上司の先生には、言ってないが、

大学院に行こうかな?

なんて、ぼんやり考えていたときに、

僕が勤務している研究室

に、知らないおじさんがいた。



やけに着慣れたスーツ姿、品格のあるお顔。

そして、なんだか機関銃のように、

しゃべりまくっている!

着慣れたスーツ姿は、医者ではないだろう。

たいていの医者はスーツを着慣れていない。

室内では、白衣を着ている人が大多数だし。


医者っぽい、消毒薬の香りの代わりに

品格のあるお顔からは、知性の香りが、漂う。

只者ではない感じがする!




上司は、僕の顔を見ると明らかに、ほっとした表情を浮かべた。

手招きして、僕と謎のおじさんを引き合わせる。




それが、後に僕の大学院での指導者となる、

教授との出会いだった。



教授は、型にまったくはまらない想像を持っていて、一つの分野にとどまらない知識を持っておられた。

初対面とも思えないほど、弾む会話に心奪われ、

医者ではありえない、教授の世界観の広さに、

頭を殴られたような衝撃を受けていた。




僕は教授と出会った瞬間、確信した。

この人の下で、研究することになる!と。


そこで、僕は、教授の元で研究したいがために、

自分の出身大学の大学院に進学することを決めたのだった。



そして、その後、僕が大学院に進学したことで、

様々な軋轢もまた、生じて、

僕の人生も、大きな波がいくつか押し寄せるのだが、

僕は、自分の人生に後悔は、していない。



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