◆対談要約 マクドナルド原田泳幸氏 × ユニクロ柳井正氏 | Dai Atsuta 's BLOG │ 熱田大のブログ

◆対談要約 マクドナルド原田泳幸氏 × ユニクロ柳井正氏


2011年9月9日の日経MJの対談記事より、要点を備忘録的にログアップいたします。



【マーケティングで大切にしていること】

◆消費者は不景気ほど注意深く消費する。
すると大部分は売れなくなり、売れるものは非常に売れる一極集中状態が起きる。
自社ブランドがこの一極集中に入るように目指さなければならない。
消費を活性化させるような新商品を開発しなければならない。
[柳井正]

◆苦しい時に新しいことをしても投資効果は出ない。
基本を徹底的に見直し、質の高い経営をするしかない。
[原田泳幸]


【商品開発の鍵】

◆ヒットを生むには消費者の期待を超えること。
「こんなものがほしい」という通りでは売れない。
◆商品コンセプトや作り手の情熱など、目に見えない会社の生き方や姿勢が商品やマーケティングに表れていないと買ってもらえない。
[柳井正]

◆リサーチだけで商品計画を立てない。
ニーズのキーワードをよそに、クォーターパウンダーが売れたりする。
◆商品力以外に作り手の情熱が相当影響する。
消費者に商品を届けたい、という情熱が結果に繋がる。
[原田泳幸]


【最大の経営課題】

◆グローバル競争の顔ぶれは決まってきているので、決着が着くのはこの10年と見ている。
ブランド戦略も国別に変えないで推めるから強みが発揮できる。
日本と世界と根本的な考え方は同じでなければいけない。
◆わかっていない人は全体の1~2割に過ぎない部分を気にする。
本質的に8~9割は同じ。
翻訳と同じで直訳してはいけないが、マーケティング的に伝えたい本質は世界一緒であるべき。
◆ブランドは企業全体そのもの。ヒト、モノ、カネすべて。
極論すると店舗のトイレから従業員の表情まで、すべてのイメージと商品そのものを評価してもらうことで買ってもらえる。
[柳井正]

◆マクドナルドの強味はグローバルワンチーム。
「世界で売れるもの」しか「日本で売れるもの」にならない。
◆グローバルブランドとして成功したい企業はすべて国籍を持っている。
トヨタは日本国籍。ナイキは米国籍というように。
[原田泳幸]


【ブランドの強味】

◆ブランド政策にはトップ自ら関わるべき。
マクドナルドにはいまだに創業者レイ・クロックのDNAが残っている。
創業者のDNAが残っている企業は強い。
◆アップルストアの従業員にはマニュアルもトレーニングもない。
カリフォルニアのクパティーノ本社に派遣し、空気を吸わせるだけでアップル大好き人間に生まれ変わる。
[原田泳幸]


【グローバルブランドとして目指すもの】

◆グローバルブランドは認知度だけでなく生活の中に染み込んでいる。
ビーフと考えた時にまずマクドナルドが出てくる「ファーストチョイス」であること。
また、ブランド名を聞いてすぐに思い浮かぶ「トップオブマインド」であること。
[原田泳幸]

◆世界中どこでも誰でも知っているブランドにしたい。
ベーシックカジュアルをグローバルブランドとして極めたい。
[柳井正]


【経営方針を伝える】

◆経営方針を伝えるということは砂上の楼閣造っているみたいなもの。
間接ではなく、メールや朝礼を使って直接伝達しないとダメ。
販売員はSVやブロックリーダーを介せず、本部と直接話をしないと、どうしてもバイアスが掛かる。
◆全員経営を言っている。
小売業は店頭に立つ人が経営者だったら一番いい。
経営者のつもりで販売すれば成長する。
[柳井正]

◆伝わらない最大原因は階層組織。
ちょっとおかしいと感じたらすぐに店に行くようにしている。
クルーと話すとすぐにわかる。
お客様も嘘をつかない。
売上情報よりもカスタマーセンターの情報をよく見ている。
先般「店内が暑い」というクレームが1件あったが、温度で電話してくるお客様なんてほとんどいないので、もっと多くのクレームが内在していることがわかる。
◆おかしいと思ったらフラットなコミュニケーションが必要。
コストの掛からない場所で地区の全店長を集めて議論しているが、この方法が一番早い。
戦略はサイエンスじゃなくて現場のココロ。
一番チカラを入れているのはヒトの気持ちを変えることです。
[原田泳幸]


【経営への情熱の源泉】

◆自分が面白いと思い、世間が面白いと思ったことならば何でもできます。
経営は総合芸術。
苦しいことを面白いと思える人が経営者に向いている。
◆知らないことを知ろうと突き詰めることほど面白いことはない。
[柳井正]

◆今でも学ぶくとがあるくらい遣り甲斐があるからあきない。
お客様、社員、世の中から日々学んで、新しい考え方をして成果が出るんです。
◆採用のするときは成果ではなくラーニングスキル(学習能力)を見ます。
常に学ぶチカラがなかったら優秀な人材とは言えない。
[原田泳幸]


【後継者の育成】

◆小売業の世襲はほとんど成功していない。
一番優れた人がトップになるべき。
◆私は創業者なので、後継は1人では難しいと考えていて、3人くらいのチームでやってもらう。
[柳井正]

◆マクドナルドでは数年前から後継者育成プログラムを始めている。
『パイプライン』と称して、社員が3年以上同じ仕事をしないルール。
育成意識がないのが一番の成長への障壁。
育成意識の文化をつくることが私の一番の仕事。
◆私の後継者に関しては、それぞれの持ち場に後継者をつくっていく考え。
[原田泳幸]



以上。〔熱田〕