よく分かんないけど、ケンカ強そう……

2004年のことだったと思います。今はなき都内某レストランではじめて会った時のJUJUの印象。当時JUJUは髪もアフロで、あの大きな目で黙ってジーっと見られると、もの凄い威圧感。それも本場NY在住でJAZZやR&Bを歌っていたシンガーさんだという。NYというからには、きっとこの人もSex And The Cityみたいな人に違いない……(ざっくりとした印象)。

その時のJUJUはデビュー作、2ndシングルをリリースするも、その後何のリリースもなく、ひたすら次作に向けてNYで制作を続けていたタイミング。そんな中で、ひとつのチャレンジとして、僕の作った曲で、僕が編曲をして、僕の思う形で、という僕にとってもまたとない機会を貰って、早速とある1曲のレコーディングに取りかかりました。

それまでの僕にとっての音楽というものは、面と向かって言葉に出さなくても何かが伝えられる魔法のツールでした。僕さえ曲を作り上げてそれを先方に委ねてしまえば、誰にも迷惑も掛けないし、傷つけることもない。エネルギーを要する人間関係とも無縁でいられる、そんな便利な何か。

しかし、お互い勝手が全く分からない者同士が初めてスタジオに入るのでは、そうも行きません。何かを伝えたい時も、察してよ、みたいな僕の中の甘えは一切通用しない。本気で伝えないと、僕の本気が伝わらない。NY帰りとは、アメリカとはこういうことなのかー!(日本人 vs 日本人ですが)

これは、本心でぶつかるしかない。

僕は伝えるべきことを伝えました。必死に。が、その日はどうにもこうにもレコーディングは上手く行かず、JUJUも僕も疲れ果て、結局レコーディングは翌週に持ち越しになってしまいました。

ああ、結局物事を荒立てないコミュニケーションの方が良かったんだろうか……。自分の言ったことは正しかったとは思うけど、他にもっと良い言い方は無かったんだろうか……。ああ、ああ、あああ~(錯乱)。

ところが。1週間後に行った再レコーディングでのJUJUの歌は、何もかもを超越するパフォーマンスでした。この短い期間にJUJUは僕の思いを一生懸命に汲んで歌を完成させて来てくれたんです。そして怖そうに見えたのも、実はもの凄くシャイであることの裏返しで、心の中は熱い思いで溢れている人なんだということも分かって来ました。

そして、僕も気付きます。当たり障りなく生きる、というのは、もしかしたら人から傷つけられないように、っていう自分可愛さなのかも、と。想いを伝えたいだけの相手が目の前にいるのならば、体を張ってでも伝えにいく。時にぶつかることもあるかも知れないけど、その分こんな素敵な形で答えてくれる人もいる。JUJUに出会って、あの日の歌を聴いて、僕の中にそれまで知らなかった景色に出会いました。

これが当時30を目前にしながらの僕の中のJUJUとの青春(みずいろ)の思い出。そんな僕たちはいつしか茶色い色のお酒(主にウイスキー)で杯を交わす友達になりました。

そして月日は経ち、そんなJUJUの長年の夢だった茶色い酒が似合うJAZZのアルバム「DELICIOUS」 が11月30日にリリースになります。それに先駆けて今週23日に『Lullaby Of Birdland/みずいろの影』 がシングルカット。『みずいろの影』では作曲、および島健さんと共編曲をさせて貰いましたが、そのPV が遂に完成。泣ける!(中国の「Youku」とかいう明らかにYoutubeを意識した名前のサイトにアップされてるのも、ちょっと泣ける!)松尾さんの歌詞、やばい!そして今夜この後、23:30からはフジテレビの「僕らの音楽」でもこの曲を演奏するみたいです。

ところで、あの時にJUJUと僕がお互い泣く思いで録ったあの曲、一体いつ発表されるんだろう……(リリース未定)。どうかSONY様、リリースの程を!!