無線機や受信機を自作しようとした場合、同調コイルの調達が、生産性を上げるために必要になる。
FCZ研究所が寺子屋キットのスピンオフ製品として出したFCZコイルが、ハムバンドの同調コイルとして最も有名だが、近年、生産が終了して、入手しづらくなった。
このFCZに変わるコイルとしては、AMZが一般的で、一通りのハムバンドを揃えているので、これに代替する人も多く、私もその一人だ。
AMZの欠点(?)は、L1-3間の2番ピンが、センタータップになっていていることだ。
FCZは、この点でL2-3間をバイファイラで巻いてあり、アイソレーションされている。
中間から電力を取り出す、あるいは与える場合は特にAMZで問題ないのだが、トリファイラ仕様のトランス替わりに利用することが出来ない。
そのため、DBMやSBMで、このコイルを伝送トランスとして使用出来ないということらしい。
JF1RNR今井OM設計のトランシーバは、送信側のミキサにSBMを多用し、そのトランスにFCZコイルを使うようになっているため、回路をフルコピーで製作する人々にとって、そこがハードルになる。
まず、AMZコイルで挑む人が出てくるわけだが、これは今井OMが、ご自身のブログで紹介しているように、AMZはSBMでは使えないため、このコイルで代替しようとすると、組み上げてもトランシーバが正常に動作しないというわけだ。
そこで、キットメーカー、パーツショップが、FCZコイルの構造をほぼ再現した互換コイルを出荷・販売してくれている。
http://calibration.skr.jp/shouhin_list/hamband-coil.html
こちらはアイテック電子研究所のALコイル
6mAMマンたちには非常に有名なキットメーカーのもので、バンド幅が豊富。
同バンドを最も得意としているだけあり、AL50コイルだけが、T2は1回巻でFCZよりもインピーダンスの高い仕様になっている。
通常、T2は出力側になるので、この仕様の方が効率が良いのだろうか。
ALコイルには、IFになる455KHzの他、10.7MHzの仕様も存在する。(FCZにもあった)
今回、私の回路でも10.7MHz同調が数ヶ所存在するが、AMZの14MHzコイルを当てているので、このコイルに変えても良いかも知れない。
http://www.maroon.dti.ne.jp/satodenki/l.html
こちらはサトー電気のオリジナルハムバンドコイル (少し下の方をスクロール)
ALコイルと全く同じ値段、ほぼ同じ仕様。(まあ、ベースがFCZコイルだから。。。)
サトー電気さんらしく、データシートも硬派な、中国生産工場のシートそのままを使用。
こちらは、144MHzを除いて、全てバイファイラ巻である旨の表記あり。
こうして、ほぼ完全な形で互換品が出てくるということは、自作熱もまだまだハムたちの間では健在だということなのだろう。
私は、ミキサー用の伝送トランスには、FB801にトリファイラ巻の簡易自作コイルを使用しているので、あえてFCZ完全互換である必要がなさそうに思えるが、近々、購入してみたいと思う。
同じ回路で、それぞれ使用してみて、どう違ってくるのか見てみたいからだ。