Riverのおまけ1
3A(アンダーガールズ)の女の子たちが歌う曲。
君がしあわせだったら/この時間が続くように
ずっとずっとずっと祈っているよ
愛とは返事を求めない声さ/一方的に贈るもの
明るい曲調だが、決してかなうことのない絶望的な片思い。
なにしろ
振り向いてくれるのは/永遠の先
と恋の成就を端から諦めているのだから。
それでもボクの献身的な愛は揺るがない。
君が悩んでいる時は/ただ黙って聞きながら
雨を避ける傘を傾けよう
落ちるその涙/見えない指で拭って
そのメンタリティー、昔だったら純愛と呼ばれたかも知れない。しかし今やヘタすればストーカー呼ばわりされても仕方ないよね、こんな男の子。
いや、ひとつだけ、そんな不名誉な言われ方をされないで済むシチュエーションがあった。それは、相手がアイドルで、ボクがただのファンだった場合。
そう、アイドルに向かってファンのボクは叫ぶ。
太陽の下笑って 歌え!踊れ!自由に!
なるほど、これは秋元康がAKBファンに贈った「お作法の歌」。
返事は来ないかも知れないけど、一方的に愛を贈ってね、ということでしたか。
ひこうき雲 「やさしさと/風を忘れてしまったよ」の前にある「未来へのまがり角と」の歌詞が落ちている。 Tag: サヨナラ、「僕」の歌、季(冬)
Riverのおまけ2
2A(シアターガールズ)の女の子たちが、ステージライトの下、自由に笑いながら歌い踊る「愛の終わり」の歌。
歌詞を読んだだけだったら、誰もがきっとしずかな悲しみを湛えたバラッドを思い浮かべるだろう。
空にひこうき雲/白くたなびく線よ
誰の思いが残るの?/振り向く余裕もないまま
時のひこうき雲/爪を立てたみたいに
細く生々しい傷跡/僕はぼんやりと眺めていた
青空を飛び去って戻ることのない飛行機、その後にはひこうき雲が残っているが、それも長くはとどまらず、もうすぐ消えていく。
青空をひと筋横切るひこうき雲は、爪でできた傷跡のようでもある。今、静かな別れを迎えている二人にも、激しく互いを傷つけあった瞬間があったのかもしれない。
青空の下の静かな場所で、穏やかな別れを告げるという状況設定は、青空のそばにいてに通じるものがある。この曲も、ひこうき雲ほどではないけれど明るいメロディ。明るくて切ない別れは、秋元康の「別れの型」のひとつと言っていいだろう。
愛のひこうき雲/後をおいかけるみたいに
少し遅れて聞こえた/空を飛ぶ音と泣いた声
ひこうき雲/涙を隠すように
遠く右手を翳して/君は悲しみを見送っていた
静かな空間に聞こえるのは、かすかなエンジン音と涙混じりの声。
空を飛ぶ音が、遠い飛行機から遅れて聞こえるように、悲しみが別れに追いつくことはない。
秋元康は、この静かな悲しみの詩を、アップテンポな曲に乗せてメンバーたちに歌い踊らせている。サビでは客と一緒に、赤い「手ぬぐい」を振り回しながら。
A5公演の終わり近くで歌われるこの曲を、こんなに明るく歌わせたのは、秋元の予言なのだろうか。
「君たちの時間は、あっという間に飛んで行ってしまうんだよ。後に悲しみを残して」
それを誰も聞いていないことは知っているくせに。なんて皮肉な人なんだろう。
AKBが去った時に、みんなこの歌を思い出すのかな。