台東区の自主避難所、ホームレス男性の避難断る:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASMBF3RVWMBFUTIL01K.html #台風19号
東京都の台東区が、ホームレス男性の避難を断ったとして、話題になっています
地方自治体は、災害の際には、地域住民でも旅行者でも通勤通学者でもホームレスでも安全に避難できる場所を提供しないとならないし、避難場所に適切に誘導できるようにしないとならないと思います
しかし、だからといって、身に危険が差し迫っていて、適切な施設で受け入れてもらうように手配する時間もないという緊急事態でも無い限り、自主避難所にどこの誰でも分け隔てなく避難者を受け入れろということにはならないと思います
今回の件では、自主避難所で受け入れを断られたあと、どこの避難所にも一時滞在施設にも受け入れられていないようなので、そうなったのは台東区の対応が悪かったのではないかと思いますし、台東区内のどの避難のための施設でも、住所がない人を受入対象にしていないというのであれば大きな見落としだと思います
でも自主避難所でいつでも誰でも分け隔てなく受け入れろは違うと思います
まず、こちら
台東区が開設した忍岡小学校の避難所は、下記のように土砂災害の危険性が高くなった地域に住んでいる人が、心配だ、危険だ、避難が必要だと思ったときに避難するために開設された避難所です
土砂災害で危険が迫った住民のために開設された避難所です
自主避難所も開設されていますが、原則は自宅での避難です
避難所は、自宅が不安な人のために、身の回りのものや食料などを持参の上で避難するという施設です
そして、台東区の避難施設としては、こちらも開設されました
外国人観光客等の緊急滞在施設の情報です
東京都の場合、東京都防災マップで各地区の避難所、一時滞在施設、避難場所が検索できますので、どこにどんな施設があるかをみることができます
どこの自治体でも似通った体制が組まれているのではないかと思いますが、避難所と一時滞在施設と避難場所は異なるものです
今回受け入れを断ったと言われているのは避難所です
それも土砂災害の危険がある住民のために開設された避難所です
避難所は、自宅で過ごすことが不安とか危険な地域住民の避難場所として、自治会とか町会とか地域の住民の集団ごとに開設されますが、避難所の運営は自治会や町会などが中心メンバーになって行われ、地方自治体職員が派遣されたり、学校職員や防災組織やボランティアが運営に加わったりするものです
日頃から地域住民が中心になって、非常時の避難訓練や避難所体験などの機会を設けていると思います
基本的に、自宅では不安な住民、危険な住民が、身の回りの必要な持ち物や食料などは各自が持ち寄り、避難所は飲料水や毛布など必要最低限のものの支給を行うことになります
運営の主体は地域住民であり、地域住民の自助・共助で運営が成り立っています
自治体が、食料や身の回り品をいろいろ取り揃えていてくれて、行けば自治体の職員が身の回りの世話をしてくれたり、快適な居住空間を用意してくれたり、お客様扱いしてくれるというところではありません
要支援者への対応はあっても、地域住民の自助・共助で成り立つところです
地域住民が中心に運営し、女性・子供・老人・支援の必要な人など地域住民で自宅では不安だと思って避難してきていて、プライバシーもなくなるところに、いつでもどこの誰でも分け隔てなく受け入れろというのは無謀ではないですか?
避難所の運営の仕方をどこの誰でもどんなときに受け入れてもみんなが安心・安全だという体制にヒトもカネも施設も使って、変えていきましょうというならわかりますが、避難所はどこの誰でもどんなときにでも受け入れろというのは避難所のことを知らない人が地域住民のことを無視して言っているとしか思えません
避難場所というのは、避難所とは違って、大きな公園とか緑地とかです
台東区の場合は、上野公園一帯、谷中墓地、隅田公園一帯が避難場所になっていますね
そして、地域住民の避難者対策とは別に、帰宅困難者対策があります
東京都には、「東京都帰宅困難者対策条例」というのがあります
事業者の従業員とか、学校、観光客、買い物客、地域にある各種施設の利用者など、不特定多数の人が対象になるものです
この不特定多数の人たちのために開設される施設が、一時滞在施設です
都の施設や区の施設がありますが、いつでも開設されているわけではなく、必要に応じて開設されます
また、都や区の要請で、地域の事業者の施設が一時滞在可能な場所として提供されることもあります
不特定多数の人が対象なので、周知徹底する手段とか情報伝達する手段が十分ではなく、それは課題と認識されてはいますから、自分が不特定多数になるような場所に行く場合は、情報を得る手段は考えておかないとならないです(通信ができなくならない限りスマホで得られる情報は多いと思います)
帰宅困難者対策の対象として、住むところのない人というのは明示されていません
他の自治体の防災計画でも住むところのない人というのは書かれていないかもしれません
しかし、今の防災体制の中で、自治体としては誰でも安全を確保できるようにしないとならないですから、帰宅困難者対策の一環として行われるべきで、現状の避難体制の中で一時滞在施設からも住むところのない人は締め出しますというのはダメでしょう
受け入れることになっていなかったなら、受け入れるようにしないとならないと思います
帰宅困難者対策とは別の対策を行うということであれば、対策を別途たてることが必要でしょう
帰宅困難者や住むところがない人が避難所に来てしまったなら、時と場合によっては受け入れてもよいのですが、一時滞在施設に行くように適切に案内誘導できるようにしておかないとならないでしょう
今回の場合、忍岡小学校の避難所に行ってみてはというアドバイスも適切でなかったと思いますし、忍岡小学校では受け入れを断るだけであとのフォローがなかったのも適切な処置ではなかったと思います
上野の東京文化会館が一時滞在施設として開放されていますから、東京文化会館での受け入れが行われなかったのは何の手違いがあったのか?、受け入れない決まりがあったのか?と思いますが、これは改めるべきでしょう
自分の住んでいる自治会や町会、町内会の防災についての情報、自治体の防災計画などの情報で、どんなときにどこに行って、どういう行動をすればよいかは確認しておきましょう
自主避難なのか、避難勧告・避難指示が出たのか、災害の種類はどんなものかなどによって行くべきところ、起こすべき行動が変わってきます
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とても参考になりますが、地元の防災の情報をちゃんと確認しておきましょう
横浜市の防災計画
横浜市の場合の避難に関してはこちらにパンフレットがあります