2012 F1 Rd.8 ヨーロッパGP 決勝 レポート | DKのブログ

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クルマを中心に色々な事について書いています。

事前の予想と異なり、バレンシアで行われたヨーロッパGP決勝は、オーバーテイクあり、接触あり、クラッシュあり、更にはSC(セーフティーカー)も入り、麦わら帽子もコース上に入るという大荒れの展開になりました。

そんな中、サッカーのEURO2012でフランスに勝ち、沸き立つスペインファンの前で、11番手からスタートしたスペインの英雄アロンソがクレバーな走りで勝利し、サーキットは更なる歓喜に包まれました。

欧州危機の中、スペインに漂うネガティブな雰囲気さえも吹き飛ばす、アロンソ渾身の勝利です。

()内の数字はスターティンググリッド、Rはリタイヤ。
赤字はレース後の審議等により更新した箇所です。

※レース終了後にマルドナドに20秒加算ペナルティーが与えられ、マルドナドは12番手に、代わりにチームメイトのセナが10位に繰り上げ入賞となります。


フェラーリ

1. アロンソ(11)
16. マッサ(13)

第2戦のマレーシアとここバレンシアでの勝利により、今シーズン初の2度目のウィナーになったアロンソ。

しかし、その勝利は11番グリッドからのスタートだった事もあり、決して容易いものではありませんでした。

スタートで8番手に上げ、その後ヒュルケンベルクを抜き、ライバルのピットインにより3番手にまで上げていた16周目に自身もピットイン、9番手でコースに戻ります。

4番手まで上げていた29周目にSCが入ると、ほとんどの上位陣と一緒にピットイン、3番手でコースに戻り、SC明けに2番手のグロージャンを抜き、トップのベッテルはマシントラブルにより止まったため、この時点でアロンソがトップに立ちます。

その後の数周はファステストを出す走りで後続との差を広げ、勝利に指がかかった43周目からは、2番手との差を保ちながらの余裕の走りで、ゴールまでマシンを運びました。

チェッカーを受けると、実はトラブルを抱えていたマシンがちょうど満席の客席前でストップし、ファンと勝利を分かち合います。

もしこのトラブルがもっと早い段階で起きていれば、目まぐるしく変わった3人の2番手の誰かに、先頭を明け渡していたかもしれません。

スペインの勝利の女神はアロンソに味方したようです。ドライバーズランキングもトップに浮上です。

続いてマッサです。

"乗れている"マッサはアロンソの真後ろの13番手からスタートし、自身2回目のピットインの前には7番手まで順位を上げます。

しかし33周目にカムイとの接触により緊急ピットインを余儀なくされ、6周程最下位を走る羽目に、その後も走行を続けますが、HRTの二人の前の16番手でレースを終える事が精一杯でした。


ロータス

2. ライコネン(5)
R. グロージャン(4)

ライコネンは、SC明け時点で5番手。その後は、ピットインを遅らせペースの落ちたリカルドをパスし4番手、グロージャンがマシントラブルにより戦列を去り3番手、ラスト2周でタイヤが崖を迎えたハミルトンを抜き2番手と順位を上げます。

しかし、その時点でトップのアロンソとは7.4秒差もありそれ以上は望めず、2番手でチェッカーを受けて、今シーズン2度目の2位表彰台に立ちました。

グロージャンは、オープニングラップでマルドナドを抜き3番手、11周目にハミルトンを抜き2番手に上がりますが、その時点で出来ていたトップのベッテルとの約12秒のギャップが縮められなかった状況でSCが入る事となります。

SC明けでアロンソに抜かれますが、ベッテルのマシントラブルからのリタイヤにより2番手をキープしていた42周目に、自身にもマシントラブルが発生し、万事休すです。

SC明けからはトップのアロンソとDRS圏内でのバトルをしていただけに、何とも惜しい結果となりました。


メルセデス

3. ミハエル(12)
6. ロズベルク(6)

プライムタイヤ勢で最高位グリッドの12番手からスタートしたミハエルは、43周目の2度目のピットイン後に11番手につけます。

その後はペトロフ、バトン、ペレス、ディレスタ、ヒュルケンベルクのオーバーテイクとライバルのピットイン及びトラブルにより3番手に浮上し、そのままチェッカーを受けました。

このアロンソ、ライコネン、ミハエルという決勝リザルトは、それぞれがルノー(アロンソ)、マクラーレン(ライコネン)、フェラーリ(ミハエル)に乗っていた2005年Rd.10のフランスGP以来となります。

表彰台への到着が遅れたアロンソを迎えた二人も、旧友に再会したかのような笑顔で、とてもいい雰囲気でした。

ロズベルクはスタートの失敗もあり、2周目までに11番手まで順位を落とします。

その後5番手まで上げていた21周目にピットイン、ピットアウト後の13番手から一時7番手まで上げますが、タイヤが崖を迎えピットイン、再び13番手になります。

そしてオプションタイヤを得たロズベルクは自己ベストと全体ベストを連発する走りとライバルのトラブル等により、スターティンググリッドと同じ6位フィニッシュです。


レッドブル

4. ウェバー(19)
R. ベッテル(1)

