初期MEGADETHはデイヴとJr.が中心で、2ndギタリストとドラマーが常に不安定だった。デイヴはリードも弾けるから（何と言っても元METALLICAのリードギタリストだから）レコーディングの際はDrさえいれば良かったんだろうけど、ライブではそうもいかなかったらしく何人かのギタリストをヘルプで入れてやっていたようだ。ケリー・キングに助けて貰ったこともあったらしい。結局クリス・ポーランドとガル・サミュエルソンを入れてデビューするのだが、その後も相変わらず不安定だった。
インテレクチュアルスラッシュメタルを掲げたMEGADETHのリードギタリストなんだから下手じゃ務まらない、だからなかなか見合った人物を見つけられない、それにデイヴの言うことには絶対服従、我の強いやつも務まらないだろう。3rdではジェフ・ヤング、4thではなんとあのマーティ・フリードマンがMEGADETHの一員となるのだが、彼らに決まるまでに何人もの有名ギタリストの名が噂になった。
ANNIHILATORのジェフ・ウォーターズは技術面で全く問題はないが、自身のANNIHILATORのために断っている。
PANTERAのダレルは「兄貴と一緒なら」という条件付きだったため実現しなかった。
デイヴの友人だったMALICEのジェイ・レイノルズは自ら加入を希望したが、技術的な理由で断られている。上手いギタリストだがMEGADETHには足りないと。
そんな時期のMEGADETHに相応しいギタリスト。そう、結果的にジェフとマーティという素晴らしいギタリストが加入するのだが、当時密かに彼こそが相応しいと思っていた。
カート・ジェイムズ。
元STEELER、他にも経歴はたくさんあるが、各バンドでの音源を残したことがなくLA界隈でまだ見ぬ実力者と評判になっていた。そんな彼がついにSHRAPNELからデビューするとのニュースが入る。トニマカやヴィニー・ムーア、ジョーイ・タフォーラなど、ギターインスト物がたくさん出ていた時代だったから当然、彼もそうやってデビューするんだと思い込んでいた。
当時通っていたレコード屋に行くと「入ったよ」と取り置きしておいてもらったレコードを受け取った。ジャケを見て言葉を失った。おっさんが凄い表情でにらんでいる。
「どくたーますたーまいんど？なんじゃそりゃ？カートのソロアルバムじゃないのかよ？」
裏を見たら確かにカートはいる。しかしジャケの酷さにガッカリしすぎて、すでに買おうという気は失せていた。
でも取り置きしてもらっていたからしょうがなく買った。
で、家へ帰って聴いてみたら。。
以来、今でも愛聴している。
DR. MASTERMIND
そんなカートと元WILD DOGSであり、その後数多くの有名アーティストと共演してきた超絶ドラマー、ディーン・カストロノヴォ、そして謎のB&Vo、Dr.マスターマインド。ジャケの凄い顔したこの男こそこのバンドの中心人物、DR. MASTERMINDだったのだ。
DR. MASTERMIND
彼らの８６年に残した唯一の作。ガッカリしすぎて死んだ当時の自分が再び蘇ったほど内容は良い。
イメージ的にはDR.のソロアルバムか？というぐらい彼が目立っているが、音楽的な貢献度は少ない。いや貢献してない訳じゃない、曲も全て彼が書いているのにもかかわらず彼の存在は薄いのだ。一生懸命汚い声で歌ってはいるが。
何故かと言うと他の２人が強力すぎるから。カートもディーンもそれぞれソロタイムが設けられているほど、思わず身を乗り出すほど上手い。特にギターソロは耳を惹く。ゾクゾクするぐらいスリリング。
演奏技術は超ハイレベルなのだが難解さは全く無く、曲自体は単純で分かりやすいから聴きやすい。そういう意味ではドクターの貢献度も高いと言える、彼が曲を書いてるんだから。実際、良い曲もたくさんあるし。単純なパワーメタルをバカテクでやってるから、メタルのカッコ良さがダイレクトに伝わる。未聴の人はぜひ買おう。
でも。。これはこれで超高品質なんだけど、やっぱカートにはインストのソロアルバムを作って欲しかった。トニマカ、ヴィニーに負けないぐらいの強力なアルバムを作っていたと思う。彼のビブラートは独特で、波の大きい起伏の激しいビブラートは印象的で耳に残る。
もしMEGADETHに入っていたらどうなっていたんだろう？
カートはもちろん、MEGADETH自体の歴史も大きく変わっていただろうな。もちろんそれは単なる妄想と言うか、勝手に考えていただけで実際は両者には何の関わりもないんだけど。
後に分かったことだがDr.マスターマインドと名乗っていた謎の男は、実はWILD DOGSの1st、2ndで歌っていたマシュー・Tことマシュー・マッコートだったらしいのだ。
ディーンも元WILD DOGS。当時の２人。
WILD DOGSの1stジャケ。上段右がマシュー、左がディーン。身内だったんじゃねーか！
"Domination"
"The Villa (2631)"
"We Want The World"
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