道具とは使ふてこその物なれば

使はぬものを道具といふまじ 道舜

 

 ここでいう道具は茶道具のことです。

 茶道具というのは茶道で使うために作られました。

 

 つまり、茶道具というのは使ってなんぼ!なんですね。

 

 これを美術的価値のみで判断してしまったり、学術的価値のみで判断してしまったりすると、使われなくなり、「かつて道具であったもの」になってしまいます。

 

 私はこれを「死蔵」と言っています。

 

 言い換えれば、美術的価値や学術的価値のみを見るのはその時点で「茶道具に非ず」ということになります。

 

 茶道というのは「道具を如何に用いてもてなすか」という道です。

 

 器に季節感と物語を添えて、食べ物や花や抹茶をどう盛り付けるか?を考え、他の道具との組み合わせを様々な観点から確認します。そこに茶人それぞれの独創性が問われるのです。

 

 つまり、使わないというのであれば、それは道具ではなく、美術品・骨董品に過ぎません。

 

 使ってこそ茶道具。使わぬならば茶道具に非ず――なのです。