☆抗がん剤と抗酸化物質の併用 | きじとら☆茶とら+はちわれ

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うちの猫達と他所の猫達のことなどあれこれ書いてます。
※不妊治療は限定記事にしています。

ハチの状態ですが、食欲は変わらず廃絶。
昨日はチャオかつおを少し食べて出汁は舐めていました。
強制給餌は怒るので可哀想ですが汗少量ずつちびちびと食べさせるしかありません。
体が持たないので根気欲食べさせないと。

抗がん剤は効いているかどうか?は今のところは呼吸は楽そうになっているのでリンパ腫を抑えていてくれている感触はあります。

抗酸化物質が抗がん剤の効果を弱めるというのを見て、ビタミンCを点滴に入れるのを途中で止めてもらったわけですが、調べると良くない・良いとそれぞれ見解があるようです。

ハチに関しては最初の抗癌剤治療の時には10日は食欲廃絶が続きました。
年末にビタミンCを点滴に入れたときには食欲の廃絶がほとんど無かったので、副作用は抑えられた、と思われます。
でも抗がん剤の作用が弱まったから食欲が廃絶しなかった、とも考えられるので(リンパ腫は抑えられたけど期間が短かった。これは再発だからと言うのもあると思いますが)抗がん剤を使っているとき(まだ体に残っているだろう間)は抗酸化サプリは控えるようにすることにしました。
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Antioxidants in Cancer Therapy; Their Actions and Interactions With Oncologic Therapies
(がん治療における抗酸化剤:それらの作用と治療薬との相互作用)
Davis W. Lamson, MS, ND and Matthew S. Brignall, ND
Altern


抗がん剤と抗酸化剤
しかし気になったのでオンラインで検索してみると、確かに先々週、わずかな数のニュースが流れていました。情報源はNCI(国立がん研究所)のジャーナルに掲載になった「化学療法と放射線療法を行う間、抗酸化剤の投与は避けるべきだろうか?」という論説記事です。共同著者には知人も名を連ねています。これは読んでおこうと思い、原論文を購読して読みました。

論説は、さまざまな抗酸化剤を放射線療法とがん化学療法に併用したいくつもの研究をレビューしたものです。著者らは、報告の中には抗酸化剤の併用が逆の効果を招いたと思われるものがあるので、抗酸化剤の併用は控えよう、と提言しています。

1年ほど前、「抗がん剤と抗酸化剤の併用はいい結果をもたらすことが示唆された」と言う論文を紹介しました(こちら)(原論文はこちら)。どこが違うのかと思いながら今回の論文を読み進むと、いくつか気がつきました。

まず、前回の論文は化学療法との併用だけを論じていました。それに対し、今回問題になったのは主に放射線療法との併用の場合です(喫煙者では逆効果がより著しく現れています:下表の文献1b)。

もうひとつ読者の誤解を招きやすいのは、これらの論文が対象とした抗酸化剤です。私たちが「抗酸化サプリメント」という言葉から思いつくような、ビタミン・ミネラル・カロテノイド・ポリフェノールなどの他に、メラトニンや、注射で用いるグルタチオンや、抗酸化作用のある医薬品まで含まれています。

一口に抗酸化剤と言っても、その作用機序はいろいろあります。作用機序が違えば、他の薬剤との相互作用も違ってきます。十把ひとからげにするのは不適切で、抗酸化剤Aでいいデータがあるからといって、BもCもいいとは限りません。逆効果の場合もまたそのとおりです。

また、副作用が減少した、という報告には注意が必要です。その抗酸化剤が治療の効果全体を打ち消し、その結果副作用の発現も減少したのかもしれないからです。この場合、再発率や生存率はどうなったかも見なければなりません。

前回と今回の論文に紹介されている主要論文をまとめると下表のとおりです。

【放射線療法との併用】
がん種 症例数 抗酸化剤(/日) 効果 副作用 文献
頭頚部がん 540 ビタミンE 400 IU、ベータカロテン 30mg(ベータカロテンは途中で中止) 再発↑*、死亡↑* ↓ 1a, 1b
頭頚部がん 54 ビタミンE 400mg - ↓ 2
膠芽腫 30 メラトニン 20mg 生存↑ - 3

【化学療法との併用】
がん種 症例数 抗酸化剤(/日) 効果 副作用 文献
転移肺がん 100 メラトニン 20mg 安定↑、縮小↑ ↓ 5
固形がん 250 メラトニン 20mg 消失↑、縮小↑、生存↑ ↓ 6
転移大腸がん 30 メラトニン 20mg 安定↑ - 7
肺がん 70 メラトニン 20mg 生存↑ ↓ 8
前立腺がん 48 エラグ酸 180mg 消失+縮小↑、生存↑ ↓ 9
白血病 124 ビタミンA 50,000 IU 生存↑ ↑* 10

*は好ましくない結果、↑は増加・上昇、↓は減少・低下を示します。
次のような論文は除外しました:医薬品についてのもの、経口投与でないと思われるもの、どちらにも何の有意差もないもの、症例数が30例未満のもの、要旨さえ確認できないもの。
このように、放射線療法に大量のビタミンEを併用した場合と、化学療法に大量のビタミンAを併用した場合において、好ましくない結果が報告されていることがわかりました。これらは良いほうの報告もあるとはいえ、高用量での併用は慎重に考慮しなければならないと思います。

今回の論文の著者らは、これをもって抗酸化剤全体について、がん治療時の同時併用は研究が進むまで控えるべきだ、と結論しました。がん治療時の抗酸化サプリメント併用の研究がこの程度しかないというのは、認識しておくべきです。しかしながら、現実にがんと直面している患者さんや、少しでも良い治療を模索している先生たちは、何もしないことに簡単に同意できないでしょう。少しでも有望なものがあれば試してみたいと思うのは自然な人情です。

既存の研究を一覧したとき、メラトニンのデータは印象的です。文献4(注)を除いて同じ研究グループのものだというのが気になりますが、もしもがん治療と同時並行して何らかの抗酸化サプリメントを服用するのなら、現時点ではメラトニンを第一推薦にすべきではないかと思います。

メラトニンは脳の松果体(図)から分泌される睡眠を司るホルモンとして知られていますが、このところがんとの関連が注目されています。検索すると、高名なテキサス大のMDアンダーソンがんセンターやスタンフォード大が、メラトニンを用いたがんの臨床試験をいま何件も平行して進めています。

ビタミンC・セレン・カロテノイド・ポリフェノールなどの抗酸化剤については、がん治療と同時併用したときの効果について、信頼のおけるデータはほとんどありません。この「抗酸化剤とがん」というテーマは今後も注目を続け、何かが分かれば直ちに掲載します。

なおがんの患者さんはビタミンやミネラルが不足がちになり、自然治癒力が損なわれます。治療中といえども常識的な量のマルチビタミン・ミネラル剤は服用し、不足が生じないようにすることが勧められます。

また抗酸化成分ががんの発生リスクを低めることは、多くのデータが示しています。予防的に、あるいはがん治療の後で服用する場合には、抗酸化サプリメントの摂取は安心してお勧めできます。

(今日のまとめ)
がん治療時に併用する抗酸化剤としては、文献的にはメラトニンが最も優れた可能性を示しています。メラトニンは日本では入手できませんが、米国ではサプリメントとして市販され、安全性は高いことが知られています。

(注)文献4の原著論文を読んだところ当初の解釈に一部誤りがあり、効果にも副作用にも有意差がなかったので、関連するところを削除・訂正しました。
(last updated 4/21/2009 H)