本当に医療システムの問題なんだろうか? | music-geek

本当に医療システムの問題なんだろうか?

確かに今回に限らず緊急患者の受け入れ病院の問題は悩ましいと思う。亡くなった方には気の毒なのだが、だからといってその矛先を医療システムや医療機関に向けるのはいかがなものか、と思う。
日本のマスコミは「人の命の重さ」っていうのを過剰に主張することでヒューマニズム的なところをくすぐる論調の記事を書くけど、本当にそうなのだろうか?
今回のだって、「システムや医療の問題で一つの尊い命が奪われた。このシステムや今の医療体制はどうなっているんだ!」っていう論調ばかりでしょう。医療事故の報道も含みで見ていると一歩間違えると病院で人が死ぬなんて許せない、みたいなことになりかねないような記事の書き方するし。
地域によってムラがあるとは思うけど、医療関係の人材不足は深刻なわけで、現場が手を抜くとは思えないですし、今回の件だって、仮に母子ともに助かったとしても、母親に大きな障害が残ったとしたらそれを支える家族の苦労は大変なことになったでしょう。私はああいう状況になっても子供を産むということだけは全うしたことに母の強さみたいなものを見たように思いますし、そういう美談みたいな記事の取り上げ方も可能だったのではないか、とも思えます。個人的なイメージで言わせてもらえば、脳内出血っていうのは非常に死亡率の高いもので、命は取り留めても相当大きな後遺症が残る病気だと思うのです。しかも産婦人科と脳外科どっちもあるところでないと難しいわけです。だからこそ受け入れを躊躇する病院が多発したのではないか、とも思えますし。結果たらい回しになったとはいえ、救急医療の現場はそこでできる最大限の努力はしたと思うし、受け入れた所もそういう状況下で最善の努力を尽くしたからこそ子供という新しい命だけは救えた訳です。それは認めてあげないといけないのではないでしょうか?

それに今回の件で気になるのは、脳内出血起こすくらいに血圧なり何なりに問題があって、妊娠中毒症の可能性が伺えるのに自宅にいたっていうことですかね。我が家の場合、家内が妊娠中毒症で妊娠後期に入院を余儀なくされましたが、血圧上昇を極力抑える為に音楽を聞くことは愚か、テレビや読書もNGで天井だけを見る生活を強いられたんですよ。妊娠中毒症で入院した時の病院の対応はそこまでナーバスでした。今回の方がそうかどうかは分からないけれど、かかりつけのお医者さんが事前に大きな病院を紹介して入院させておけばこうはならなかったのではないかという気もしますし、一概に救急医療システムを責めることは出来ないように思えるのです。

人の命は確かに重いのですが、その重さをもってして医療機関に過剰に責めを負わせることは間違いだと思います。確かに現状の救急医療システムに改善される点はあるのかもしれませんが、それは単純に解決出来るものではないでしょう。
マスメディアが安易なヒューマニズムに走りすぎることは問題だと思います。人材不足が深刻な今の医療の現場にこういう問題提起をされることで医療機関が萎縮して救急を取らなくなる可能性だって捨てきれません。それでも良いのでしょうか?

最近モンスターペアレントみたいなのが問題になりますが、マスコミのこういう報道姿勢こそがそうしたモンスターを生み出す温床なのではないかと思えてなりません。