新婚時

あれ?と思ったことのひとつに

約束を忘れる という件と
皆の前で 破られる
という件が
合わさったことがよく起こるようになった。


約束を忘れる と
約束を皆の前で 破られる
が 似ているようで
後者のほうが
かなり痛みを伴うことを
この新婚生活で知る。




実は私は小学生低学年まで出っ歯だった。
生まれつきではない。
小学低学年の時
両親は毎日のように喧嘩をしており
グラスが割れたり扇風機が倒れたり日常茶飯事だった。
姉と二人で布団に丸まって聞いていた。

指しゃぶりが始まったのはこの頃からだと推測される。


皆さん、利き手の親指を
前歯に当ててみてほしい。そのまま口を閉じれば
まぁ いただけない
大人の指しゃぶり姿が
出来上がるわけだが
前歯に当たった親指が
成長途中の歯に 毎日毎日この状態で指が当たれば。
何気に親指が出っぱを促す形になっていることに
驚かないだろうか。

私はこれを小学二年まで続け 見事出っ歯を手にいれた。

後に気づき慌てた母により
前歯は歯科矯正され
今じゃ跡形もない。


話がそれたが
そういういきさつを
彼に話していた。



彼の実家で
義理両親と、義理兄弟と
ご飯を食べていた時だ。
何かの話で 歯並びの話と心因性ストレスの話になった。

彼は 私にニヤニヤしながら

『もちっこ、指しゃぶりの話していい?』と
両親の前で聞いたのだ。

え゛、小2まで
指しゃぶりしてたこと
言うの?

顔が赤くなる。


しかも小さい頃両親が喧嘩ばかりで
うまくいってなかった、という過程まで
知られるのは
義理とはいえ恥ずかしさは倍増だった。


しかも両親いる前で

『話していい?』と聞かれ
『だめ』なんて
言えるだろうか。


彼は許可をとっている
つもりで
もう、話すよ、と
強制しているのと同じだと
思った。


力なく私は

『いいよ…』と言うと
旦那さんは意気揚々喋りだした。


どうして人の しかも妻の 恥ずかしい話を
こんなに嬉しそうに話すのか


泣きたかった。

義母は何かを感じたのか
『若いときはよく
夫婦喧嘩するから、子供は寂しくてつい、手持ちぶさたで
指吸いするよね』

話してくれたが。


家に着き 私は旦那さんにべそをかきながら

どうして、恥ずかしいからやめようとか言う感覚ないの
と訴えると
その時旦那さんは
そんなつもりはなかった
ごめん、とすんなり謝った。


ここで終われば
普通の夫婦間の行き違い、話し合えて
終わり、だったんだろう


しかし甘かった。
信じられないことに

その後も
旦那さんは約束を忘れ

旦那さん兄弟の前でも

何故か
うち両親とのお正月にも
この話を楽しそうにした。

うち両親の時は頭は
真っ白だった。
うち両親は 自分達の不仲のせいで娘は不安定になり
暫く指しゃぶりが治らなかったことを
責任を感じていたんだと思う。
だからこそ高いお金をだしてまで
歯科矯正してくれたのだ。(多分)


その当事者に
笑いながら話す旦那さんは
変な人、に見えた。


言わないで、という
約束をインプットできない
これを言えば人がどう感じる、と
先々、ということが
考えられない
宇宙人に見えた。


因みに、両親は笑いながら
『そうなんよ、もちっこ
指しゃぶり、しつこかったわー』
と言ってくれてたから
まだ良かったが。



モラハラの夫は
ものすごい勢いで
ものを忘れる

忘れられることに対しては大変過敏なのに。

自分が傷つけることは
鈍感で
傷つけられると
過敏に反応して
これでもか、と反撃される。

どの書籍にも共通していて驚いた。



この答えにたどり着くまで私は

言わないで、ということを
ちょっと言っちゃった旦那さんを許せない
こころの狭い女なんだと
苦しんでいた時期があった。


今なら分かる。

宇宙人には

約束を破られる と
約束を 皆の前で破られる
の痛みの違いなんて
分からないんだと。

だけど
自分が皆の前で笑われることが 屈辱、てのだけは
わかるんだと。




だから 今現在
モラハラを受けている妻、夫たちに
私がかけてもらいたかった言葉を言いたい。




許せないのは自分が狭いからじゃないから、
もう恥ずかしい思い、しなくていいよ