
ウィトルーウィウス建築書(森田慶一訳注、東海大学出版会)による日本語版にはこのように書かれている。
実に、自然は人間の身体を次のように構成した。
頭部顔面は顎から額の上毛髪の生え際まで1/10、同じく掌も手首から中指の先端まで同量;頭は顎から一番上の頂まで1/8、首の付け根を含む胸の一番上から頭髪の生え際まで1/6、胸の中央から一番上の頭頂まで1/4。
顔そのものの高さの1/3が顎の下から鼻孔の下までとなり、鼻も鼻孔の下から両眉の中央の限界線まで同量。この限界線から頭髪の生え際まで額も同じく1/3。
足は実に、背丈の1/6、腕は1/4、胸も同じく1/4。
その他の肢体もまた自分の計測比を持ち、昔の有名な画家や彫刻家達はそれを用いて大きな限りない称賛を博したのである。
これと同様に、神殿の肢体は個々の部分を総計した全体の大きさに最も工合い良く計測的に照応しなければならぬ。人体の中心は自然に臍である。なぜなら、もし人が手と足を広げて仰向けに寝かされ、コンパスの先端がそこに置かれるならば、円周線を描くことによって両方の手と足の指がその線に接するから。
さらに人体に円の図形が作られるのと同用に、四角い図形もそれに見出されるであろう。すなわち、もし足の底から頭の頂まで測り、その計測が広げた両手に移されたならば、定規をあてて正方形になっている地面と同様に、同じ幅と高さがそこに見出されるであろう。。。
うーむ、今から2040年も前に書かれた言葉というだけで感動してしまう。
円と正方形にに内接する人体図の上下にはこの書物からの引用が記され、足の下にはスケールがあり、指の長さと掌の長さの目盛りが描かれている。
今、シドニーで開催されている展覧会「ANATOMY to ROBOTS~解剖からロボットまで~」でも、レオナルドの人体や機械についての研究が詳しく紹介されている。日本での開催が待ち遠しい。