私が大学生だったか、大学を卒業後、日本語教師になる勉強をしていたころのこと。
ある時、テレビ(多分NHKの歌番組)から「珍島物語」という歌が流れてきました。
私は当時から芸能人には興味がなかったもので、その時も何かほかのことをしていて、テレビはただつけっぱなしだったのですが、「珍島物語」というタイトルにひかれて、テレビに目を向けました。
(日本のテレビ番組で、日本人歌手が歌う歌のタイトルに韓国の地名が出てくるなんて、とっても珍しいことでしたから。)
その歌の中に、「海の神様 カムサハムニダ」という歌詞があったのですが…。
その歌手の方、「カムサハム~ニダ~」って歌ったんです!!
カタカナじゃ、よくわからないかもしれませんね。
「ka mu sa ha mu~ ni da~」って歌ったんです!!
うげっ! と思いましたね。
その歌手の方に、「まさかそれ、韓国語じゃありませんよね? 変な言葉で歌わないでください」って手紙書こうかと、かなり本気で考えました。
「ありがとう」「感謝します」という意味の「カムサハムニダ」。
ハングルで書くと、「감사합니다」。
韓国語は、1文字が1音節です。
音節って何? という方のために簡単に説明しますと。
日本語もひらがな1文字が1音節です。(小さい「や・ゆ・よ」が入る音は例外)
例えば、「つ・く・え」と言いながら手を叩いてみてください。
3回、叩きましたね?
「し・ん・ぶ・ん」は4回。
「ざ・っ・し」は3回。
この、1回手を叩くのが1音節です。
(専門家に見られたら呆れられそうな説明ですが、まあここではリズムの問題ですので^^;)
さて、韓国語に戻りまして。
カムサハムニダ―――감사합니다は、5文字です。
kam sa ham ni da という、5音節なんです。
その歌手は、それを知らずに、ただカタカナの歌詞を見て7音節で歌ってしまったのでしょう。
わかります、頭では。
でも…すっごく気持ち悪い!
同じことを考えて、実際に行動を起こした人がいたのでしょうね。
後日、また「珍島物語」が聞こえてきたときには、「カムサハ~ムニダ~」とちゃんと5音節で歌っていました^^
逆に日本語を習いたての韓国人は、「ん」や「(小さい)っ」のリズムが変なことが多いです^^
「し・ん・ぶ・ん」が「しん・ぶん」になってしまったり。
「ざ・っ・し」は「ざっ・し」になっちゃいます。
(「ざっ・し」ならまだいいほうで、多くは「じゃ・し」と発音します^^)
初級クラスを受け持っていたとき、手を叩きながら教えたら、「へぇ~~」とすごく不思議そうな顔をされました(笑)
日本語の「ん」は、韓国語では「ㄴ(n),ㅁ(m),ㅇ(ng)」のどれかで表記しますが、すべてひとつの音節((子音+)母音+子音)の最後の子音の位置に入ります。
つまり、独立して1つの拍を作れないのですね。
なので、歌になると。
日本語では、「ん」にもひとつの音が当てられ、「ん」を長く伸ばす歌だってたくさんありますよね。
でも、韓国語の歌には存在しません。
それを(笑いながら)実感したのが、「ドラえもんのうた」を聞いたとき。
皆さん、ご存知ですよね。
「あんなこといいな できたらいいな♪」という、あれです。
最後は「アンアンアン とってもだいすき ドラえ~もん~♪」で、「ん」を伸ばすでしょう。
韓国でも最近(3,4年くらい前から?)「ドラえもん」が放送されていて、主題歌も韓国語に翻訳されて歌われているのですけど…
最後がね、「도라에~몽~(ドラえ~も~ん)」なんです。
韓国語の性質上、しょうがないのですが、聞くたびに「それ違う…(笑)」と思ってしまいます。
…とまあ、長々と書きましたが。
つまり、韓国語を読む・話すときには、発音はもちろんのこと、リズム(拍)にも気をつけましょう、ということです。
あ、実際話すときには、そんなに気を使うことはないかな。
でも、カラオケなどで韓国語の歌を歌うときには、気をつけましょうね。