ウェバーは19番手からスタートし、序盤はリカルドと共に順位を上げていき、15周目にリカルドがいなくなると、19周目までに8番手まで順位を上げ、翌周にピットインします。

ピットアウト後は15番手からまた徐々に順位を上げていき、8番手だった39周目に2回目のピットイン、13番手でコースに戻ります。

42周目にピットから出てきたミハエルがウェバーの前でコースに戻ってくると、その後はミハエルと共に順位を上げていき、チェッカーもミハエルの後ろの4位で受けました。

ポールスタートだったベッテルは2010年と2011年のここバレンシアでのポールトゥウィンのように、序盤から他を圧倒する速さを見せ、DRSが解禁となる3周目には2番手のハミルトンに4秒差をつける程でした。

2番手がグロージャンに代わっていた16周目に1回目のピットインを行いますが、グロージャンもピットに入り、かつ3番手のディレスタとは21.4秒差があったので、トップのままコースに戻ります。
※ピットインロスタイムは16.7秒+静止時間

ベッテルの勢いは衰えず28周目にはその時2番手だったグロージャンに19秒差をつけ、3年連続ポールトゥウィンが見えていました。

しかし翌周にSCが入る事になり、後続とのギャップが帳消しになってしまいます。

34周目にSCがいなくなり、また後続を引き離しにかかるのかに思えたその直後、マシンにトラブルが出てしまい、ストップ。

ベッテルに代わりトップにたったアロンソに大歓声が巻き起こる中、失意のリタイヤです。

SCが入る前までは問題ありませんでしたので、SCラン中のクーリングに問題があった可能性があります。

レッドブルはライバルに比べて、開発スピードが早く、ここバレンシアに持ち込んだのはRB8の"Dスペック"との噂もありますが、改善リストの最上段に、"SCラン走行スピードでもクーリングに問題が起きないマシン"を追加する必要があると思います。


フォースインディア

5. ヒュルケンベルク(8)
7. ディレスタ(10)

ヒュルケンベルクは2度のピットインを済ませ、SC明けの34周目には11番手でした。

その後は、ロズベルクとウェバーのオーバーテイクとライバルのトラブル等により5番手まで順位を上げます。

ファイナルラップにミハエルとウェバーに抜かれますが、上位のもう二人の脱落により、5番手のままチェッカーです。

ディレスタは18周目までにライバルのピットインもあり、ベッテルの後ろの2番手まで順位をあげます。

そして周辺のライバルよりも4~5秒もペースが遅くなり、5番手に順位を落としていた23周目に誰よりも遅い1回目、かつ自身唯一のピットインを行い14番手でコースに戻ります。

その後もプライムタイヤで走行を続け、ファイナルラップ時はチームメイトの後ろの6番手でしたが、猛烈な速さのロズベルクに抜かれてしまい、7位フィニッシュとなりました。


マクラーレン

8. バトン(9)
R. ハミルトン(2)

バトンはオプションタイヤでスタートしますが、スタートに失敗し13番手に、そして11周目に誰よりも早くピットに飛び込みタイヤ交換を行い(プライムタイヤに)、19番手に下がってしまいます。

9番手まで上がっていた27周目に2度目のピットインし(プライムタイヤに)15番手でコースに戻ります。

そしてSC明けからも混乱に巻き込まれる事なく走り続け、8位入賞です。

ハミルトンは2番手からスタートし、11周目にグロージャンに抜かれてしまい3番手になります。その後、トップ3が1回目のピットインを終わらせた段階でも順位は変わらずそのままでした。

そしてSCラン中の2回目のピットインで、フロントジャッキ作業がうまくいかず、コースイン後は6番手に順位を下げてしまいます。

リスタート後、ライコネンとリカルドをオーバーテイク、ベッテルとグロージャンのリタイヤにより、2番手まで順位を上げます。

しかし上位のライバルとは同じタイミングのピットインだったにもかかわらず終盤にタイヤが崖を迎え、ラスト3周でライコネンに抜かれ3番手に落ちます。

そして翌周、4番手のマルドナドに抜かれかけた時、右左と続くS字で、マルドナドは外側に付け最初の右コーナーは並んでクリアします、しかし続く左コーナーでハミルトンがラインを閉めすぎてしまい、マルドナドの右前輪に自身の左後輪が乗り上げ、タイヤバリアに激突、マシンを壊しリタイヤです。

3番手を守りたかったのは分かりますが、4番手の12ptとランキングトップを失う事になってしまいました。


ザウバー

9. ペレス(15)
R. カムイ(7)

