イプシロン、宇宙に飛びたつ | 本の音色を聴こう♪

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『アナログ力のすゝめ 結果を出す人がやっているアナログ仕事術』出版


ちょいよしNO.1803
人生に一番大切なものは、逆境と良き友である





今日のちょいよし本

イプシロン、宇宙に飛びたつ/宝島社





Amazon紹介

人工知能、モバイル管制…新しい技術がつまった進化する未来型ロケット「イプシロン」その開発の全貌とは?
ロケット開発の常識をくつがえしたプロジェクトチームの挑戦の記録。



目次

1 世界の常識を変えろ!宇宙少年が目指したロケットへの夢
2 一度は辿りついた、「M‐V」という名の頂点
3 突然のM‐V引退 新しい時代の幕開け
4 だれでもロケットを飛ばせる時代へ…宇宙への敷居を下げる!
5 ロケット革命!イプシロンの目指す革新
6 イプシロンにみんなの夢をのせて



イプシロン

イプシロンってどんなロケットなの?
宇宙にあまり興味がない人でも、ニュースなどで大きく報じられたので多くの方が見たことくらいはあるだろう。



特徴ををまとめると、
①世界初、パソコン2台によるモバイル管制
②固体燃料による大幅なコストカット

の2点に絞られる。

世界のロケットの主流は「液体燃料」で飛ばす大型ロケットだ。
「個体燃料」はその出力において、液体燃料に適わず、あらゆる面で難しいと言われ続けてきた。
故にその不可能に挑戦してきた国は少ない。
日本はその中の一つであり、最も成果を上げている国でもあります日本列島

ロケットを打ち上げるための二重苦がある。
コストが高い、人数が大勢必要、この2大コストを克服できたとき、宇宙開発の歴史は大きく変わる。
その最先端を走っているのがイプシロンH-IIAロケット
日本の誇る省エネロケット、知っておかなきゃ!ですよね。



伝統と革新

固体燃料ロケット・イプシロンは、日本独自の純国産最新鋭ロケットです。
個体燃料ロケットは、液体燃料ロケット開発の追い越せ追いとは違って、日本が世界の最先端でいこうと開発を続け、M-Vロケットの成功によって、文字通り世界最高水準を確立した分野で巣。(M-Vロケットは、小惑星イトカワを探査したハヤブサを打ち上げたロケット)

このM-Vロケットも8発打ち上げた時点で打ち上げ終了となりました。
4号機の失敗があったものの、他の7機で成功を収めており、大きな成果をあげたように見えたM-Vロケットも、コスト高の問題の前にはそうせざるを得ませんでした。

代わりに開発が始まったのがイプシロンで、この開発のコンセプトは「伝統と革新」だったという。
↓↓↓
これまで積み重ねてきた高性能技術を土台としつつ、これまでのロケットの概念を変えるような革新に挑戦する

これがイプシロン開発の至上命題だったという。



チャレンジ精神

これまでのロケットの打ち上げは、大人数、長時間、多大な装置を総動員したお祭り騒ぎだった。
それをパソコン2台に人が3名という管制に革新するという。

(実際に使われたイメージ図)



本当はパソコンは1台で十分なのだそうですが、リスク管理としてもう1台を予備として設置しているのだそうです。
ロケット打ち上げの管制というと、映画で見るようなイメージを持っている方が多いと思います。
アポロ13やハルマゲドンに出てくるあのイメージですね。
これをイプシロンでは、M-Vロケット時代に80名だった管制を8名に、装置はパソコン2台に、点検はそれまで数時間要していたものを十数秒に短縮することに成功しています。

本書は、ロケット開発で一番大切なものは「チャレンジ精神」だとしています。
また、元宇宙科学研究所名誉教授の秋葉鐐三郎氏は「工学の世界は人間関係。人を大切にしなければなにもできないよ」と言ったという。

こういう言葉がロケット界の格言として残るように、個体燃料によるロケット打ち上げの挑戦はは、世界では「小さな個体燃料ロケットで惑星探査機を打ち上げることは不可能だ」と言われるほど非常識なことでした。

なぜなら個体燃料ロケットは液体燃料ロケットに比べて小型になるためパワーが限定されてしまうからです。
また、固体燃料ロケットにはエンジンがなく、一旦点火してしまうと燃え尽きるまで止めることができないため、衛星を軌道に乗せる精度という点でどうしても液体燃料ロケットに見劣りしてしまうのです。

ちなみに、はやぶさを正しく惑星軌道に乗せるために導き出された最適な打ち上げタイミングの幅はわずか1秒だったという。
少しでもずれるとその日はもう打ち上げられないという精密さeh!!
はやぶさの打ち上げは、①世界最高水準のパワー②軌道投入制度②1日たった1秒のタイミングという3拍子がそろって初めて成功するという難度だったという。(はやぶさはM-Vロケットで打ち上げられています)

一方、固体燃料にも長所はある。
短所と長所は表裏一体で、液体燃料ロケットに比べて構造がシンプルなため、開発コストが低く、短時間での開発が可能となる。
また、出来上がった個体の取り扱いも比べ物にならないくらい楽となる。


この課題をクリアしたのが日本の技術です。
特に個体燃料の製造においては樹脂と火薬の割合が肝となるが、世界の樹脂混合限界が15%ほどであるのに対して、日本では12%を実現している。(火薬割合が多いほど高性能)
また、この燃料のロケットへの充てん方法においても、自転車のタイヤ(チューブ)をパンクしにくくする「あたためると柔らかくなって充てんしやすくなる素材」技術が応用されたとのことで、まさに発想の転換(革新)によるものです。



みんなの気持ちが1つになっていること

本書の著者であり、イプシロン開発の責任者だった森田氏は、M-Vロケット終了からイプシロンに開発に転換したときの困難において、自身のマネジメント力を最大限に発揮している。

「M-Vロケットはこれで終わるが、それは新しいロケット開発の始まりだ。未来に向けて最高のロケットスタートを切ろう。7号機の打ち上げを綺麗な成功で決めよう」(M-Vロケットは全部で8機だが7号機と8号機の打ち上げ順番は前後している)

また、大きなことを成し遂げるための大切な資質として「楽天主義」を挙げています。
必ず成功するという(楽天的な)強い信念がなければ成功しないというのです。
そのため、7号機の打ち上げが成功すれば、新しい個体燃料ロケットへの道が拓けるとメンバーに毎日伝えたという。
↓↓↓
「これは新しいロケットを開発するチャンスなんだ」
「仕事はなくなるんじゃなくてむしろ増えるぞ」

日本には、ロケットの発射条件の1つとして「みんなの気持ちが1つになっていること」という条項があるのだそう。
本書の後半部分で、みんなの心がロケットに乗り移ったような完璧な打ち上げの経験が綴られ手ています。

ロケットという超科学的な分野において、「思い」という非科学的な作用が確かに存在する。
不思議なことですが、こういったことはよくあることで、世の中って面白いなぁと思います。





今日のちょいよし

人生に一番大切なものは、逆境と良き友である


小惑星イトカワの名前のもとにもなった、日本の宇宙開発の先駆者 糸川英夫氏の言葉です。
逆境の時に離れていってしまう人、支えてくれる人、この差はホント大きいですよね。





今日もいいことが学べてラッキー
着実に進歩しました
最後までお読みくださり感謝


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