年、問題が明るみに出てきたという事です。
by Doctor-D (2005-11-28 16:42)



カメレスですみません。

Only the good die youngってビリージョエルの歌からですか?

私の好きな歌の一つです。コメントしたくなったので、、、

医者に限らず、どんな世界でも同じなんでしょうね。
by Kim (2006-01-04 20:59)


>Kimさん
私より年上で、まだまだ救急当直で頑張られているのに、
気を削ぐような記事ですみません。
私もビリージョエルの曲で知ったのですが、
「the good die young..」で佳人薄命、善人ほど早死にする、
という英語の諺のようです。
by Doctor-D (2006-01-05 01:12)