(2017/8/5~6)
横浜トリエンナーレは2001年から毎回行っている。あまり期待しないほうが良いと思いつつ、やっぱり気になるので2日目に訪れた。
一言で言うと、横浜美術館は微妙だったが、赤レンガは面白かった。
*写真入りはこちら;
★★BankART Life Ⅴ 観光 BankART S…
●横浜美術館
まず横浜美術館を訪れた。
今回は出品作家39組で、トリエンナーレにしては少ない。作家を絞って一人当たりのスペースが広いのは良かった。作家ごとに展示全体のタイトルが付いていて、個展みたい。
しかし横浜美術館は、面白い作品が少なかった。
風間サチコの大作木版画が面白かった。
風間サチコと言えば、原発とか日本の戦後史とか社会問題をからめてくることが多いのだが、今回は自身の学校での思い出をもとにした作品で、ちょっといつもと違う。
時間割に乗って教科書を開いて整列する子供たちとか。でも元から好きだった作家だし、普段通りの展示でありトリエンナーレ感はあまりない。
他に面白かったもの;
ザ・プロペラ・グループ。タイトルは「映画「タイタニック」の~に扮したレーニン」、「映画「インセプション」の~に扮したレーニン」といずれも、映画でディカプリオが主演した映画の役名が書いてある。
フスティニアーニの無限のトンネル。この人の作品をもっと見たかった。
イアン チェンのよく分からない犬の映像。
当然新作ではないがマウリツィオ・カテランは面白い。
たくさんの作品があったが、面白いのが少ない。
よく見たらもっと何か見えてくるのかもしれないが、作品が多いから、面白くないと思ったらゆっくり見ないので分からない。
トリエンナーレならではみたいな大きくてインパクトのある作品はなかった。去年横浜美術館の村上隆コレクション展で見たアンゼルム・キーファーとかジャン・ホアンみたいなのがあってほしい。
●赤レンガ倉庫
横浜美術館とは大違いで、面白い作品ばかり。満足度が高い。
赤レンガに展示するのは10組だけだが、絵画など分かりやすく質の高い作品が多く、見ごたえがある。
クリスチャン・ヤンコフスキーがおかしい。写真作品は普段とばすのだが、アスリートが真面目な顔で公共彫刻を使ってストレッチやトレーニングをしている写真が地味に面白かった。
トリエンナーレのテーマは「島と星座とガラパゴス」。島宇宙化した個人と、ゆるやかなつながり、みたいな意味か。
ラグナル・キャルタンソンは9スクリーンの映像作品。一人ずつの演奏が、展示室の中で一つの音楽になる。展覧会のテーマによく合った作品。
宇治野の自動演奏機械。家電とギターが組み合わされているのが面白い。それが合わさってちゃんと音楽になっている。
祖母の部屋のすべてを絵にしたドン・ユアン。部屋の中のもの一つ一つを小さな絵画にしている。テーブルの上の料理も一皿ずつ絵画で描かれている。窓の外にはおばあちゃん。
膨大な労力。こういうがんばってる作品は、良い。赤レンガ倉庫の作品は、がんばってるのが多かった。
青山悟の刺繍絵画も見事。
小西紀行の絵画も、ちょっとフランシス・ベーコンみたいで良かった。抽象的でどんな場面かわからないが、親密な感じ。
小沢剛は「帰ってきた」のシリーズで、今回は岡倉天心。前に見た藤田嗣治ほどぶっとんでいないが、面白い。これも(自分で描いていないだろうが)絵画。
照沼敦朗は好きじゃない感じの絵かと思ったら、映像が投影されて絵が動いていて楽しかった。
Don't Follow the Windの360度の映像も良かった。
横浜美術館に最も作品が多いが、赤レンガ倉庫に体力を温存すべきである。
●横浜開港記念会館
地下の暗闇での展示。
柳幸典のBankARTで見た作品の別バージョンだが、また違って見える。今回鏡に書いてあるのは、核実験の記録。ゴジラの目にも核爆発の映像が次々映る。
●BankART
関連企画のBankART Life V。
一面の花畑(レジ袋)を抜けて、小部屋ごとのいろいろな作品を巡る。牛島達治の無意味な機械。中谷ミチコの内側から彫ったみたいな彫刻、など。
床に投影される高橋啓祐の海が美しい。高橋は横浜トリエンナーレ関連企画のたびに見るがいつも良い作品を作る。
●実用的情報
赤レンガで食事しようとすると大混雑しているが、BankARTのカフェは涼しくてすいていて良かった。タイカレーがおいしかった。
横浜コミュニティサイクル(レンタル自転車)はおすすめ。会場に返却所がある。会場間を自転車で移動するのが気持ちよかった。左へカーブを曲がると 光る海が見えてきたりする。
つづき;
★★BankART Life Ⅴ 観光 BankART S…
関連記事; 前回2014年の記事。