席入りて我こそ他門と思へかし

余所の弟子にぞ口出さざるべし 道舜


 茶道をしていて、人格を磨くことが大事だということは言わずもがなですが、先生になっていなくても一番してはいけないのが「他人の弟子に口を出すこと」です。

 

 大体、口を出す人は弟子を取っていない人に多い気がします(苦笑)


 それでいて歴が長い人。

 

 そういう方は大抵「自分は流派の大先輩なのだから、敬意を払われて当然」と考えています。

 

 それって本当にそうでしょうか?


 私は意外と違うんじゃないかと思ったりします。

 

 敬意を払ってもらうにはそれなりの接し方があるし、弟子に指導していいのは師匠だけだし、姉弟子だかなんだかが好意で口を出したとしても、師匠が口にしなかったのには理由があるはずです。

 

 月桑庵では、点前の稽古や基本の所作は通常の稽古で、客稽古はお茶会へ行こうでしています。

 

 なので、目怠くても詰めをやらせてみたりします。

 

 こういうことはやらせてみてできないのを自覚しないとできるようにならないですし、茶会の最中に目を皿のようにして他人の所作を盗むようにならなければ、上達しないからです。

 

 茶道は何回も稽古を重ねることも大事ですが、茶会においては「見取り稽古」が大事です。

 

 周りとおしゃべりする前に、まずは他の人がどうやっているのかをよーーーーーーく観察することです。


 道具の話や連客との会話に意識が行きがちですが、客稽古でそこに至った人は正客を稽古するレベルになっているのです。

 

 まずは、客振りを磨きましょう。

 

 こうした弟子たちを暖かく見守って、会が終わってから「あそこはこうした方が良かった」とか「この手を練習しておきなさい」という風に伝えることが、尊敬される秘訣ではないでしょうか。

 

 大勢の前で他人の弟子に指摘するのは辞めたほうがいいと思います。