前回、当直医に関する過労の話を書きましたが、
いまいちまとまっていないので反省しています・・・。
きっと、
「夜間救急を看板に掲げている病院なら、
きちんとした医師が待ち構えているから、大丈夫だろう。
24時間診察OK!とか書いてあるし。」
と思われ、読み流された方も多数ではないでしょうか?
前回を要約すると
- 救急指定を受けた病院でも、夜間診療にあたるのは当直医である事。
- 当直医は寝ていて実働は行わない、というのが前提になっているはずなのに、夜間もひっきりなしに患者の診察に追われているのが実情である事
- この結果、医師の過労死が問題になってきている事。
- この問題点に関して、厚生労働省が動き出した事。
問題点が明らかになり、それに対応すべきであるとお上が動いているところまで説明しました。
この問題点を解消するためには、一般の人々の認識も改める必要がある、
と私は考えています。
つまり、
時間外(夜間)診療は、時間内(午前)診療とは全く役割が違う、
という点に関する認識です。
違いを箇条書きにしてみます。
時間内(午前)診察
- 医師は睡眠をとって、回復している。
- 専門分野の病気を担当。
- 複数の医師で相談しながら検討。
- ベテランの医師が出勤している。
- 看護婦等、コメディカル(医者を助ける職種)も手が多い。
- 検査も豊富に行うことが出来る。
- 検査の結果を更に専門家に相談し、複数の医師で検討できる。
時間外(夜間)診察
- 医師は昼間の勤務から引き続きなので、疲労している。
- 当直医は一人なので、専門分野以外も診察。
- 一人で治療方針を決定する必要がある。
- ベテランの医師は帰宅し、若手の医師の場合が多い。
- コメディカルの手も足りない。
- 検査も手が足りず、簡単なことしかできない。
- 検査の結果も一人の医師で判断しなければならない。
これだけの差があるのですから、明らかに
提供される医療の質が根本から違う、
という事を認識する必要があります。
夜間に出来る治療というのは、初診としての
おおまかな診断と対症療法が精一杯です。
しかし、多くの緊急性も無いのに時間外診察を受けられる患者は、そんなことはお構いなしに
確定診断を求められる方が多いです。
そんな患者と病気に、夜間に一人で立ち向かう様は、さながら戦場の如く感じます。
<医者の常識、世間の非常識 その7>
夜間診療は野戦病院。
次の朝日を拝めれば、それでいい。
そのくらいの気持ちで患者にも考えてもらえないでしょうか、できないですかそうですか_| ̄|○
ここで、ようやく、
なぜ、そうまでしてこの時間外問題に私がこだわっているのか、
という核心を説明するところまで、近づきました。
それは、時間内診察の第1項目に書いた
『医師は睡眠をとって、回復している。』という部分が、実は『夜間診療で医師は疲労している』
となるケースが多い事と関係があります。
医師の過労の無限ループの入り口が、当直であり、
当直における時間外診察への応招義務
(医師は診察を正当な理由無く断れない、という規則)がある以上、
患者の受診に対するモラルに医師の過労が左右されている
と言わざるおえません。。。
結果、医師はどんどん疲労してゆきます。
そして、実際に過労死に至っているケースが少なくありません。
私の身近な人間でも卒後数年の若い医師が4人亡くなっています。
みな、当直と過労が深く関わっていることは明白です。
実際、私自身も「死ぬかも」と思うくらい過剰勤務をした経験があります。。。
・・・死ねない。
、とその時思いました。・・・そして、私はダメ医者になりました・・・。
Dです。。。
医師道とは 死ぬことと 見つけたり
・・・・見つけたくないとです。
・・・Dです。Dです。Dです。