消費ナビ:悪質なメール交換サイトの被害が増えています。 | 芸能まとめ

消費ナビ:悪質なメール交換サイトの被害が増えています。

◆悪質なメール交換サイトの被害が増えています。

 ◇多様な名目で高額請求
 ◇無料サイトで勧誘、誘導 簡単に信用、危険
 会員制交流サイト(SNS)や懸賞サイトの中で「悩みを聞いて」などと持ちかけられ、その後、有料メール交換サイトに誘われて、高額なメール交換費用を負担させられるトラブルが増えている。メールの交換数が増えるほどサイト運営業者がもうかる仕組みで、業者に「『サクラ』を使ってメール交換を続けさせた」と返金を求めても、「サクラ」の存在の立証は困難。被害回復は難しいという。


 国民生活センターによると、有料メール交換サイトに関する相談件数は09年度が2484件で、05年度(97件)の約26倍。今年度は8月中旬までに1182件と、前年度を上回る勢いで増えている。

 05年度以降の相談者(5663件)は20~30代が約6割を占め、全体の3分の2が女性。平均契約購入額は78万円で、全体では口座振り込みなどの現金払いが5割を超えていたが、クレジットカードで支払う割合が増えているという。

   *

 無料ゲームサイトに登録していた神奈川県の30代女性は「友達になってほしい」というメッセージを受け取った。「自分は芸能人で、いろいろ相談に乗ってほしい」と書かれており、「大勢が使うこのサイトではやりとりできない」と、メール交換のたびに課金される別のサイトに誘導された。

 「芸能人」とメール交換するうち、「マネジャー」と称する人物が登場。「芸能人本人のメールアドレスを渡す」などと伝えられ、その人とも同じサイトでメール交換を繰り返した。女性は「お金がかかるのでやめたい」と何度も伝えたが、「マネジャーの上司」からもメールが届き「必ずメール交換費用は払う。芸能人を助けてほしい」と頼まれた。

 すでにクレジットカードや現金振り込みで約200万円を支払っており、その費用を返してほしくて、メール交換を続けてしまったという。

   *

 鳥取県の30代女性は、携帯電話に届いた広告メールをきっかけに、「完全無料」という出会い系サイトに、携帯アドレスを登録。すぐに、自称「会社経営者の男性」から「あなたと話がしたい。そのかわり、金銭的援助をしたい」とのメールが届いた。怪しいとは思いながらもメール交換を続けた。

 サイトは完全無料をうたっていたが、業者から「文字化け解除費用」や「システムロック解除費」などと、さまざまな名目で費用を請求された。メール相手が「迷惑かけた費用は会った時に返す。信用してほしい」などと伝えてきたのを信じ、クレジットカード4枚で約180万円を支払った。メールの相手と会うこともできず、だまされたと分かったが、「カード決済分を払いたくない」とセンターに相談を寄せた。

   *

 トラブルの特徴は、サイト業者がさまざまな名目で費用を請求し、メールの相手がサイト利用の継続を促す点だ。センターは「サイト業者が、サクラを使って、消費者に有料のメール交換を続けさせたのではないか、と考えられる行為がある」と指摘する。しかし、サイト業者は「メール交換の場を提供しているだけで、メールの内容は知らない」と主張し、「サクラ」を認めない。このため、利用者が「だまされた」と返金を求めても、業者の主張と平行線をたどるという。

 センターは「ネットで知り合ったメール相手やメールの内容が本当かどうか、確認するのは困難。簡単にメール交換の相手を信用しないで」と、呼びかけている。【遠藤和行】

毎日新聞 2010年9月30日 東京朝刊