謎の権利「閲覧権」 | 日々だらくだるく

謎の権利「閲覧権」

ネット配信で「広く薄くあまねく」徴収する“閲覧権”創設を
著作者や著作権者、コンテンツ事業者に適切な対価を与えるためにも、デジタル著作権管理(DRM)技術を整備した上で、著作物を閲覧したユーザーから料金を徴収する“閲覧権”を新たに創設すべきと力説した。

よくもまあこんなひどい名前にしたものである。閲覧「権」だと?

角川会長はこの名前に決めるときにしかるべき推敲をしたのであろうか?
したのであれば、角川会長の日本語力をもしくは品性を疑う。

「権」は権利の事である。閲覧権と言う名を素直に解釈すれば、われわれ閲覧者に与えられる「閲覧する権利」の事であるはずだ。追記:はてブコメントを見たら「○○させない権利」もあるとか。たしかに複製権とかありますね。
だが、ここで角川会長が主張しているのは「あまねく閲覧者から料金を徴収する制度」の事である。どうやら彼にとって「権利」とは国民からお金を奪う事を意味するらしい。
これを主張するのであれば「閲覧税」とか「配信権」とでも言うべきだったのでは?

おそらくわざとなのだろう。角川会長は書籍の販売で財を成した人物。この程度の言葉の齟齬がわからぬような人物ではないはずだ。
だとすれば品性を疑う。
今、大手マスコミが頻繁に行っている「悪意を持った部分引用」に近い行為をやっているのであるから。


角川会長のネーミングのひどさの追及はここまでとして、この料金徴収形態の問題点を挙げていくとしよう。

1、前提の誤謬
まず、「インターネット上で完全な著作権管理が可能になれば」という前提がすでに間違っている。仮定を間違えた理論はすべて否である。
どうやって検閲するのであろうか?
人力で?それともクローラーで?

人力では検閲数に限界がある。またどの団体が管理しようと、やるのが人である。その団体の都合のいいように検閲が行われる可能性を否定できない。

ロボットによるクローラーによる検閲も問題である。どうやってお金を取るべき著作物とそうでない著作物を判断するのであろうか?
インターネットにおけるコンテンツの中には、単純に自分の作品を広めたいという配信者によるものがたくさんある。
あまねく著作物から取るのであればこの人物の意思を無視する事になるし、かといってそのような作品を回避するようにすると、おそらくそれら以外のすべての正規・海賊版コンテンツに料金を徴収する事など出来はしないであろう。

「近い将来に技術革新が著作権の完全管理を可能にする」ということらしいが、そのときには海賊版を配信している側の技術も上がっている。

結局は著作者と配信者の間のいたちごっこである。現状と何も変わらない。


2、料金の徴収と配布の問題
これは、この会場でなされたというこの問答を聞けばおのずと理解できる事だろうと思う。

会場から「DRMで著作権を完全管理することで言論統制につながる危険性があるが、国民の思想や表現の自由にはどう配慮するのか」という声が挙がった。これに対して角川氏は、「例えば、JASRACが音楽著作権を管理しているが、それによって音楽の自由性が損なわれてはいない」と答えた。

ようするに、角川会長は現在の音楽の著作権管理に何の疑問も持っていないと言う事である(もしくは目をつぶっている)
少なくとも現在のCD業界は衰退に向かっているのだが。

今現在ジャスラックの著作権管理の問題点の多さは枚挙に暇がない。
CDとコピー機器にかかる著作権の二重徴収。カフェで何を演奏したかも調べずに、それどころかどれだけ演奏したのかも聴かずにただ料金を奪い取るやくざ行為。最近目に余るひどい徴収をしてきた。
そして、それらの「あまねく」徴収した料金は、正しく配布されているのであろうか。絶対にない。何がコピーされ、何が演奏されたのか把握する事は不可能だからだ。

このような問題点の多い例を挙げて「うまくいっている」と言い、それを理由に「新たな料金徴収制度を導入しても問題はない」というのは詐欺である。
どう考えても著作者にはお金がいきわたらず、閲覧者は見なくなり、コンテンツの衰退が起こり、新たな利権を生み出すだけで終わる。


人前で発表するのであれば出来る限り穴のないものを持ってきてもらいたいものである。

しかしながら、どうにかして違法なネット配信を止めなければならないのも事実。
根本から解決できる着想を誰か考え付かないであろうか?自分は無理だ。申し訳ない・・・

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「海賊版を上げたらその配信時間によって配信者から料金を取り、配信者が特定できない場合はそのコンテンツが存在したサーバーの持ち主が肩代わりする(配信者から後日徴収OK)」と言うのはどうか?
・・・アップロードできるサーバーが減るだけだな。

俺の発想力はこんなもんです。むりむり。


追記
 また、日本では新たな技術を生み出そうとする企業に対して、著作権法が二の足を踏ませているとして、国益の視点から見た「制度イノベーション」が必要であると強調した。
だからさらに料金を科すのか?もっと衰退するぞ。

 誤認の2点目としては、「インターネットのサイバー空間は海賊版が氾濫する不法コピーの巣窟」と誤解されていることを挙げる。
どう考えてもお前が一番そう誤解しているだろ。


余裕があればこちらもみてほしい。こちらではまともな事をいっているように聞こえる
「YouTubeは世界共通語」――角川会長の考える“次の著作権” (1/2) - ITmedia News
これを見ればどれだけ印象操作が効果的かよくわかるはずだ。

下の記事では前置きで印象操作を行っている。おかげで後の文章も肯定的に受け取ってしまう事が起こる。
上の記事では「より軽い著作権」である事を告げていない。(もしかしたら2重取りになるかもしれないが)
書く者になんらかの意図がある限りこのようなことが起こる。注意したい。