セイコー グランドクォーツです。

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 T市のMさんです。バンドの中止めが壊れてしまいました。永年愛用されてます。セイコーの返事はもちろん製造中止です。でもどうしてもこの時計を腕にはめたい。実は以前に製造中止で無理ですと一度お断りしました。この度、遠い所をお越し下さり、遠近両用を作らせていただきました。その時にこの時計の話しがでて、もう一度トライしてみるという事になりました。片方はなんとか外れました。

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 錆び付いてます。錆びていて解りにくいのですが、たぶん、時計の付け口の方にネジが切ってあって、両側から内側へツノが出たようになって止める特殊なタイプやったと思います。

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 先細タガネ玉砕です。

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 いいバンドがありました。広がりがケースに合って、雰囲気もいいです。

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 取り付け部分を削ればバッチリ合います。

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 しかもありがたい事に取り付け部にバネ棒が入ってて、外れます。何でありがたいかって?

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 削る仕事が楽です。

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 いう事なしです。ここまではね。問題はどうやってバンドを止めるかです。『何も考えなしで見切り発車?』
 考えてるけど、やりたくない。もっと楽な方法はないのか?

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 時計の方の穴が大きいんです。 普通のバネ棒だとがたつきが大きい。大阪の材料屋さんに相談です。
『そんならカルティエやダンヒルに使ってる革バンド用の金具でどないやろ?ネジが外に飛び出すけど。』

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 これです。写真は金色ですが、もちろんシルバー色もあります。『外寸なんぼや?』 「25mmです。」『あかんわ、20mmまでや。』 そらそうやわなあ、そんな広い革バンドないがな。(最近の革バンドは26mmとかも出てます。)

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 となると、これしかないねんけど、割りパイプピンの外形は1.2mmです。通り抜けます。本来はバンド側で止めるのが多いんやけど、時計本体の穴が大きいので、時計側にしっかりと固定せなあかん。1.8mm必要です。そんなんパーツでないがな。ずっと頭の中にあったのは、この割りパイプピンの別作です。しかしステンレスは固い。それを薄い中空にせなあかん。何度も失敗を重ねつつ、

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 出来ました。縦に切りました。これがまた一苦労です。外径1.8mm。とりあえず半分にカットします。

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 後は両端を削って長さを合わせます。

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 オールスターキャストです。

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 完成です。やったよMさん、長い事お待たせしました。