合言葉は、カレー万歳!





どんな料理にだって、本場というものがある。カレーもそれは変わらない。



インドカレーが食べたければインドレストランに行くのが一番である。

グリーンカレーならばタイ料理の店で食べるのが正しいかもしれない。

欧風カリーはフレンチの三ツ星レストランに行ってオーダーすべきだし

中華料理店ではカリーフェイハンという中華風カレーを注文して欲しい。



ならば、日本ならではの、カレーが食べられる場所、日本カレーの本場とはどこだろう?




断言しよう。蕎麦屋である。 


日本風カレーは世の中に数多くある。そのどれもが美味しい。

けれど、日本でしか味わえないカレーの極みといえば、やはり蕎麦屋のカレーだ。


あの、もたっ、とした独特のルウのとろみ。優しさと懐かしさのある味わい……




あああああ、おそば屋さんのカレーが食べたいっ!




と、仕事中に連呼していたところ、他の同僚の業務に支障をきたすと判断した

デジコンホワイト(イエローの超上司である正義の味方)から、こんな一言が。




「山形市の木の実町にある蕎麦屋のカレーが美味しいらしいぞ」





な、な、何ですって(←上司なので少し敬語)!こ、これは行くしかあるまい!






と、言うわけで訪れたのは、山形市にある老舗のおそば屋さん『小出屋本店』。


済生館病院のすぐそば、一方通行の通りの信号を、霞城公園側に右折する。

大沼デパートの駐車場そばと言えば、山形市民にはわかりやすいだろうか。


小出屋021


店内は昔ながらの、おそば屋さんのたたずまい。

のんびりとした時間が流れる、落ち着いたお店だ。




中華そばも、「ああ、昔なつかしい中華そばの味だぁ」とうなる

柔らかな風味。季節がら冷やしラーメンの注文がとびかっている。



小出屋03

で。


メニューに目をやると、ありましたありました。

カレーライス 550円」の文字。このお値段が泣かせるじゃないですか。



当然ながらカレーライスを注文。漫画を読みながら、待つこと15分……











大変ながらくおまたせしました!小出屋本店のカレーライス、登場です。拍手でお迎えください!!!!

















お、


おお、


おおおお!?


は、はじめて見る盛りつけ方だっ。


何というか、皿の半分に盛りつけるのではなく、あえて中心部にためらいもなく

投下したルウ!!ひき肉を使ったキーマカレーなどではたまにあるけれど、

ノーマルなカレーライスでは、なかなか斬新な盛りつけ!



「小出屋式」と(勝手に)名づけてみる!




ルウは見るからにモタアッとした、穏やかなルウ。


さながら、俳人与謝蕪村が詠んだ俳句「春の海 ひねもす のたりのたりかな」

という春の波の穏やかさを思わせる、ゆったりまったりした正統派の蕎麦屋カレーだ。






春の海 ひねもすのたりのたりカレー  イエロー









ふと、カレーをのせてきたお盆を見ると、かたわらに不思議なビンが……





こ、これは、もしやウスターソース!?


確かに、カレーにソースをかける人は少なくない(ケチャップ派もいますな)。

まあソースは野菜を煮詰めたものだから、ルウにコクが出るのは間違いではない。


しかし、デフォルトでついてくるのは初めてだ!




こ、これはっ…




こ、こ、こうかーっ!?(←動揺している)



で、




こ、こうなのかーっ!?(←動揺を隠しきれずにいる)




あ!い、言い忘れた(汗)


いただきます!カレーの神様に感謝!!!





お、


おおお!もったりだ!もったりさんだ!


見た目より、はるかに、もったりさんだ。


「もったりさんが通る」だ!!(←動揺がおさまっていない)


参考画像(何のだ)



トロリとしたルウには、そばのダシと思われる鰹節の風味が

心地よく混ざって、口当たりのまろやかさと味わいの深さを生み出してる。


懐かしさをおぼえるのも当然だ、我々が親しんできた、

和の味がこのカレーの根底に流れているのだ。


くわえて、先ほどのソースである。

ウスターソースの、ややスパイシーな味わいが、ほどよいアクセントになっている!

これが本格的なスパイスをかけてしまったら、お互いの持ち味を殺しあってしまうに

違いない。このカレーは、ウスターソースで正解なのだ!




ガツガツとむさぼるようにたいらげ、2分31秒で完食。ああ、おかわりしたい(涙)。





食後、ご主人にお伺いしたところ、なんとラーメンのスープも隠し味に使っているとか!

なるほど、そば、ラーメン、カレーの三種混合、和洋折衷、三位一体!

まさしくこのカレーは大衆食堂にしか生み出せない、日本人の心のカレーなのだ!




刺激的なカレーも大好きだ。本格的なカレーも大好物だ。

けれども、ある日、ふと何かに疲れたら、何かを見失いかけたら、

「日本のカレー」に癒してもらおう、何かを取り戻しに再びこの店の暖簾をくぐろう。


そう誓って、今日もイエローは店をあとにするのであった……








ごちそうさまでした!カレーの神様に感謝!


小出屋
本日のお店 『小出屋本店』


山形県山形市木の実町11-16
TEL 023-622-5464
営業時間 11時~18時(15時~17時:休憩する時もあり)


ニッポンカレーでオリンピック応援だ!(←こじつけ)