エルバン アニバーサリー1670 ~前編~
インク沼の住民にはもうすっかりおなじみのエルバンは、1670年フランスで生まれたもともとはシーリングワックスとインク老舗メーカー。
通常のトラディショナルインクだけでも30種類も出していて、そのどれもがとても独創的で大好きなんです。
たとえば、ミントソーダの淡いブルーを思わせる色があったり、カカオ色のインクがあったり。
そんなエルバンから2010年にブランド生誕340周年記念インクとして発売されたのが、アニバーサリー1670。最初はカーマインという色が出ました。
これがね、独特の色だったのです。
赤系の色なんだけど、朱色に近くて深い味わい。
さらに、時間が経つと、ちょっと変化する。
サビのような色が浮き出てくるようなつくりになっているの。
何か特別なものが入っているのかしら?って思ったんだけど。
とにかく不思議な色で、さすが340周年にふさわしい!と思っていたところ…。
2年ほど前に(確か…。そこらへん、あまりはっきり覚えていないんだけど。すいません)、その続編としてオーシャンが発売された。
ところがね、これがまぁ、つまんないのなんの。
カーマインのような面白いギミックもなく。
ただ、トラディショナルインクシリーズにはない色と言えばそれまでなんだけど、他の、たとえばモンブランのロイヤルブルーとか、そういうのに非常に近しいオーソドックスなブルーなのね。わざわざエルバンが限定で出すこともないのに、というのが正直な感想だった。
そんなこんなしているうちに、今年の初夏の頃に第三弾としてストームグレーが発売された。
その大きな特徴が、金粉が入っていること。
これがなかなか良い色ではないですか。
字を書くと、所々がキラキラと光る。
万年筆に入れても、そのキラキラ感が文字によってわかるんです。
これはとても素晴らしいインクだと思った。
なんか、こう、新しいジャンルを築いた感あり。
さすが、エルバン、やってくれるじゃない!
って思っていた矢先。
なんと、今度は過去に販売されたカーマインとオーシャンにもキラキラを投入するというではないですか!!!
まったくもう!!
どんだけ商売上手なんだよ!
とインク沼から抗議の声が聞こえた気もするが、実は、ストームグレーのキラキラが好評だったらしく、過去のインクにもキラキラを追加したのらしい。
つまり、インク沼の住民たちからの嘆願書でも送られたのかもしれない(笑)。
だから、文句言わずに買いましたよ。ブツブツブツブツ…。
さらにそれに追い打ちをかけるような情報が。
なんと新色の発売。
それがエメラルド・チボーという緑系の色だという。
ネットでたまたま在庫2つというところを見つけて、ゲット。
そうしたら、東急ハンズの新宿店にはまだ在庫が並んでいましたので、欲しい方はお早めに!!
さて、このエメラルド・チボーも実に素晴らしい色です。
というわけで、今回はこのエルバンアニバーサリー1670についてじっくりとレポートしたいと思います。
写真もたっぷりあるので、お楽しみいただける内容かと思います。
なので、お腹いっぱいにならないように2回にわけてレポートしますね!
さて、まずは外見をチェックしてみましょう。
エルバンのトラディショナルインクはこぶりな30mlです。
写真ではわかりにくいかもしれませんが、正面に溝が入っていて、そこにガラスペンなどを置くことができるようになっています。
そういうところがおしゃれなボトルです。
一方アニバーサリー1670も負けていません。
まず、容量は50mlです。
少しボトルも大きめ。
正方形でキャップと正面にシーリングワックスが施されています。
そういうデザインはやっぱりフランスだなって思いますよね。
シーリングワックスのお店だから、そういった細部にもこだわっているのでしょう。
で、これがね、4本揃っていると、また素晴らしいんですよ!
右から、発売順にカーマイン、オーシャン、ストームグレー、エメラルドチボーと並んでおります。
さて、ボックスのデザインですが正面のイラストが少し違っています。
周辺の帆船や椰子の木、錨、羽根などの模様は統一されているのですが、その他の部分に違いが見られます。
カーマインは1670の左上に王冠、下にリボンのイラスト。さらに右上にはハートが金色の線であしらわれています。
オーシャンは1670の左上にイルカ、下にロープのイラスト。さらに右上にはヒトデが銀色の線であしらわれています。
ストームグレーは1670の左上に船長の帽子、下に望遠鏡のイラスト。さらに右上にはヒトデが銀色の線であしらわれているのはオーシャンと同様です。
エメラルドチボーは1670の左上にクジラ、下にカモメのイラスト。さらに右上にはヒトデがあしいらわれているのはオーシャンやストームぶれーと同様です。線の色は金色です。
次に、ボックスの側面を見てみましょう。
カーマインだけが他のボックスと違っていて、あとは統一されています。
カーマインの右側面は花を持った女性と蝋印ラベルとバラの花が描かれています。
他のボックスは人魚と地球儀と大きな星です。
でも、その他の前面から続いている椰子の木や光の線などは統一されているんです。
では左側面を見てみると…。
カーマインは弓矢を持ったキューピット、雫、薔薇の花が描かれています。
他のボックスは貝、タツノオトシゴ、船の舵となっています。
で、右側面と同様に椰子の木やリボンといった他のデザインは統一されているのです。
ちなみに、裏面は全部同じです。
色が違うだけ。
このイラストがまた素晴らしいのですよ。
ポップで可愛いんだけど、洗練されていて野暮ったくない。
フランスのセンスの良さをそういうところにも感じます。
また、見逃してはならないのは、箱の丈夫のワンポイント。
ぼくはこういうワンポイントが大好きなのです!
カーマインは太陽、オーシャンは貝、ストームグレーは帆船、エメラルドチボーはダイヤとなっています。
それぞれの色で描かれ、縁取りが金(カーマインとエメラルドチボー)だったり、銀(オーシャンとストームグレー)なんですよね。
もう、これでシールとかマステとか出して欲しい!っていうくらい好きなデザインです。
では次に実際のインクの色を見て行くことにしましょう。
サンプルを作成するにあたり、Lamyのjoyというカリグラフィー専用のペンを利用しました。一番細い1.1mmが一番オーソドックスに書けるかなと思い、早速準備。
でも注意しなくてはならないのは金粉。
いかにして金粉らしさを出すかっていうのが悩ましいところ。
こうしてみると、底に金粉がたまっています。
だから、普通につけて書くだけでは無理だと思ったので、振ってみました。
そうすると、だいぶ金粉が散り、すくいやすくなるのではないかと思ったのです。
そうして書いたのがこちらです。
書いたばかりの時というのは、インクが定着していないので、良くわからないのですが、乾くとだんだんとキラキラした文字が見えてきます。
でも、全部がキラキラしているんじゃなくて、文字のサイズや幅によって変わるみたい。
でも、逆にその方が楽しいのかもしれませんね。
良く見ないとわかんないけど、一度それに気づくと楽しくなる、みたいなインクがあっても良いでしょう。
さて、これを今度は普通の万年筆で書いてみるとどうでしょうか。
それはまた明日、改めてじっくりとご紹介したいと思いますので、どうぞお楽しみに!