今日のブログは、動物好きな方にとっては、残酷に感じられる内容かもしれません。
苦手な方は、読まないようにご注意ください。
大学病院時代は、手術が無いときは実験に明け暮れていました。
平日は、夜の10時から深夜過ぎまで、あとは土日祝日と、ごそごそ実験しては、論文を書いておりました。
なかでも、ラットを相棒にした実験が多かったです。
お腹に麻酔をして実験するのですが、この麻酔が一人でするには、結構難しいのです。
二人ですれば、いいのですが、そんな妙な時間につきあってくれる酔狂な人はおりません。
ラットって、大きい子は体長20センチ以上あるので、力も強いです。
そして咬む力も強いです。
僕は、何度も何度も、ラットに咬まれていました。
そうするうちに、いつしか、ラットに対して恐怖心を覚えていました。
麻酔が確実にできないと、どのくらい麻酔を投与できたか分からない状態になります。
麻酔がすぐ切れてくると、暴れだして、咬まれますので、追加で麻酔を注射することになります。
そして麻酔の量が多すぎたラットは、、、
残念ながら死亡します。
ラットに咬まれることを恐れている僕は、麻酔がうまくいかず、ラットは何度も、不慮の死を遂げました。
もちろん、体を温水で暖めたり、心臓マッサージをしたり、心臓にボスミンを注射したり、深夜の実験室で、一人で、ラットに出来る限りの救命処置を施しました。
そして、結局、目の前で消えていく命に涙を飲みました。
僕は、何日も悩んで悩んで、、、
夢の中にもラットさんが現れて、、、
道を歩いていても、考えるのは、良い麻酔の方法だけでした。
ついに、一人でも安全に、ラットに麻酔する方法を考えだしました。
紹介いたします。
まず、100円ショップで、プラスチックのかごを買ってきます。
ラットが入るくらいの大きさです。
輪ゴムもあれば、なお良いです。
かごの一つにラットさんを入れて、もう一つのかごを上から重ねて、かごとかごの間にラットを挟みます。
このとき、輪ゴムで、かごを固定すると確実です。
輪ゴムを固定できる、フックが付属したかごが便利です。
↓横から見た状態です。こうなるとラットさん、おとなしいです。
かごを重ねた状態で、ひっくり返して、丸見えになったお腹に、かごの隙間から麻酔の注射をします。
もうラットは、暴れませんし、咬んだりしませんから、ゆっくり落ち着いて、麻酔の初心者でも、簡単かつ安全に、確実に麻酔の注射ができます。
↓こんな写真だって、ゆっくり撮れます(片手に注射器、片手にカメラです)。
以上です。
この方法をまとめて、英語論文を書いたところ、なんと、Plastic and Reconstructive Surgeryという形成外科の最高峰の雑誌に掲載されました。
さらには、形成外科の基礎学術学会でも、非常に皆さんのお役に立つ方法として、注目を集めることができました。
実験で、ラットの麻酔で困っている方、是非お試しください。
明日から、ストレス無く麻酔できます。
そしてなにより、ラットさんが、麻酔で死亡するという痛ましいことが起こる確率が、限りなくゼロに近づきます。
医学の進歩のために行う実験ですが、安易に失われる命があっては、なりません。
ラットの命も、とても大事です。
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皆様、今後も、お引き立てののほど、なにとぞ宜しくお願いいたします。
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