自分の日記

「ドスン!バサバサバサ」
 大きな物音の後に書類が崩れるような音がする、薄暗くほこりの匂いがする建物の中に女性が尻餅をついた様な体勢で座っていた、レイカだ。
 レイカは痛めている箇所が無いか確認するようにゆっくりと立ち上がり、服に付いたほこりを払うと、転倒する原因になった足元の障害物に目を向けた。
 そこには真っ黒な木箱の様な物が置かれていた、薄暗くてよくわからないが、作りはしっかりしているが新しい物では無い様だ。
 ここはレイカの自宅にある蔵で、色々な物が置いてある、昔は米なんかを保存していたのだろうが、今ではただの倉庫となっており、いつの時代の物かわからない程古い物も沢山あった、なのでこんな真っ黒な木箱がある事は不思議ではないのだが、レイカには違和感があった。
 ここに入って来た時、この箱は在っただろうか、無かった気がする、どちらにせよこの蔵にある物は調べるつもりだったので、取りに来た本をその箱の上に重ねて持ち上げると倉庫を出て行った。
「パチッ」
 天井につけられた照明が点き辺りが照らされる、レイカの自宅の地下にある隠し部屋だ、レイカはこの隠し部屋を自室として使っていた、夏は涼しくて冬でも毛布に包まればそれ程寒くはなく快適なのだ。
 倉庫から本を持ち出し、この部屋に持ってきて読んで本棚にまとめる、レイカは学校を卒業してから殆んどそればかりをして過ごしていた。
 本ばかりではなく、今日木箱を持ってきたように気になるものを部屋に運び込んでは、調べたりインテリアの様に飾ったりしていた、部屋の中はそうして集められた本や置物が並べられていて骨董品店のようだ。
 レイカは木箱を持ったままソファに座ると、木箱をまわしてみたり持ち上げて底を覗いてみたりした、表面は真っ黒にコーティングされているが、それほど新しい物では無い様で所々剥げて木の部分が露出していた。
 上部は別のパーツで蓋になっており取り外せるようだ、揺すってみると音がした、中に何か入っている、そう思うとレイカは木箱をソファの前に置き蓋を持ち上げた、中にはノートが入っていた。
 恐る恐るノートを手に取る、新品ではないが木箱に比べれば全然新しい、今でも文房具店に売ってるような普通のノートだ。
 レイカはほこりを軽く払うと表紙をめくった。