暗いトンネルの先に見えたものは 1 | 脱!マイナス思考。~私の母はパチンコ依存症~

暗いトンネルの先に見えたものは 1

えー、久しぶりすぎてうまく書けないかもしれません(苦笑

暗い話が嫌いな方はスルーを。

人の不幸話が好きな方は・・・お奨めします(笑


ちなみに再会の果て 10 からの続きです。




「死んでよ。私の前からいなくなってよ。」






しばしの沈黙の後、母が押し殺すような声で言う。




「私だって・・・死ねるものなら死にたいよ。。。」








そして両手で顔を覆い、泣き始めた。




「死ぬことすら出来ないんでしょ。

ただ現実から目を背けてパチンコして・・・。」


「お姉ちゃんになら・・・殺されてもいいわ。」


「ははは。

生きることも死ぬことも・・・全部人任せ。ほんと・・・呆れるわ。」


「うっうっうっっ。。。」


「こっちが泣きたいよ。」


「ゆず・・・お前の気持ちも分かるが今コイツが死んだところで解決するわけじゃない。

とりあえず対策を考えないと。。」


「あ、はい。そうですね。」


「お前・・・一体何社から借りてるんだ?正直に全部言え!

隠したところで何の得にもならないんだぞ。」


「・・・・分からない。」


「分からない?どうして分からないんだ?」


「借りたところから催促の電話が来て、返せないって言ったらまた違う業者を紹介されて・・・

そんなことの繰り返しだから分からなくなっちゃった。」


「・・・・・・・異常だな。」






母が持ってきた数枚の紙切れ。

そこには走り書きで複数の個人名、銀行口座、金額などが書かれていた。

金利が書かれているわけでもない。



「2万→1万5千円

10日後に1万」





こんな感じだ。


2万円の借り入れのはずが、実際には1万5千円。

そして10日後には1万円を利息として支払うという意味だという。


正常な人間ならば、手を出さない。出すはずがない。

やはり母は異常なのだ。


お金を借りたい一心で電話をし、メモをとったのだろう。


銀行へ急いでお金を引き出しに行く母の姿が目に浮かび・・・

どうしてこんな親の元に生まれたのかとため息をついた。




「全部で4社か・・・通帳持ってこい!

振り込まれた金額を見てみないと分からないだろう。」


「これ・・・・。」


「ん!?この○○って名前は何だ?

お前の出したリストに書かれてないぞ!」


「あっ、そこは大丈夫。」


「何が大丈夫なんだ?」


「そこは闇じゃないから。電話もそんなに来ないし。

この前1万払ったからまた貸してくれるから。」


「はあ?」


「何言ってるんだお前?

闇だとか闇じゃないとかの問題じゃないんだよ!

借りてるところを全部言えって言ってるんだ!」


「だって・・・そこは結構貸してくれるところだから残しておかないと・・。」






この言葉に一同絶句した。


この状況になってもこの言葉。

「自力で返す」という考えが、母の頭から欠落している。


まるで子供。




「狂ってるね・・・私には理解出来ないよ。」


「・・・・・・これで全部か?他にはないか?」




伯父Aはやり切れないと言った表情で話し合いを進めていった。



警察に事のいきさつを相談すること

消費者金融の相談所に行き、対策方法を教えてもらうこと

この2つだけが決まった。


長時間の話し合いの間、母は自分のために来た親戚にお茶一つ出すわけでもなく、

座布団一つ用意するわけでもなく・・・


闇金からの催促の電話が鳴れば急いで出て、ボソボソと話し、切る。

伯父Aや私が怒鳴れば家の窓やドアを閉めたり開けたりと終始落ち着きが無かった。




「そんなに大声出したら近所に聞こえちゃうじゃない。」




親戚一同にまで迷惑をかけておいて、それでも自分の立場だけを考える母に

怒りの気持ちすら消え、むなしさだけが残った。




「今日は本当にありがとうございました。

遠くから母の為に・・・これからもお世話かけると思います。

本当に・・・すみません。」


「俺はな、ゆず達の為にやってるんだ。

アイツ(母)の為じゃない。気にするな。」


「ゆずちゃん、私達がいるんだから大丈夫。

気をしっかりもってね!」


「ありがとうございます。叔母さんも気をつけて帰ってくださいね。」


「アイツは・・・見送りもしないのか。

とんでもない奴だな。」


「・・・・・・・・・・・。」



今までの話し合いがなかったかのように

母は一人、居間でTVを見ていたのだった。




つづく。