小説の一部公開2(凄く仲の悪い兄弟だが) | ★オリジナル小説&イラスト&FLASHアニメ置き場★

小説の一部公開2(凄く仲の悪い兄弟だが)

視点が変わる。
ちなみに、小説の一部公開1 はミャラ視点。
何か……修羅場が続いていく。
うわぁー、重そうな話。
まぁ、今だけか……。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

レジスタンス〈吉川編〉
 泣き疲れて、ミャラちゃんが眠ってしまう。
スヤスヤと眠る姿も可愛らしい。
こんなに可愛い彼女を和樹なんかにやるものか。
正直を言うと、バカ嬢だって、気に入らない。
本当は一人占めしたいのに……。

 ボクの中で絶え間なく燃えたぎる独占欲。
彼女をどこかに監禁して、ボクだけの物にしてしまいたい。
行動には出さないけど、ずっと願い続けてきた。
あぁ、この願いが叶うのならなぁ……。

 彼女の髪をいじっているうちに、ふと思い出す事。
そうだ……あれを返さないと。
彼女のボールペン……まだボクの手元にある。
確か、書斎に置いていたはず……。
部屋の鍵を手に持って、部屋を出る。
鍵を掛けて、書斎に向かう。
和樹が勝手に彼女に近づくと困るから、用心に越したことはないだろう。

 書斎に辿り着くと。ペン立ての中に、例のボールペンが見える。
それを手に取り、胸ポケットに入れて。
部屋を出ようと振り返ったら、部屋の出入り口に和樹の姿。
妙に曇った瞳をボクに向ける。

「何をしているんだ?」
「忘れ物だよ。お前には関係ない」
「そうか……」
「それより、何か用? 用があるのなら、さっさと話して」
「…………」

 黙りこむ和樹。不意に、口を開く。

「あの子……可愛いな」
「……ミャラちゃんの事?」
「楓によく似てるよな……。見た目も性格も……」
「だったら……何?」
「兄さん……覚えているか? 兄さんが楓に初めて会った時、兄さんに楓を紹介したのはオレだったんだぞ……」
「あぁ、そうだったかな……?」

 ボクが愛想なく首を傾げたら、和樹が歯を食いしばりながら話し出す。

「元々は、オレの彼女だったんだ。楓はオレのお気に入りだったのに……」
「それはお前の妄想だ。お前が楓の事を好きでも、楓はお前になんて興味なかった。ただの友達だって言っていたよ」
「兄さんが手を出さなければ、オレの物になる予定だった!」
「はいはい。ほざくのは好きにしろ。だけど、そんな憂話うさばなしを聞いている程、ボクは暇じゃない。お前と違ってね。そういう話なら、鏡に向かって言ってやりな。向こうも真面目になって、聞いてくれるよ」

 嫌みを込めて言ってやると、和樹が激怒の表情を浮かべる。
知るものか。和樹の戯言なんて、耳に入れる程の価値もない。
こいつと係わるのは、時間の無駄だ。
ボクが扉に近づこうとすると、不意に和樹がボクの足元に何かを叩きつける。
一通の封筒。眉をしかめるボクに、和樹が言う。

「兄さんにプレゼントだ。弟からの誕生日プレゼントだぞ。嬉しいだろ?」
「何?」
「別に危険な物じゃない。が……どうだろうな? 兄さんにとっては、刺激が強すぎて、毒になるかもしれない」
「ゴミには興味ない」

 どうせくだらない物だろう。
封筒を無視しようとする、ボクの耳に入ってくるのは思わぬ言葉。

「楓が自殺した理由を知りたくはないか?」