Uターン

「カチッ」
「ジリリリリリリ!」
「リリリリリリリ!」……
「バチッ!」
 目覚まし時計を止めて起き上がる、今日は同窓会に向かう予定だ、手早く準備を済ませ駅に向かう、新幹線に乗り、電車を乗り継ぎ、途中で旧友のサトシに会い、同窓会の会場に着いた。
 同窓会は二次会まで盛り上がり俺はアキオの家に一泊させてもらった。
「どうする?駅まで送っていこうか?」
 朝、出かける準備をしながらアキオが言う。
 俺はいつかまた来るだろうし今回は帰ろうと思った。
「ああ、今から出れば夕方までには着くだろうし頼むよ」
「1日で帰るなんてニートなのに大変だな」
「だから違うって」
「じゃぁ少し急がないとな」
 そう言ってアキオは手早く準備を始める、俺も脱ぎ捨ててあった上着を着る、荷物が無い俺はそれだけで十分だった家の外に出て車の前で待っているとすぐにアキオは重そうなリュックを持ってでてきた。
 アキオは後部座席にリュックを置いて運転席に座った、俺も続いて助手席に座る。
 車の中で昨日の同窓会の事や最近の事を話す、小学校があった所は、夜アキオの家に向かう途中で見たとおり工場の様な施設になってしまっており、アキオはその施設の工事の仕事をしていた事もあるらしい。
「寂しいもんだよね」
「まぁしょうがないだろ、うちらが卒業する時には1年生って男女合わせても10人と少しくらいだったじゃん」
「じゃぁ裏山も近々無くなっちゃうのかな」
「なんか社の取り壊しでもめてるらくてまだそういう予定は無いみたいだな」
 アキオは運転したまま続けて言う。
「けど壊すのは嫌だなー、小学校を壊す時も見てたけどあまり気分のいいものじゃないな」
 話しているとあっという間に駅に着いた、駅前のロータリーの手前に車を停める、俺はお礼を言って車から降りた。
「ありがとう、じゃあまたいつか」
 そう言って車の窓越しに手を振った、アキオは車をUターンさせて道を戻っていく、俺はそれを見送って駅の方へ歩いていった。
 駅は思ったより混雑していなかった、ゴールデンウィーク中だがまだ帰省ラッシュは始まっておらず、田舎から東京へ向かう人は少ないようだ、俺は切符を買って電車に乗り込みすぐに眠ってしまった。
「カチッ、ブゥゥゥゥゥン」
 自宅に帰ると俺はすぐにパソコンの電源をつける、何するわけでもないが取り合えずパソコンを起動してその間に冷蔵庫から飲み物を取ってきてパソコンの前に座る、いつも通りだ。
 飲み物を片手にマウスを操作しながらメールやお気に入りサイトを確認していく、しばらくパソコンを見ていると急に右下にポップアップが表示された。