極上のイリュージョンをアナタに ファンタジウム(追記あり) | 日々だらくだるく

極上のイリュージョンをアナタに ファンタジウム(追記あり)

11月9日少し書き忘れていたので追記。

おとといモーニング2を知るもの来たれ!聖☆おにいさん! にちょこっと書きましたファンタジウムの本気レビューです。

ファンタジウム 1 (1) (モーニングKC)/杉本 亜未
¥580
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普段はネタにしやすい漫画だけな上、軽くしかレビューしない自分ですが、今回は時間をかけてじっくりレビューします。
何でかって言うと、もう一度見返してみてこれを軽々しく語っちゃいけないなと本気で思ったからであります。

1回読んで「面白かった」、2回読んで「やっぱりすごいな」、3回読んで「ああそうだったんだ」と感心する。何度も読むに値する漫画です。



あらすじ

祖父のようなマジシャンになりたかった北條英明。だが結局は普通のサラリーマンとして生活する毎日。
あるときセキュリティの改善のためカジノに派遣された北條は、そこで超絶的な技を持つ少年・長見良を発見する。

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子供のころのクリスマスの思いでは祖父の古びたトランク。
祖父が魔法の粉を振り掛けてひらくと、その中には欲しい物が必ず入っていた。
それを本物の魔法だと信じていて、祖父みたいな魔法使いになりたかった。

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そんな夢見る少年だった主人公北條英明も、大人になってみればただの一介のサラリーマン。マジシャンなんかで食っていけるのはほんの一握りですから当然と言えば当然。
しかし、自分の夢を思い出すたびに今の自分の毎日を疑問に思います。


そんなある日、セキュリティーの事で営業に行った先、裏で違法な営業をやっていたカジノである一人の少年に目を留めます。

ファンタジウム1

その少年はすこぶる強いけれどもただ淡々とギャンブルをやっているようにしか見えないのですが、北條は少年を一目見て「パームをやっているのではないか」と感じます。
パームとは手品師が物を手の中に隠す技術の事で、熟練した人がやると隠したままでかつ自然な動きで手を自由自在に動かせるようになったりします。自分もやってみた事がありますが、まともに出来ませんでした。

それで、彼に「パームやってない」とカマをかけてみるのですが

ファンタジウム2

「話がさっぱりわからないんだけど」と涼しい顔で華麗にスルーされてしまいます。まさに涙目。

しかし、それがパームだとしたら。
そのパーム技術に北條は亡き祖父の技を重ねます。

ファンタジウム3

小さいころ使っていた虫かごや浴衣、そして鍵のないトランクなどの祖父の遺品を見るたびにあの少年を思い出す北條。
いたたまれなくなって彼は生前祖父が出演していたキャバレーに足を運びます。

そこはカジノに行く途中立ち寄ったのですが、時代の流れで今月いっぱいで閉める事になっていました。


キャバレーで少年について尋ねると、あっさり答えが返ってきました。

名前は良(りょう)
祖父がかわいがっていた事、両親が死んでいる事、里親になじめない事、登校拒否でよくキャバレーに来ることなどいろいろ聞き、現在の時間なら公園で手品を披露していることが多い事を知ります。

早速公園へ

ファンタジウム4

妙な口調で凄腕の手品を披露する良を発見。紳士淑女・・・

演技終了後、良に熱く語りかける北條ですが暖簾に腕押し、なしのつぶて。良はまったく意に介しません。飄々とかわされてしまいます。

妙に醒めてて学校にも行かない、妙な聞き間違いをし時代錯誤な言葉を使うこの少年。

ファンタジウム5

どうにもこうにも気になって仕方がない北條。

なんと良がやくざに連れて行かれたことを聞いて飛んでいきます。もうやめとけw

ファンタジウム6

どうやら良の強さを見込んでヘッドハンティングに来た模様。
こんな強面のおっさんを前にまったく動じない良。ビビリまくりの北條。来た意味0です。

やくざのおっさんは言います。手品で稼ぐのは無理だ。賭場なら1日で1億稼げる、と。

ファンタジウム7

でもあっさり良はその話を蹴る。
「誰かを負かして自分が勝って、力をふるって威張るような事はしたくない。カジノにいたのは手品の技術を磨くためだ」と。カッコイイ!!


ここで北條は良にあのキャバレーでマジックショーをする事を提案。
しかし良はまったく乗り気にならない。本当に変なやつです。
マジックが好きでここまで技術を持っているのなら、普通の子供なら飛びつくはず。でもやらない。

良は言います。

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「俺はマジックを取ったら何もない」と。

マジックで失敗したらどうしようと言う不安を抱えているわけです。
若いんだから情熱をもってぶつかればいいと北條は言いますが、

ファンタジウム8

一人で考えたいと公園に引きこもる少年。そこは立ち入り禁止だw
超フリーダムな少年です。やっぱり変だ。


考えた末やる事に決定!キャバレーオーナーも乗り乗りです。
よっしゃー!やるぞー!!

ファンタジウム9

Σ(゚д゚;)なにごとっ??
いきなり現れたアフロマンに殴られました。あ、いやパンチパーマだな。

なんとコイツ、良の親父でした。あれ?両親死んだんじゃなかったっけ?


ハイ大嘘でした。
というかむしろ願望だそうでw
願望で人を殺すな!

ここで良のことが一気に明かされます。
長見良、中学2年生、家は金属加工業。ここ1ヶ月家に帰ってなかったようです。
放浪癖あり、工場は手伝わない、学校にはさじを投げられるでめっためった。

ん?(´・ω・`)さじ投げられたって何で?


