当社と連携している投資家さんのブログです。

 

アメリカが紙幣の増刷を続けていることを解説し、「通貨価値の下落(=インフレ)」の可能性を説いています。そして、紙幣の増刷を続けているのはアメリカでけではなく、EUも日本も同様です。

 

世界の通貨価値が下がる場合、どのように資産保全すれば良いか。貴重なヒントが書かれています。

 

「日本の財政が心配なので、余裕資金の一部を基軸通貨のドルで持っておくのはどうでしょうか。」

 

これは、ご相談に見えた方の話です。

 

 

基軸通貨のドルは、果たして安全と言えるのでしょうか。

 

円も将来どうなるか判りませんが、ドルだから信用できるということではありません。もちろん、ユーロも同じです。

 

理由の一つとして、アメリカの状況を紹介します。

 

まず、国家債務について。

 

一般に知られている政府債務は2000兆円くらいですが、地方債務などを合わせると、国家が抱える債務額は4000兆円とも5000兆円とも言われています。(詳細は闇の中)。しかも、日本と同様に、その額は年々増加しています。

 

次に経常収支は2018年で500兆円の赤字。

 

さらに、対外純資産に関してはマイナス。約900兆円の純負債を抱えています。因みに日本の対外純資産は300兆円以上。

 

つまり、国家が借金まみれなのは日本だけではなく、アメリカも同様であり、しかも経常収支も大赤字。いわゆる「双子の赤字」です。

 

アメリカは、国外から絶えず新しい投資資金が流入してこなければ、すぐに資金繰りが厳しくなってしまう状況なです。

 

「双子の赤字」と聞いて「プラザ合意」を想起する方も多いと思いますが、実際、多くの識者が「最後はトランプ大統領が、第2のプラザ合意的なドル安政策を強行して、対外債務の一部を実質的に帳消しにするのではないか」と指摘しています。

 

財政状態が厳しいのは日本だけではなく、アメリカも同じです。見ようによってはアメリカの方が厳しい状況かもしれません。

 

よって、通貨分散は意味がないわけではありませんが、主要国の通貨価値が手をつないで暴落する可能性も想定しておくべきだと考えます。

 

主要国の通貨価値の暴落。つまりそれは、「ドル安、円安、ユーロ安」、「主要国揃ってのインフレ」です。

 

現在、日本の家計の金融資産は1800億円です。
そのうち、60歳以上の高齢者で7割以上を保有しています。

「人生90年」と言われている時代。

寿命が70歳であれば、40歳くらい、つまり、教育費などがかかる時期に相続を受けることになります。一方、90歳まで長生きされたとすると、60歳くらいの高齢の子女が相続することになります。

「人生90年」では一番お金のかかる世代には、いつまでたっても資金が回ってきません。つまり、日本の金融資産は、高齢者間を行きかうばかりで、世の中の経済活動に還流されることなく眠り続けているというわけです。

このことが、日本経済が活性化されない大きな要因の一つとなっています。


では。

高齢世代で凍結している金融資産を解凍して、経済活動に還流させるにはどうすれば良いか。

その一番の特効薬になるのは、インフレです。

 

インフレは国家にとって、債務を帳消しにする効果があり、自らインフレにしようと必死になっている状況です。

インフレにより、高齢者の預貯金などは価値を失い、実質的に国に没収される形になります。

一方、子育て世代などの現役世代ついては、大きな金融資産は保有しておらず、インフレによる資産目減り効果が小さい中で、給料はインフレに応じて上昇することになり、深刻な痛みは感じずに済みます。(もちろん、現役世代の現金・預金、保険などは、資産目減りを起こすことになりますが。)

つまり、インフレによって、高齢者の金融資産を国家が没収することで債務を帳消しにし、財政に余裕が出ると、景気対策などで現役世代に回す資金も出しやすくなるということです。
 

 

 

これにより、第二次大戦後の日本経済でジワジワと蓄積されてきた金融資産の偏在の歪みをリセットですることが可能になります。

 



