「容疑者xの献身」「探偵ガリレオ」 | ほんのにちようび

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心に残った本のあらすじと感想をつづります。

(時に映画、マンガ、音楽などについても)

東野 圭吾
容疑者Xの献身
★★★☆

[あらすじ]

おべんとう屋で働きながら娘と暮らす元ホステスの花岡靖子は、ある日以前の夫に勤務先を突き止められ、しつこくよりを戻そうと付きまとわれる。そのままもみあいになり、靖子は元・夫を殺してしまう。靖子の隣人で、靖子にひそかな思いを寄せる数学教師の石神は、殺人事件に気づき、彼女に殺人隠蔽の協力を申し出た。


東野作品はいままで面白いと思ったことがなかったけど、期待せずに読んだ本作が意外にも面白くて驚いた。相変わらず3流ドラマの台詞回しのような会話部分が気にならなくもなかったが、話の筋とキャラクター設定の面白さで一気に読めた。50年の一度の逸材と言われながら、運命のいたずらで一介の高校教師にならざるをえなかった石神。石神と大学時代の同級生で、今は物理学の助教授である湯川。ふたりは事件をきっかけに再開し、旧交を温めるようになるのだけど、湯川は途中で石神の恐るべきトリックに気がついてしまう。推理小説か、と思ってうっかり電車の中で読んでいたら、途中で泣きそうになってびっくりした。


で、(電車で)行きに「容疑者xの献身」を読み終わってしまったので、帰りに湯川シリーズ(実は、この本は物理学者・湯川が登場するシリーズの中の1作だったらしい)第1作の「探偵ガリレオ」を買って読んだ。こっちは軽い短編集。物理学者が、物理学的アプローチでちょっと不思議な殺人事件の種明かしをしていく。


それにしても、数学者が「コミュニケーション不全だけど、心は純粋」というわかりやすい記号として、映画や小説に出てくることが最近多いような気がする。それはそれでまあいいんだけど、「ものすごいネクラな大阪人」とか、「女性関係が乱れているやたらイケメンの数学者」とかが登場する本も読んでみたいなあ。


BGM:すばらしい日々/ユニコーン ←ソニーのCMで流れてくるとつい聞き入っちゃう。