聞くと良は難読症、正式には発達性読み書き障害だそうで、字はかけない本も読めない危険な場所もわからないで大変なようです。立ち入り禁止のところに入っていたのもそのせい。
「俺はマジックを取ったら何もない」というのもあながち大げさではないのです。

マジックの才能を認めてあげてもいいのではと言う北條に対し、あこぎな商売をさせたくないと突っぱねる父親。まあ親なら当然です。
でもなんとか月末のマジックショーだけは認めてもらえました。案外聞き分けのいい親父です。

ファンタジウム10

でもあっさり殴る。ひどいこと言う良も良ですが。
「力をふるって威張るのが好きじゃない」のはこいつのせいですな。

と結論付けるのは実はまだ早い。このせりふは後々まで響いてきます。が、それはまた別のお話。



そして月末。マジックショー当日。北條は来て欲しいと言う良の懇願に答えます。

こののマジックショーの場面はすごいです。
作者の杉本亜未先生は絵がむちゃくちゃうまいわけでは無いですが、大胆な構図、構成、そしてダイナミックな動きのある絵で非常に魅させてくれます。

これはぜひ買って見て欲しいです。のであえてここでは画像は出しません。少しだけ出してすごさが伝わるようなものではないので。


そんなすばらしいマジックショーを見ても意見をまったく変えない頑固な親父。
良を連れて行きながら北條に向かってこういいます。

ファンタジウム11

たかが手品じゃないですか

単独で見ればただ息子の将来を案じている親父のせりふ。
しかし、良は言いました。
「俺はマジックを取ったら何もない」

良の人生完全否定です。ひでえよ親父!

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そして別れ際に北條と良は握手をし、そこで良は何かを手渡します。


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それはひとつの鍵。
北條はすぐにこれが祖父のトランクの鍵だと感じます。
どうしてこれを探していた事を良が知ったのかはわかりません。そこはマジシャンの読心術というやつでしょうか。
ともかくトランクを開けると

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中身はマジシャンの命とも言うべきマジックのタネがいっぱい詰まっていました。
このトランクがクリスマスのプレゼントに使われていた事、その鍵を祖父が良に託していた事、そして良が北條に手渡した事。
これらの意味を悟り、北條は決心します。

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トランクを持って良の前に姿を現す北條。その意味は。

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と、ここまでが第1話です。長くてごめんなさい。もうちょっと削れたと思いますが、自分の力量ではここまでです。

マジックの描写もすばらしいのですが、マジックを通しての心のふれあいがいい!漫画です。


追記、書き忘れてましたが(何で忘れていたのか・・・)この難読症というやつは読み書き以外の能力にほぼ支障がないため、ほかの人から見ればわざとやっているようにしか見えないという点がポイント。読み書きに関してね。

その上、長見良はすごく生意気なガキです。けっこうむかつくやつです。頭もいい。

ゆえに周りの人に誤解を与えまくるのであります。困ったもんだ。

そうやって誤解を与えつつも、飄々と気にも介せず困難を突破していく天才少年マジシャン。ついでに子供な部分も時々覗かせる、カッコカワイイやつです。


これはそもそも読みきりのつもりで描かれたものでした。自分も読みきりとなっていたことを記憶しています。(手元にそのときの雑誌がないのであいまい)
これが連載される事になって本当にうれしかったです。


単行本は3話まで収録。残り2話は少しだけにしておきます。
2話以降、良の難読症の問題がどんどん頭をもたげてきます。けっこうきつい。


第2話「フォース」
北條の友人のつてで本格マジックショーの前座として出る事になった長見良。大舞台でどんな演技を見せられるのか?

注目は
良のデレ化
友人の心無い一言
ショーの最中の母親の一言
親父のデレ化
でしょうか。

2つ目はこの物語を象徴するせりふでしょう。前途多難です。
親父のデレ化も注目。客観視って大切ですよね。


第3話「ワイルドカード」
親父の許可も得て、次は世界的な大会にいきなり挑戦だぞ!

注目は
良の学校探し
大会でのアクシデント
ワイルドカードのくだり
です。

二つ目における良の行動は1,2話を見ればちゃんと理由がわかるようになっています。2周目で理解しました。
これがわかったとき感心しました本当に。
良は変なやつですが、その意図はすべて同じ方向に向いている事が、言葉でなく心で理解できたッ!

とジョジョネタをふって終わります。
うんゴメンひどいな。

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おまけ:ファンサイト二つ
長見良の魔法世界へようこそ!
ANIMAL X DROPS

本当は全話きっちりやるつもりでしたが文字数増えすぎるし、時間はかかるしやめました。これくらいが自分の気力の限界です。限界早いなー。
もう少し書くのが早ければ・・・この程度で二日かけてんじゃねーよ・・・orz

2巻分では良の学校生活がメインとなります。かなりきっついです。が、やっぱり面白いです。早くて2月くらいかな発売は。
じっくり読んでみて、聖☆お兄さんより上になりましたぜ。だんな(誰?)


ちなみに杉本亜未先生はBL出身らしく俺全然知りませんでした。

知ってた作品はこれくらい。

独裁者グラナダ (キャラコミックス)/杉本 亜未

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これもBLらしい。えー?うそやん。どっかで見たぞ。BL以外で。

次のレビューは「変ゼミ(変態生理ゼミナール)」をやってみたいと思うのですが、こっちの本屋で見たことないのがネック。すごい作品なのですが。

変態生理ゼミナール/TAGRO

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