内容証明郵便の作成・発送というのは,われわれ弁護士にとって,日常的に行う業務です。


 内容証明郵便に,その果たす機能は2つあります。


 1つは,内容証明郵便を受取人が受け取ることによってある法的効果が発生したり,請求権が消滅するのを避けることができたり,後の民事訴訟での主張・立証に役立つなど,内容証明郵便の作成・発送によって直接的な何らかの効果があるものです。

 もう1つは,今後,民事訴訟等の措置を執るということを通知するためのものです。


 私が作成・発送することが多い内容証明郵便は,前者です。


 一番多いのは,消滅時効の援用の内容証明郵便です。時効は時効期間が経過(時効が完成)しただけでは効果が発生せず,援用が必要です。援用はどういう形式で行ってもいいのですが,内容証明郵便で行うのが通常です。これは内容証明郵便によって法的効果が発生するものです。


 遺留分減殺請求も,発送することが多い類型です。1年の時効期間があるので1年以内に請求しなければならず,これもどのような形式で行ってもいいのですが,内容証明郵便で行うのが通常です。これは内容証明郵便によって請求権が消滅するのを避けるものです。


 後に行う損害賠償請求訴訟の主張・立証のために内容証明郵便を使う場合があります。

 損害賠償請求権が発生するためには相手方の故意又は過失が必要です。

 設定登録された特許権や商標権は過失の推定規定があるので,内容証明郵便を出す必要はないのですが,過失の推定規定のない著作権や不正競争防止法の場合には,内容証明郵便を発送し,少なくとも受取後には過失が認められる,という形で主張・立証をする場合があります。

 特許権や商標権も,設定登録後の損害賠償請求ではなく,設定登録前の補償金請求や金銭的請求をする場合には,警告が必要になるので,内容証明郵便を使います。

 これらは,後の民事訴訟での主張・立証のためのものです。


 内容証明郵便の作成・発送は,代理人である弁護士に依頼せずに自分で書いて発送するということでもかまいません。


 ただ,弁護士であれば,書店で売っている内容証明郵便の文例集以外に,出版社からの直販で買う,何冊にもなっている文例集


内容証明郵便モデル文例集IMAGE


を持っていたり,過去に作成・発送した内容証明郵便を参考にして,代理人としてご依頼いただいた案件に適した文例を考えて内容証明郵便を作成しますので,弁護士にご依頼いただくのも1つの方法です。


 内容証明郵便の作成・発送の料金(費用)ですが,平成16年に弁護士報酬が自由化されるまではだいたいどの弁護士に依頼しても同じぐらいの金額だったのですが,平成16年に弁護士報酬が自由化されたので,それ以降は料金(費用)はさまざまです。


 したがって,内容証明郵便の作成・発送を弁護士に頼む際には,事前に手数料をお尋ねいただく必要があります。


 私の場合には,消滅時効援用や遺留分減殺請求などの定型的な内容証明郵便であれば,1通あたり31,500円です(実費は別途。以下同じ。)。全く同じものを複数発送する場合(同文といいます)や,ほぼ同じものを複数発送する場合には,2通目以降は1通あたり10,500円です。

 つまり,3か所にほぼ同じ内容の内容証明郵便を発送するという場合には,52,500円となります。


 複雑な内容証明郵便であれば,もう少し高い金額をお支払いただくのですが,それでも,1通52,500円や63,000円ということが通常です。


 なお,遺留分減殺請求で,ご依頼者は相続人の氏名や住所等がわからず,その戸籍や住民票の調査をあわせてご依頼いただく場合がありますが,その場合には,別途,手数料がかかります。


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