「インフレがくるかどうか」

ではなく、

「いつ、どのくらいのスピードでインフレが起きるのか」

あるいは、

「いつ、どのくらいのスピードでインフレを起こすのか」

に注意を払うべき時期です。

 

 

多くの人々は、戦争、テロリストによる攻撃、自然災害といった集団で受ける大きなショックの後に、物理的にも精神的にも方向性を失ってしまう。その状態を利用して、経済的なショック療法を用いて、人々をコントロールする。

 

これが「ショック・ドクトリン」です。

 

2011年に出版された著書『ショック・ドクトリン』では、アメリカが様々な自然災害、危機や惨事を利用して世界中の人々や世界各国にショックを与えることで、「自由市場」志向政策をどのように世界に拡大させて、支配的な政策にしていったかが赤裸々に綴られています。

 

また、ショック・ドクトリンは、「念願だった政策をどさくさに紛れて一気に遂行する」政治手法として、世界中で活用されていることも指摘しています。

 

 

 

本書にもあるように、これは世界中で行われていることであり、政治手法としては一般的なようです。日本でも、国家債務の膨張を一気に解消すべく、この手法の実行を虎視眈々と狙っている可能性を感じています。

 

日本にとって念願の政策とは何か。

膨れ上がった国家債務を一旦リセットすることではないでしょうか。つまり、「何らかのショックが生じたときに、どさくさ紛れにインフレを起こし、国家債務を一気に帳消しにして財政再建を果たす」ということが考えられます。

 

では、そのタイミングとは。

それぞれが30年以内に70%以上の確率で発生するとされている、南海トラフ地震と首都直下型地震が最大の候補といったところでしょうか。

 

これらが発生した時の被害想定は、南海トラフ地震が220兆円、首都直下地震は100兆円

とされています。

 

不幸にもこのような事態が発生してしまった時には、今の財政構造では平時対応の復興予算では賄いきれません。そのため、平時では禁じ手とされている財政ファイナンス(日銀による日本国債の直接引き受け)によって、資金調達する可能性が高いと考えられます。

 

 

なぜ、財政ファイナンスが禁じ手とされているか。

それは、貨幣の発行量が激増することを通して、ハイパーインフレをもたらしてきた事実が世界中に見られるからです。

 

しかし、極めて巨大な災害の前では、国民は思考停止してしまい、茫然とこれを受け入れてしまうことになるでしょう。そして、誰が責められることも、誰が責任を取ることもなく、国家がうず高く積み上げてきた債務の山をたちどころに消してしまうことができます。これぞ、まさしく「ショックドクトリン」です。

 

 

実際には、政策実行のきっかけに他のイベントが活用される可能性もあるでしょう。

 

 

現在の国家債務を増税や歳出削減でコツコツと返済していくことは、金額的にも不可能です。また、極端な増税や歳出削減を訴える候補者は選挙で当選できない、という民主主義のプロセス的にも不可能と思われます。である以上、何らかの「ショックドクトリン的発想」で強行せざるを得ないのではないでしょうか。

 

 

インフレはゆっくりと時間をかけて起きる場合もありますが、「政府債務の調整」のためのインフレは、あるタイミングで一気に跳ね上がることを歴史が教えてくれています。

 

現在、日銀は異次元緩和という「紙幣大量増刷」を実施し、政府はその緩和政策を利用して

野放図ともいえる歳出拡張政策をとっています。

 

これは乾いた薪(まき)をうず高く積み上げているように見え、あとは、そこにマッチを1本放り込めば・・・。

 

今後、この政策を維持したままで世界的な景気悪化が起きたとき、日本だけでなく世界中の政府が大規模な実質的財政ファイナンスを行う可能性は否定できません。


最近はやりの「MMT」なる理論も、その前触れのように見えます。

 

 

 

徐々に、しかし着実にインフレの足音は大きくなっています。