久しぶりの更新となってしまいました。一人で店をやっているとなんだかんだとやる事が多く、どれから片付けていくか考えてしまいます。



さて、今日は整体師として仕事をしていると必ずと言っていいほど直面しなくてはいけない、一番辛い瞬間のお話です。


以前にも何度かお話した事がありますが、『整体』と一言で言っても様々な整体があります。

・筋肉をほぐすマッサージ風整体 ・バキボキと骨を鳴らす整体 ・中国式整体 

・マニュアル整体 ・電気治療 etc 


今日はどれが良いか悪いかの話ではありません。私の行っている整体は完全なる『身体改善』整体だ、という事です。法律上『治療』という言葉を使ってはいけないので『改善』と言っています。ですので、『改善』できなかった時、言い方を変えると『改善が身体的に不可能』と判断する時、整体師としてとても辛く、疲れがどっと出ます。



私の師匠の一人である朱鯨亭の別所先生は、『1日10人施術しても全く疲れない。むしろ、治せなかった時にどっと疲れが来る』とおっしゃっていました。私は10人施術すればとっても疲れます。ですので、まだまだ無駄な力を使っているのでしょう。しかし、治せなかった時にどっと疲れが来るのは同じです。


昨年より、股関節痛の改善の為当院へ通っておられた方がいました。まだ、50代半ばの女性の方です。仮にYさんとしておきましょう。

Yさんは歩くのもままならないくらいの痛みで、歩く姿もとても痛々しく初めて来院された時、姿を見ただけで相当な痛みがある事が分かりました。


股関節の痛みは骨盤の変位により来る事が多い。Yさんの骨盤も例外ではなくとても大きな変位を起こしていました。その度合いも通常では考えられないくらいの大きな歪みです。


「やはり骨盤が思っていた通りずれていた。lこれを修正できれば痛みは消えるだろう」


最初はそう思っていました。とても大きなズレなので修正に数回掛かりました。その都度、施術後は楽になられるのですが、1週間後には痛みが再発している。しかし骨盤のズレは回数を重ねる毎に改善されて来ている。


おかしい・・・  骨盤の改善に比例して痛みも改善していくはず・・・


こういう場合は根本の原因が他にある事になります。Yさんは全身に歪みがあります。当然、歩く姿勢が良くないので全身が歪んで来る事は想像できます。ですので、時間を掛け足首から首まで全て矯正していかないと行けない。


通って頂く事約5ヶ月間。歪みは8割改善、しかし痛みは変わらず。

朱鯨亭の別所先生の力をお借りする事になり、Yさんを別所先生に診て頂く事に。


結果は、「股関節の繋ぎ目部分の骨に異常があるだろう。これは整体の範囲を超えています」

 

やはり私の観察力不足。Yさんになんと言えばいいのか。。。


数日後Yさんが当院へお越しになりました。お話の中で、

「今後は整体では治す事は出来ない、申し訳ない」と伝えました。

この瞬間がこの仕事をしていて一番辛く苦しい瞬間です。当然、神の手ではないので治せない症状などあって当然。整体を過信している訳でもなく、治せないものもあると頭では分かっていても、やはり力になれなかった事が申し訳なく思ってしまう。

特に最近は切羽詰った方の来院が多い。


「治してあげたい」 「楽になって欲しい」 「笑顔で帰って欲しい」


思いが強過ぎる為か、私自身のダメージも大きいものです。


こうした経験を次の糧とし成長していくものですが、糧となってしまう患者さんを少しでも減らしたい。

整体師とは、皆さんが思っている以上にメンタルな仕事です。体力仕事の様にも見えますが(勿論体力は要ります)実の所、精神的な疲労の方が大きいのです。


Yさんはかなり落ち込んでおられた様子で黙っておられたが、帰り際には

「前向きに治してもらえる病院を探します。これを期に気持ちを切り替えられる。」

と言って下さいました。


いつか元気な姿のYさんとお会い出来る事を心から願っています。