東電が独自賠償基準 転居時に打ち切り | いわき市民のブログ I am An Iwaki Citizen.

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ベルトルト・ビレヒト: ガリレイの生涯、第13幕

東電が独自賠償基準 転居時に打ち切り
http://blog.livedoor.jp/home_make-toaru/archives/7558939.html

福島第1原発事故の被災者に対し、東京電力が立ち入り制限区域から転居した時点で賠償を打ち切る独自の基準を作成していることが、毎日新聞が入手した内部文書で分かった。国の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)が定めた指針では、転居後も賠償を継続し「立ち入り制限の解除から約1年後」まで支払うとしており、基準はこれに反する。東電は一般には公表していないこの基準を経済産業省資源エネルギー庁に提出。エネ庁は内容を容認しており、不当な賠償額の減額に「お墨付き」を与えている実態が明らかになった。【高島博之、神足俊輔】

指針に反する基準の作成が発覚したのは初めて。毎日新聞の報道で、東電は少なくとも15人の社員に対し、いったん支払った賠償金を返還請求している実態が明らかになっているが、この基準を適用したためとみられる。

内部文書は2012年12月作成の「本賠償の終期の考え方」。A4判3枚で、事故前の居住形態を(1)持ち家(2)借家(3)実家に同居--で3分類し、それぞれの精神的損害に対する賠償(1人当たり月10万円)の終了時期を示している。(1)の場合は国の指針通りだが、(2)と(3)は、転居した時点ですぐに賠償を打ち切る独自の基準になっている。

エネ庁原子力損害対応室によると、東電は13年1月、この文書を同室に持参し内容を説明した。同室は毎日新聞の取材に「(基準は)避難生活を余儀なくされた期間の考え方を整理したもので、内容に納得している」と話す。一方、原賠審の委員の一人は「文書の存在は知らないし、東電から説明も受けていない。賠償を避難指示の解除前に打ち切ることや、居住形態で被災者を区別することは指針に反する」と批判した。

東電はこれまで一般の被災者に関しては、社員に対するような賠償金の返還請求はしていない。しかし関係者によると、東電はエネ庁に対し「基準は社員だけを対象にしたものではない」と説明しているという。原賠審を所管する文部科学省原子力損害賠償対策室は「一般の被災者も(社員同様)後になってから返還を求められると、大変な騒ぎになる」と懸念を示した。

東電広報部は基準について「公正かつ適切」と主張。そのうえで、「社員か否かで賠償の考え方を変えていない。事故前の居住実態や事故後の居住状況などを確認し、適切に対応している。(一般の被災者でも)事実関係に誤りがあれば精算(返還)をお願いする」と回答した。

◇原発事故の賠償と指針

原発事故による賠償問題が起きた場合、原子力損害賠償法に基づいて設置されるのが原子力損害賠償紛争審査会。法律や原子力工学などの専門家10人以内で構成され、賠償範囲を定めた指針を策定する。福島第1原発事故を巡っては、原賠審が2011年4月に設置され、同8月に中間指針が策定された。原賠法は指針を「紛争当事者による自主的な解決に資するもの」と位置づけており、東電の清水正孝社長(当時)は同5月、国会の参考人質疑で「指針に基づいて公正・迅速に対処する」と述べている。

◇被災者支援が置き去りに

東京電力が社員に賠償金返還請求を行う根拠が、内部で作成した非公表の基準にあったことが判明した。東電自らが一般被災者に適用する可能性を認めており、国はただちに東電の姿勢を改めさせるべきだ。

問題の背景には、原発を国策として推進しながら、賠償責任は民間に負わせる「国策民営」の原子力政策がある。東電は民間企業であり、できるだけ賠償額を絞り込もうとするのはある意味当然だ。それを監視すべき国が、不適切な基準を容認すれば、最も大切にされるべき被災者救済が置き去りになってしまう。

東電に賠償資金を「援助」するため、2011年に施行された原子力損害賠償支援機構法の付則では、賠償に関する国の責任を明確にするため「原子力損害賠償法の改正など必要な措置を講じる」とした。さらに、国会の付帯決議(11年8月2日)で、原賠法改正を1年後をめどに行うとしたが、「約束」を果たそうという動きはまったくない。

政府は今夏にも原発再稼働を目指す。しかし、原発事故で安全神話が崩壊し、無事故を前提にした制度設計は許されない。原発を動かすなら、国が最終的な賠償責任を負うのか。議論抜きで前のめりになることは許されない。【高島博之】

東電が独自賠償基準

毎日新聞 2月23日(日)5時30分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140223-00000011-mai-soci
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