合言葉は、カレー万歳!
どんな料理にだって、本場というものがある。カレーもそれは変わらない。
インドカレーが食べたければインドレストランに行くのが一番である。
グリーンカレーならばタイ料理の店で食べるのが正しいかもしれない。
欧風カリーはフレンチの三ツ星レストランに行ってオーダーすべきだし
中華料理店ではカリーフェイハンという中華風カレーを注文して欲しい。
ならば、日本ならではの、カレーが食べられる場所、日本カレーの本場とはどこだろう?
断言しよう。蕎麦屋である。
日本風カレーは世の中に数多くある。そのどれもが美味しい。
けれど、日本でしか味わえないカレーの極みといえば、やはり蕎麦屋のカレーだ。
あの、もたっ、とした独特のルウのとろみ。優しさと懐かしさのある味わい……
あああああ、おそば屋さんのカレーが食べたいっ!
と、仕事中に連呼していたところ、他の同僚の業務に支障をきたすと判断した
デジコンホワイト(イエローの超上司である正義の味方)から、こんな一言が。
「山形市の木の実町にある蕎麦屋のカレーが美味しいらしいぞ」
な、な、何ですって(←上司なので少し敬語)!こ、これは行くしかあるまい!
と、言うわけで訪れたのは、山形市にある老舗のおそば屋さん『小出屋本店』。
済生館病院のすぐそば、一方通行の通りの信号を、霞城公園側に右折する。
大沼デパートの駐車場そばと言えば、山形市民にはわかりやすいだろうか。
店内は昔ながらの、おそば屋さんのたたずまい。
のんびりとした時間が流れる、落ち着いたお店だ。
中華そばも、「ああ、昔なつかしい中華そばの味だぁ」とうなる
柔らかな風味。季節がら冷やしラーメンの注文がとびかっている。
で。
メニューに目をやると、ありましたありました。
「カレーライス 550円」の文字。このお値段が泣かせるじゃないですか。
大変ながらくおまたせしました!小出屋本店のカレーライス、登場です。拍手でお迎えください!!!!
お、
おお、
おおおお!?
は、はじめて見る盛りつけ方だっ。
何というか、皿の半分に盛りつけるのではなく、あえて中心部にためらいもなく
投下したルウ!!ひき肉を使ったキーマカレーなどではたまにあるけれど、
ノーマルなカレーライスでは、なかなか斬新な盛りつけ!
「小出屋式」と(勝手に)名づけてみる!
ルウは見るからにモタアッとした、穏やかなルウ。
さながら、俳人与謝蕪村が詠んだ俳句「春の海 ひねもす のたりのたりかな」
という春の波の穏やかさを思わせる、ゆったりまったりした正統派の蕎麦屋カレーだ。
春の海 ひねもすのたりのたりカレー イエロー
ふと、カレーをのせてきたお盆を見ると、かたわらに不思議なビンが……
こ、これは、もしやウスターソース!?
確かに、カレーにソースをかける人は少なくない(ケチャップ派もいますな)。
まあソースは野菜を煮詰めたものだから、ルウにコクが出るのは間違いではない。
しかし、デフォルトでついてくるのは初めてだ!
こ、これはっ…
こ、こ、こうかーっ!?(←動揺している)
で、
こ、こうなのかーっ!?(←動揺を隠しきれずにいる)
あ!い、言い忘れた(汗)
いただきます!カレーの神様に感謝!!!
お、
おおお!もったりだ!もったりさんだ!
見た目より、はるかに、もったりさんだ。
「もったりさんが通る」だ!!(←動揺がおさまっていない)
参考画像(何のだ)
トロリとしたルウには、そばのダシと思われる鰹節の風味が
心地よく混ざって、口当たりのまろやかさと味わいの深さを生み出してる。
懐かしさをおぼえるのも当然だ、我々が親しんできた、
和の味がこのカレーの根底に流れているのだ。
くわえて、先ほどのソースである。
ウスターソースの、ややスパイシーな味わいが、ほどよいアクセントになっている!
これが本格的なスパイスをかけてしまったら、お互いの持ち味を殺しあってしまうに
違いない。このカレーは、ウスターソースで正解なのだ!
ガツガツとむさぼるようにたいらげ、2分31秒で完食。ああ、おかわりしたい(涙)。
食後、ご主人にお伺いしたところ、なんとラーメンのスープも隠し味に使っているとか!
なるほど、そば、ラーメン、カレーの三種混合、和洋折衷、三位一体!
まさしくこのカレーは大衆食堂にしか生み出せない、日本人の心のカレーなのだ!
刺激的なカレーも大好きだ。本格的なカレーも大好物だ。
けれども、ある日、ふと何かに疲れたら、何かを見失いかけたら、
「日本のカレー」に癒してもらおう、何かを取り戻しに再びこの店の暖簾をくぐろう。
そう誓って、今日もイエローは店をあとにするのであった……
ごちそうさまでした!カレーの神様に感謝!
山形県山形市木の実町11-16
TEL 023-622-5464
営業時間 11時~18時(15時~17時:休憩する時もあり)
ニッポンカレーでオリンピック応援だ!(←こじつけ)