私も地元の中学校の学校歯科医として学校歯科健診を担当しておりますが、非常に不正確であまり健診結果を鵜呑みにしない方が良いと思っております。
学校歯科検診を難しくしている要件は多くあります。
① ライトが暗い。
②一人あたりの時間が短か過ぎる。
③パイプいすに座って向い合せ(私の担当の学校)では、上顎の歯が見えない。(健診ポジションの不良)
④唾液が泡状に歯に付着している場合など、これを飛ばすエアーシリンジが無い。
⑤レントゲンが無い為、歯と歯の間の虫歯が見落とされやすい。
(⑥ほとんどの学校が器具の滅菌をせずに煮沸(お湯でグラグラ煮る消毒)である。)
戦後間もない頃にはスクリーニングとしてある一定の役割があったかと思いますが、ほとんどの自治体で中学生までの医院での治療費が無償化されている現在の環境下では、学校歯科健診自体が形骸化しているように思います。
その様な矛盾を胸にしまい、①の対策としてLEDヘッドライトをつけ、④の対策としてスプレー式のエアーダスターを自前で持ち込み、出来る限り確度の高い健診を心がけてはおりますが、⑤のレントゲンが無いのは決定的に不利であります。
ちなみに、⑥に対しましては当院のオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)で全ての器具を無償で滅菌して差し上げております。
しかし、虫歯の最も発生しやすい歯と歯の間の初期虫歯をレントゲン無しで短時間に精査するのは、ほぼ無理でありましょう。
従いまして、「私は、学校の歯科健診で一度も虫歯と言われた事が無いの」と胸を張っているお子さんのレントゲンを撮影すると、歯と歯の間に多数の虫歯が確認される事はいまだに多く経験いたします。
もちろん学校歯科検診が全く無駄だとは思いませんが(でも、税金は有効に活用して)、あまり過信せずに少なくとも年2回位は歯科医院での健診を受けられた方が絶対に得策であると考えております。
以上、「学校歯科健診だけでは不十分!」のお話でした。