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黒船での密航を企てた吉田松陰が幕府の役人から身を隠していた家が、今もそのまま残ってるというので行ってみた。

寝泊まりしたという屋根裏部屋も、皮膚病の治療のために使ったという風呂も…

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…確かにそのまま残ってた。

伊豆急下田駅のひとつ前の蓮台寺に初めて降り立った。

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この駅で降りるのは始めてだったけど、駅のすぐ近くにある日本一の檜風呂で有名な金谷旅館には、この春、家族づれて来た。

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プールほどの大きさの檜風呂は、端から端まで歩いて19歩あったよ。

金谷旅館を過ぎ、昭和の風情が色濃く残る街並みをひたすら歩く。

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地元の人たちにとっては、ただの古びた建物に違いないが、都会から来た者には懐かしさを感じさせる…映画のセットのような建物だ。

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吉田松陰をかくまった医者の家は大きな茅葺き屋根の家だった。

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案内のおじいちゃんが、吉田松陰や松陰をかくまった下田の医者のエピソードを、まるで子供が100点満点の答案を親に見せるように得意になって話す。もう数え切れないほど話している内容だろうに、ワクワクしながら話している姿に、こちらもワクワクしてきてしまう。

そこから下田まで、下田富士を眺めながら、またひたすら歩く。

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しかし、この下田富士というのも、何とも言えない威圧感というか、何かゾクッとするものを感じさせる山だな。ピラミッドみたいだ。

市街では、今年すっかりなじみになった場所や店を数軒まわる。
夕方5時過ぎだというのに、もう辺りはすっかり夜のよう。そういえば、これまで下田には夏に来るだけで、下田の冬というのは初体験だな。

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三島由紀夫が愛したマドレーヌを買って…
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獲れたての魚で軽く一杯やって…
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さざえのお好み焼きを食べる。
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今年はこのコースを何度巡っただろう。しかし、何度巡っても飽きない。

今年は下田とそこに住む人たちとふれあえたことで、人生の楽しみをひとつ増やすことができたよ。自分が好きになれる場所は自分で歩いて探さないとな。

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