節分も過ぎ、2015年が新たにスタートいたしました。
皆様、新めまして   おめでとうございます。
BBCは今、「林の中の小さな図書館」の蔵書の整理をしています。
作業をしながら、新しい発見をたくさんしました。
多くの人が、山岳図書は敷居が高いと思っているのではないでしょうか。
そういう私もそんな一人ではあったのですが。。。
 図書館には、山岳図書ばかりではなく、旅の指南書の様なものがかなりあります。
旅や、自然の中に身を置くことで見えてくる、人としての在り方や、人生哲学等現代社会が抱える様々な問題を考える上でとても参考になることが、“さらっ~”と書かれていることにも驚きです。何十年たっていようと、人の営みに違いはなく、本質を語る言葉は、いつの時代にも通用するということですね。

図書館整理

今回は、そんな中で見つけた一冊の本をご紹介します。


宮本常一

「宮本常一のまなざし」という本です。
残念ながら、宮本氏本人は、40年ほど前に亡くなられていますが、氏をよく知る
「佐野眞一」さんが書かれたものです。40年以上も前の 氏の「まなざし」は、今の日本を見透かすかのように、大事なもの忘れてしまっている現在を危惧し、警鐘を鳴らし続けていたようです。
30ページ程読んでいくと、宮本氏のお父さん「善十郎さん」という方が、出てきます。
大阪に出ていく息子 常一氏に言った十ヶ条の言葉があるそうです。
長くなりますが、素晴らしい言葉なので、いくつか引用させて頂きますね。

~善十郎さんの十ヶ条~

1) 汽車へ乗ったら窓から外をよく見よ。田や畑に何が植えられているか、育ちが、良いか悪いか、村の家が大きいか小さいか、瓦屋根か草葺きか、そういうこともよく見ることだ。駅へ着いたら人の乗り降りに注意せよ、そしてどういう服装をしているかに気をつけよ。また、駅の荷置場にどういう荷が置かれているかを、よく見よ。そういうことで、その土地が富んでいるか、貧しいか、よく働くところかそうでないところか良く分かる。
4) 時間のゆとりがあったら、出来るだけ歩いてみることだ。いろいろのことを教えられる。
5) 金というものは、設けるのはそんなに難しくない。しかし使うのが難しい。それだけは忘れぬように。
8) これから先は、子が親に孝行する時代ではない。親が子に孝行する時代だ。そうしないと世の中は良くならぬ。
10) 人の見残したものを見るようにせよ。その中にいつも大事なものがあるはずだ。 焦ることはない。自分の選んだ道をしっかり歩いていくことだ。

100年も前の、しかも小学校も出ていない善十郎さんが100年後にも十分通用する言葉を残しています。それは、本質を語った言葉だからなのだと思います。
昔は、こういう人が、普通にいたことに驚きです。この本との出会いは、なんとなく埋めきれない心の穴を感じていた私にとって絶妙なタイミングでした。
私たちが聞く耳さえ持てば、それを埋める“言葉”や“心”を持った人が必ず現われてくれるのだと思います。それは“時空を超えてでも。。。”