表題の2曲
内藤やす子の「春無情」、
木の実ナナの「夏日傘」。


本日ご紹介するこの2曲には
いくつか共通点があります。


パッと見でわかるのは
どちらもタイトルが
漢字3文字ですね。


しかも、「春」「夏」と
頭に季節がついています。


歌っている歌手も
内藤やす子と木の実ナナという
やや渋めですが独特の声と歌唱で
昭和の歌謡界を彩った歌手です。


さらに共通点を探すと
2曲ともシングルではなく
アルバム収録曲です。


「夏日傘」は1977(昭和52)年に
発売された「紅ほおずき」の収録曲。


「春無情」は1979(昭和54)に
発売された「やさしさ尋ね人」の収録曲。


内藤やす子は一時活動を停止した後の
復活アルバムでした。


どちらのアルバムも
豪華な作家陣による
佳曲が収録されていることで
隠れた名盤といえます。


そのうえこの2曲の共通点は
作曲者が一緒ということ。


「夏日傘」は
東海林良作詞、丹羽応樹作曲、


「春無情」は
喜多條忠作詞、丹羽応樹作曲。


以前に何回か記事にしている
五木ひろし「熱愛」
石原裕次郎「パパと歩こう」
テレサ・テン「ジェルソミーナの歩いた道」を
提供している丹羽応樹が


この2曲を作曲しています。


こちら  と こちら  に丹羽応樹の記事があります。


丹羽応樹は、アルバム「紅ほおずき」の
タイトル曲でシングルカットされた
「紅ほおずき」や


木の実ナナの代表曲でもある
「おまえさん」も作曲しています。


「やさしさ尋ね人」には
阿木燿子、宇崎竜童コンビの「やさしさ尋ね人」や


つのだひろ作詞作曲の「本牧カモメ」
加藤登紀子作詞作曲の「生きいそぐ青春」などとともに
喜多條忠、丹羽応樹コンビの作品がもう1曲。


独特の雰囲気を持った
「夜を左に折れてゆく」も収録されています。


さらに、さらに
もう1つの共通点。


この2曲、
あまり認知されていない
アルバム収録曲であるにもかかわらず
「春無情」が先日カラオケDAMに配信され、


「夏日傘」も今日あたりから
配信がはじまりました。


♪ 毛布の手ざわり まだ温かい
   あいつはほんとに出て行ったんだ
   小さな窓の四角い空が  

   あいつの出発(たびだち)見ていたよ~


「春無情」の歌いだしです。


部屋を出て行った男、
ひとり残された女、
つけたままのテレビからは
桜の便り。


喜多條忠らしさが
にじみ出ている美しい詞と
丹羽応樹の沁みるメロディが
とてもよくマッチとています。


他の楽曲と違って
ほとんど全編囁くように歌う
内藤やす子の歌唱も見事です。


一方、「夏日傘」は
渡辺真知子の「唇よ、熱く君を語れ」や
石川さゆりの「沈丁花」などの
代表曲で知られる東海林良の詞に


いかにも丹羽応樹らしい
魅力的な旋律がついた楽曲。


♪ 恋しがりやが 一歩かさげて
   恋しがりやに 逢いに来る
   夏の匂いが 肌にふっくら
   うちわ ゆらゆら すだれ越し~


日傘、うちわ、すだれ、風鈴、遠花火など
夏の風物詩がいっぱい。


若い二人の恋が
粋な下町風情とともに描かれた
独特の情緒を感じる曲です。


「春無情」は
CDアルバム「新宿はぐれ鳥」に


「夏日傘」もCD「ベストアルバム 」に
収録されています。


お好きな方は
チェックしてみてください。