彼らもSATANファミリーの直系。系図的に非常に近い位置にあり、音楽的にはSATANファミリーに比べると少々スラッシュ/パワーメタル型アプローチやパンクな要素が見えるものの、同様に後期NWOBHMバンドと考えて問題ないと思う。


ATOMKRAFT


79年、ニューカッスルで結成されたトリオ。活動歴は長いが正式なデビューは85年。それまでは数本のデモを制作していたのみ、NEAT RECORDSと契約しての初アルバム。


FUTURE WARRIORS


NWOBHM系バンドの中でも特にパンクに強い影響を受けたタイプ、簡単に言えばMOTÖRHEADやVENOM、あるいはTANKなんかに近い音楽性、同様の影響を受けているWARFAREと同じタイプだと思ってもらえば間違いない。そこにJUDASなど正統派ブリティッシュHR/HMの湿ったメロディがまぶされている、そんな感じのバンド。
アメリカ型の乾いたスラッシュ/パワーメタルバンドが好きな人は、ちょっとこのもやっとした感じが受け入れ難いかもしれない。しかしNWOBHM好きやSATANファミリー系列が好きなら気に入ると思う。
重厚なイントロから始まる1曲目のアルバムタイトル曲、"Future Wariors" はなかなか燃える。
A面ラストの "Total Metal"、B-1の "Pour The Metal In" などもドガドガとハチャメチャに疾走しててカッコいい。
下手ながらVoもちゃんと歌っている。

TYSONDOGもそうだった、NWOBHMをスラッシュ/パワーメタル風にアメリカっぽくやるとEXODUSや初期METALLICAみたいになって、イギリスっぽくやるとTYSONDOGやこのATOMKRAFTみたいになるみたいな、本人たちはそんなこと全く意識していないだろうけど。
しっかしさすがNEAT RECORDS、最強に音が悪い。音が悪いことで有名なレーベルではあったが、このアルバムもかなり酷い。隣の部屋どころか水中で聴いてるような酷い音質、その分迫力も落ちている。



彼らはB&Voのトニー”デモリッションマン”ドーランを中心として結成されたがそのトニーが脱退、元AVENGERのイアン ”デイヴィソン" スイフトを加入させる。BにはD.C. レイジが加入、4人編成となる。(調べたらトニーも数曲で関わってはいるようだが)
86年、同じくNEATから出た5曲入りミニアルバム。


QUEEN OF DEATH


元AVENGERのイアン、その前にSATANにも在籍していたことがある。AVENGER時代はとてもイギリスらしい湿り気のある声で歌い上げていたが、このATOMKRAFTでは少々歌い方を変えている。AVENGERもパワーメタル風なバンドではあったが、さらに過激なこのバンドではやや吐き捨てるような唱法、でももともと上手いヴォーカルではあるから印象は悪くない。オープニングの "Queen Of Death" はなかなか力のこもった良曲。



5曲しか入ってないから物足りない。。なんて思いつつ聴いてたらこれで十分って気もする。良い曲もあるが全体的に決め手に欠けるような感じ、やってることは悪くないんだけど。だいぶマシになったものの相変わらず音も悪いし。ジャケは最高なのに。

87年のミニアルバム。


CONDUCTORS OF NOIZE


またミニアルバム、なぜフルアルバムを出さなかったんだろう?さりげなくトニーがBで復帰している。Voのイアンはそのまま。
音質は今までで一番マシだけどそれでもギターの音が悪い。
曲自体も迫力もいまいち。単にガチャガチャしたスラッシュ/パワーメタルだなぁ。せっかく上手いVoが入ったのに生かされてないよ。普通のメタルとしてはフックに乏しいし、スラッシュ/パワーメタルと考えると迫力に欠ける。カッコいい!って思えるところが少ない。前作同様悪くはないのだが。。



この後バンドは消滅するが、Bのトニーはクロノスの抜けたVENOMに加入する。当初謎の男扱いだったThe Demolition Manとは実は彼のことだったのだ。そしてトニーを中心にATOMKRAFTは再結成され、現在も活動中。



"Future Warriors"


"Total Metal"


"Queen Of Death"