世にはびこる誤謬 | 真の国益を実現するブログ

真の国益を実現するブログ

真の国益を実現するため、外交・国防・憲法・経済・歴史観など
あらゆる面から安倍内閣の政策を厳しく評価し、独自の見解を述べていきます。

<トヨタ中間期純利益1兆円超 過去最高、円安・北米好調>
先日ラジオのニュース解説番組に耳を傾けていると、トヨタ増収の話を受けて某エコノミストが次のような内容を解説していました。

(エコノミスト)トヨタの利益回復すごいですね。2兆円ですよ、これこそ円安による恩恵ですね。量的金融緩和等によるアベノミクスが効いてます。しかし、為替頼みのところがあるので、このまま円安水準を維持できるかが課題です。まだ現状では中小企業にまで恩恵は降りていないので、円安水準を維持していくことが必要です。
(アナウンサー)日本経済は輸出頼みですからね。
(エコノミスト)そうなんですよ、我が国においては内需は期待できません。特に、アジアの成長を取り込まなければいけません。
(アナウンサー)ということは、グローバル人材の育成が急務なのですよね。
(エコノミスト)英語教育の充実が必要です。それが日本の生きる道です。

このやり取りをどう思われますか?

日本経済新聞等経済専門誌、一般新聞、テレビ等での経済番組での解説討論、政治家による今後の日本経済のあり方に関する演説、巷の庶民の会話の多くが、このような輸出増が重要、グローバル人材の育成が急務というような内容です。

おそらく、安倍総理、安倍政権の多くの主要閣僚もこのような認識なのでしょう。

当ブログを既に読んでくださっている方は、このような認識が間違いであることにはお気づきでしょう。

整理すると、

①円安は必ずしも日本経済全体に善ということにはなりません。ドル建て輸出価格は低下するので販売量増加、同じ販売量であっても円換算で売上高が増加します。一方、円建て輸入価格は上昇するので、エネルギー・原材料費上昇分を販売価格に転嫁できない中小企業にとっては利益を圧迫します。

②中小企業においては、安倍政権による経済対策の恩恵は十分には行き渡っていないという認識は正しい。おそらく、自らの経済対策を誇る安倍総理も認識されていると思います。ただし、①で説明したように、円安によってすべての企業、そして家計が恩恵を受けるわけではなく、その負の影響も大きいので、円安効果だけでいずれは日本経済全体が好況になるという認識は間違いです。

③日本経済は本当に輸出増加にしか活力を見い出せないのでしょうか?まずは、名目GDPに占める輸出額の割合(グラフ(上)参照)を見てください。ここ数年15%前後です。小さいとは言いませんが、内需の方が圧倒的に大きな内需大国です。また、他国に比してむしろ小さい割合(グラフ(下)参照)です。
 問題は、ここ20年程度にわたり、公共事業の縮小、公務員削減、各種規制緩和等の構造改革が行われ、内需を減少させる方向の施策ばかりが進められてきたことです。内需に期待できないのではなく、内需拡大策が政策として選択されなかった。そして安倍政権の経済対策においても、大規模な財政出動は、おそらく平成24年度補正予算限り(消費税増税景気下振れ対策としての若干の補正予算は期待できますが)、成長戦略としては、TPP参加、各種特区構想等従来からの構造改革路線を加速させるようなものばかり、ということが問題なのです。また、外需主導では、当たり前のことですが外的ショックに対しては脆弱であり、世界的に需要が減衰する中、厳しい価格競争は必至であり、いわゆる底辺の競争となり、雇用者所得の増加は望めません。

④アジア経済は順調に成長するのでしょうか?これも疑問です。中国経済に関してはシャドーバンキングによる莫大な不良債権や環境・民族・格差問題等不安定さがいよいよ表面化してきました。インド等他の発展途上国も資本面においては外貨頼みという側面もあるため、米国の金融緩和の行方次第では通貨危機に陥る可能性も大です。もちろん、対ユーロへの輸出に支えられている面もあるため、ユーロの景気後退の影響は免れません。

⑤グローバル人材とは、どのようなビジネスマンのことなのでしょうか?英語を話すことができれば、それで良いのでしょうか?もちろん、話せるに越したことはありませんが、それだけではないでしょう。日本語をTPOに応じて適切に使用し、コミュニケーションにおける機微を理解し、またその手段として日本の歴史文化にも精通し、それを商談話のきっかけとして盛り込むこともビジネステクニックの一つしてあり得るのではないのでしょうか。繰り返しになりますが、日本は内需大国なので、勤労者の多くがいわゆるグローバル人材になる必要もないのです

安倍総理に対しては、このような日本経済に関する誤謬を解くため、中野剛志氏、藤井聡氏等の識者、西田昌司参議院議員等が何度かレクチャーを行っていると聞いています。しかしながら、安倍総理は聞く耳を持たない(竹中平蔵氏の言葉には耳を傾ける)。今までの言説や経済運営から判断するには、輸出増加が日本の生命線と思い込んでいるのでしょう。

このまま安倍総理主導(官邸主導)の経済運営が続けば、一部大企業の内部留保(現状でも総額307兆円)が積みあがることはあっても、日本経済全体としては、ジリ貧状態が続くことは間違いないでしょう。

日本を安倍晋三から取り戻す!真の国益を実現するブログ
日本を安倍晋三から取り戻す!真の国益を実現するブログ


よろしければ、一日一回バナーのクリックをお願いいたします。

にほんブログ村 政治ブログ 保守へ
ブログランキング