すれ違う母娘 4 | 脱!マイナス思考。~私の母はパチンコ依存症~

すれ違う母娘 4

知床の景色はすばらしいものだったが、私の目には歪んで見えた。
ぬぐってもぬぐっても、涙が溢れて止まらなかった。


「戻ろうか?」


事態を察した彼が言う。


「ううん。気にしないで。」

「気にしないわけないだろう!俺を気遣ってるのか?
早く妹の所へ帰ったほうがいいんじゃないのか?」



そうかも知れない。

けれど早く帰ったところで、状況が変わるわけでもない。

そしてなにより、母のうなだれた姿を見たら自分が何をするか・・・

それが一番怖かった。



「私って冷たいかな?」

「えっ。。」

「妹はどうしていいか分からずに泣いている。
そうは分かっていても、家に帰りたくないのよ・・・。」


「・・・・・。

途中で気が変わったら・・言えよ。」




羅臼百景のヒカリゴケ洞窟へ行き、海を眺め、名産品を食す・・

一瞬だけすべてを忘れることが出来たような気がする。。

今横にいる彼がいなかったら、私はもっと動揺していただろう。




「なぁ?」

「ん?」

「これからどうするの?お母さん、ヤバイんじゃない?」

「・・・・私だけの力じゃどうすることも出来ないよ。」

「お父さんは?」

「無理。前の事で分かってる。
親戚の伯父さんに相談するよ、また迷惑かけちゃうけど。」


「なんかあったら言えよ。」

「ありがと・・。でもいてくれるだけでいいよ。」





帰宅した私は伯父に連絡を取り、新たな対策を考えることとなる。

1つは母をブラックリストに載せるという対策。

そしてもう1つは・・・

母との距離を置く(=家を出る)という悲しい対策だった。

「今よりもっと新しい家に引越したい」

妹の夢は思わぬ形で実現しようとしていた。


つづく。。