After World's End ~リミットブレイク~ | ON AIR STORY(´・ω・`)ノ ブログ小説

After World's End ~リミットブレイク~

「Master今のうちにリミッターブレイクお願い……」

「了解」


メアリーのその声を聞き俺は考えることをやめる。いくら考えたところで結局今すぐに結論が出ることではないと思う。だからこそ俺は今出来ることをする。俺の今出来ることは冷静にメアリーをサポートすること、彼女の動きを覚え彼女の動きに合わせてサポートをいかにするか。まずはそこからだ。メアリーは両手を広げ体に並行に魔方陣を二つ形成する。その魔法陣の中心を掴んだかと思うと何かを抱きしめるように腕を引くと一つ一つの指に何か黒い糸のようなものがかかっていた。


「制限解除-リミッターブレイク-の承認を確認。全ネットワークを検索、一定レベルに満たない戦闘型ウイルスを検索。658957の条件に該当するウイルスを検知。複数ゲート開放、該当するモノの内1000体のウイルスを確保。影法師“制限解除-リミッターブレイク-コード 影操りSHADOW’S DANCE PARTY” It's show time.」


一つ二つと空間のあちこちにメアリーが入るくらいの大きさの魔方陣が次々と展開され、その魔方陣からは黒い糸がぶら下がっている。その糸の先は黒い穴の中に続いておりその穴の中からゆっくりといろいろな形をした黒い生き物が現れる。人型のものや鳥のような形をしたもの、ほかにも恐竜のティラノサウルスのような形をしたものまであり多種多様でそれよりもその数が多い。


「相変わらずのようだな」

「リーサの邪魔にならないようにするため」

「そうだな、これなら遠慮なく敵味方関係なく暴れられる」


植物型の大きなウイルスを中心に小型から中型の様々なウイルスたちがそれを囲うように、そして操り人形のように糸にぶら下げられている。その光景は明らかに異常だった。


中心にいる敵のウイルスは大きく息を吸い込み、口を開き声を出す。それは歌を歌うように曲を奏でるかのように綺麗な声で歌う。音階の変化はない、ただひたすらに同じ音階で声を響かせる。

すると空間の壁に張り巡らされた根のような黒い線のあちらこちらから芽が出てきたかと思うと一気に成長して小さなつぼみをつけ、そして花を開かせる。それは中心の植物型のウイルスと同型のもの小さいサイズではあるがそれもまたツ触手のようなツタを伸ばして戦闘の準備をし、歌い始める。


「ざっと確認したところ3000対1000のウイルス、プラス二人といったところか」

「リーサ、戦闘開始」

「了解、一気に数を減らすっ!!」


敵のウイルスたちは他のウイルスに目移りせず直接四方八方から、全方向から鋭いツタを走らせる。その数は尋常ではないがメアリーたちもまた、尋常ではなかった。


「捨て駒はいくらでもいる」

メアリーは黒い糸で繋がった様々なウイルスたちを操り自分たちを囲うようにそれらを盾にする。メアリーたちは漆黒のウイルスで構成された球体に包まれ、ツタがそれに突き刺さる。


「弾けろぉおおお!!」


その球体の中から叫び声が聞こえたかと思うと巨大な爆発が起こり、盾としたウイルスごと吹き飛ばした銃弾らしきものが次々と壁の敵勢力を粉砕していく。メアリーとリーサの力は圧倒的だった。メアリーの能力は時間がかかるがその分、その数や大きさで何もかもを飲み込むのに対して、リーサは武器を扱うようで、手に持った銃はガトリングガン、隊長に聞けば何という名前かはわかるのだろうが俺にはわからない。リーサはその銃を捨て、


「弾切れか。まぁいい、小さいほうはあらかた片付いた。メアリー後の雑魚は任せる」

「了解、換えの武器-ウイルス-はいくらでもいるから」

「頼んだ。私はでかいやつを叩くとしよう。武器構成を開始、データバンクから構成情報を参照、“妖刀 村正 名刀 正宗”の二刀を構成開始。触れるもの全てを切り刻む“村正”。主望むものを切り刻む“正宗”武器構成完了。これより目標を破壊する」


メアリーは再び何もない空間から大量のウイルスを引き出し、リーサは手に二本の日本刀をもって本体であるウイルスに向かっていく。メアリーは引き出したウイルスを小さな敵のウイルスにぶつけ


「吹き飛べ」


爆発を引き起こし粉砕。本体のウイルスは向かってくるリーサに向かって複数のドリル状のツタを仕向けるがリーサはそれを手に持った二本の刀でいとも簡単に切り刻み突撃していく。


「根を張っている以上いくら表に出ているウイルスを倒しても無駄というのは知っている」


完全にウイルスの目の前に飛び出したリーサは突然手に持った刀を捨て両手を何かを掴むように掲げる。


「遅延武器構成 タイプ オリジナル、“全てを破壊しゼロに戻せ 大剣 ZERO”」


現れたのは巨大な剣、その大きさはサーバの塔の半分くらいの大きさだろうか人一人が持てるような代物ではないことはわかるがこのコンピュータという仮想現実内では十分にありえることなのだろう。リーサはその大剣を体ごとまわす形で中心とし振り下ろし、サーバの塔ごとウイルスを真っ二つに叩ききった。それと同時に空間の壁に沿って張っていた根がガラスのように砕けその根についているウイルスも砕け散る。


「目標撃破」

「あまったウイルスはバイバイ」


リーサの振り下ろした大剣はすぐに消え、メアリーはというと糸につながりもてあましたウイルスを全て爆発させる。この二人の強さを俺は感じている。さっきまで冷や汗を恐れからかいていたが、今は違う意味で鳥肌が立ち、汗をかいていた。俺は椅子によしかかるように後ろに倒れるがさっき思いっきり椅子を倒してしまっていてため、そのまま床にしりもちをつく。確かに痛かったりは下のだが俺の口から出てきたのは笑い声。


「ありえねぇよ」


俺はそういって天井を仰ぎ見る。普通じゃないと思っていたがいくらなんでもこの非常識すぎる。この後に続く展開を思い浮かべては見てみるもののどうもしっくりこない。というか予測すら出来ないな。俺は打って痛めたしりをなでながら椅子を元に戻して一息つく。










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