ペレスは41周目までは中盤以降でのレースでしたが、42周までにバトンをオーバーテイク、ミハエルのピットイン、グロージャンのリタイヤがあり7番手につけます。

54周目にペースを取り戻したミハエルとウェバーに抜かれてしまい9番手に、その後も混乱がありましたが、何とか9番手を守り、ザウバーに2ptを持ち帰りました。

カムイはスタートでロズベルクとライコネンを、2周目にマルドナドをオーバーテイクし4番手につけます。

更に14周目にはハミルトンを抜き3番手に上げます。

しかし1回目のピットインで作業が遅れ、コースイン後は再びライコネンの後ろの10番手になってしまいます。

そしてその時点でピットインをしていなかったミハエルを先頭とする7台のミハエルトレインにひっかかってしまいます。

更に20周目にセナと接触し、フロントウイングを失い緊急ピットイン、17番手でコースに復帰します。

そしてSC中にピットインしたマッサがカムイの後ろに来て、リスタート後の34周目、今度はマッサと接触してしまい、再びピットイン、しかしカーナンバー14のC31がコースに戻る事はなく、そのままリタイヤとなりました。

※カムイにはマッサとの接触により、次戦イギリスGPにおいて5グリッド降格ペナルティーが科せられました。


ウイリアムズ

10. マルドナド(3)
11. セナ(14)

マルドナドは2周目までにグロージャンとカムイに抜かれ5番手に、1回目のピットイン後は12番手でコースに復帰します。

そしてSCラン中に2度目のピットインを済ませ10番手でコース復帰、その後はベッテルの脱落、ロズベルクとウェバーのオーバーテイク、リカルドのピットインにより6番手に順位を上げ、更にミハエルのピットインとグロージャンの脱落により4番手につけます。

そして4番手に上がった42周目からラスト2周目までは4番手をキープしていましたが、事件が起きます。

2番手を走行していたハミルトンのペースが落ち、ルイスは持ちこたえる事ができず3番手のライコネンに抜かれます。

マルドナドの目の前に現れたハミルトンとのペース差も圧倒的にマルドナドの方が速く、ハミルトンを抜きかけた際に接触してしまい、自身のフロントウイングを失ってしまいます。

しかし、マルドナドはピットインせず、ファイナルラップはライバルより15秒遅いものでしたが、残り1周半を何とか走り終え、ぎりぎり入賞の10番手でレースを終えました。

セナは14番手からスタートし、19周目までに7番手まで順位を上げていましたが、20周目のカムイとの接触によりタイヤがパンクしてしまいピットイン、最後尾まで落ちてしまいます。

そしてこれは賭けだったのか、タイヤのトラブルだったのかは不明ですが、まだ最後尾だった27周目に2度目のピットイン、プライムタイヤを履いてコースに戻ります。

その後はライバルの脱落とピットイン及びコバライネン、ピック、デラロサ、ロズベルク、リカルドをオーバーテイクし、50周目には入賞目前の11番手にまで順位を上げます。

しかし、ペースを取り戻したロズベルクに抜かれ12番手へ下がるも、ハミルトンの脱落により再び11番手に順位を戻します。

ファイナルラップはフロントウイングを失ったチームメイトにあと1.3秒にまで迫りますが届かず、11番手でのフィニッシュとなりました。


トロロッソ

12. リカルド(17)
R. ベルニュ(18)

リカルドは17番手からスタートし、13番手まで順位を上げていた15周目にピットインし、オプションタイヤを履いて18番手でコースに戻ります。

その後はライバルのピットインや脱落によりSCラン中だった30周目には4番手まで順位を上げます。

リスタート後にベッテルの脱落により3番手につけますが、さすがにタイヤが寿命を迎え、ハミルトンとライコネンに抜かれた後、37周目に2度目のピットインし14番手でコースに戻ります。

グロージャンとハミルトンの脱落により12番手まで順位を上げ、セナとのギャップも縮める走りを見せますが、入賞にはあと2.5秒足りず12番手でチェッカーを受けました。

ベルニュは19番手走行中だった28周目にコバライネンと接触しタイヤがパンクしてしまいます。またこの接触によりSCが入る事となります。

何とかピットに戻りますが、マシンダメージが大きく、そのままリタイヤです。

ベルニュにはこの接触のペナルティーとして、次戦イギリスGPで10グリッド降格と罰金(約252万円)が科せられました。


ケイターハム

13. ペトロフ(20)
14. コバライネン(16)

ペトロフはレースのほとんどを入賞圏外で展開し、最終的に13番手フィニッシュです。

コバライネンは28周目のベルニュとの接触によりほぼ最後尾まで落ちてしまい、その後も懸命の走りを見せますが14番手フィニッシュです。


マルシャ

15. ピック(23)

グロックが体調不良により出走しなかったため孤軍奮闘となったピックは最後尾の23番手からスタートし、HRTの二人とマッサの前の15番手でフィニッシュとなりました。

SCラン中にリードラップに戻れた事もあり、周回遅れにならずにチェッカーを受けました。


HRT

17. デラロサ(21)
18. カーティケヤン(22)

HRTの二人は終始後方でのレース展開となり、結果もカーティケヤンが最後尾の18番手、デラロサがその前の17番手でのフィニッシュとなりました。