アベノミクスは消費税5%でも失敗していた | いわき市民のブログ I am An Iwaki Citizen.

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ベルトルト・ビレヒト: ガリレイの生涯、第13幕

アベノミクスは消費税5%でも失敗していた

http://toyokeizai.net/articles/-/57594


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なぜ「リフレ派」の見解は間違っているのか

実のところ、2014年4月の消費税増税を実施しなかったとしたら、4-6月期のGDPが確報値でマイナス7.1%(速報値はマイナス6.8%)という悪い数字にはならなかったでしょう。

しかし、ここで私が問題に思うのは、リフレ派の識者のなかには、4-6月期のGDPの結果を受けて、「アベノミクスは消費税増税のせいで失敗するかもしれない」と予防線を張る方々が増えて来ているということです。

彼らの言い分としては、個々のニュアンスの違いはあれ、「2013年度のGDP成長率はプラス2.3%を記録し、民主党政権下にあった2011年度のマイナス0.3%、2012年度のプラス0.7%に比べても大きく伸ばすことができた。消費税増税がなければ、2014年度も同じ程度のプラスを続けていたはずだ」というものです。

ところが、この見解が間違っているのは、消費税増税があったからこそ、駆け込み消費により2014年1-3月期はプラス6.0%という高い成長率を達成できたのであり、この1-3月期の高成長が2013年度の成長率をおよそ2倍強に引き上げているということです。

つまり、消費税増税がなかったら2013年度のプラス2.3%という成長は半分以下になっていた可能性が高いのです。

さらには、2014年1―3月期に続く4-6月期や7-9月期の成長率も、たとえ消費税が上がらなかったとしても、円安インフレによる実質賃金の低下が悪影響として徐々に表れてきて、プラス成長を継続するのはほとんど不可能ではなかったのではないでしょうか。

安倍政権や黒田日銀はタッグを組んで、消費税増税を実現するために株高を演出する経済政策および金融政策を実行してきました。公共投資を大幅に増やしたし、大型の補正予算まで行ってきました。

異例とも言うべき、政府、経済界、労働界の代表者が話し合う「政労使会議」を開催し、経団連に加入する企業に対して「賃上げをしない企業は、企業名を公表する」と半ば脅して、ベアの大幅な引き上げも達成することができました。ですから、消費税増税は、アベノミクス失敗の根本的な理由にはなりえません。


国民は実質賃金下落に苦しんでいる

そもそも物価上昇率に占める消費税増税分2%(=2%の根拠は、物価指数の算出対象となるモノやサービスのうち、課税対象となるものがおよそ7割を想定し、したがって、消費税引き上げ分3%×0.7で、およそ2%になるというものです。ただし、すべての企業が消費税引き上げ分3%の価格転嫁をしたわけではありませんので、実感としては2%を下回っているのは間違いないでしょう)を差し引いても、国民の実質賃金を3カ月平均で見ると、2014年4~6月期では前年比でマイナス1.4%(本来はマイナス3.4%)、7~9月期ではマイナス0.6%(本来はマイナス2.6%)となっています。

また、実質賃金を単月で見ても、直近の10月はマイナス0.8%(本来はマイナス2.8%)、11月はマイナス2.3%(本来はマイナス4.3%)となり、17か月連続で下がってしまっています。

何が言いたいのかというと、円安が進む過程ではタイムラグを置いて実質賃金が下がる傾向が強く、その結果、2013年7月以降の実質賃金は安倍政権の誕生前よりも下がってしまっているということです。

このことは、リーマン・ショック時の特殊な時期を除けば、安倍政権前のデフレ時のほうが、実質賃金の下落率は小さかったという事実を示しています。

そういった事実を直視すれば、リフレ派は、アベノミクス失敗の理由を消費税増税のせいにするでしょうが、そのような責任転嫁が認められるはずがないのです。