「ウィル大丈夫?」
レイがウィルをの体を揺すっている。
暫くしてウィルは目を開け、飛び起きると頭を抱えた。
「マジかよ・・・」
「相手がどれだけの力量を持っているか考えず、感情にまかせて突っ込んでくるからこうなるんですよ。」
スルトが少し離れた場所に座って、本を読みながらそう答えた。
「それに、今回は相手に一撃を与えたら良いだけなのに
正面から力任せ大降りをするなんて避けてくださいと言ってるようなものですよ。」
ふう、と溜息をついてスルトは続けた。
「もし、これが私ではなくサラを狙っている組織の者だったら、貴方は死んでます。」
スルトはウィルをキッと睨み付けた。
「約束どおり旅に同行するのは認めよう、だが魔族の貴様に教えてもらうことなど何も無い。」
ウィルはそう言うと、町の方へ走っていった。
「むぅ、何故彼はあそこまで魔族を嫌ってるのですか、それとも単に人に教わるのが嫌いなだけしょうか。」
スルトは読んでいた本をパタンと閉じてそう言った。
「師匠がいるって言っていましたから、人から教わるのが嫌いってわけではないと思います
ただ、子供の頃に魔王に住んでた町を滅ぼされてしまって、それで・・・」
レイがもの悲しそうに呟いた。
「魔王に・・・ディノが理由も無くそんな事をするとは思えませんが。」
スルトは難しい顔をしている。
「私もディノスはそんな事はしないと思うんですけど。」
レイはそう嘆いた後にディノスの方を見た。
「貴女はディノスが魔王ディノだって事を知っているのですか。」
スルトが不思議そうにレイを見た。
「昨日、初めて知りました。」
「そもそも、ディノは何故所をうろうろしているのですか。」
スルトもディノスの方を少し睨むように見た。
「流石に二人には説明しないといけないよね。」
ディノスはそう呟いて、レイとスルトに話を始めた