環境基本法改正と原発公害 法律問題の基礎要点 | いわき市民のブログ I am An Iwaki Citizen.

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「真実を知らない者は愚か者でしかない。
だが、真実を知っているにもかかわらず、それを嘘という奴、
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ベルトルト・ビレヒト: ガリレイの生涯、第13幕

東電幹部の告発状提出 第一原発汚染水流出で
http://www.minpo.jp/news/detail/2013090410685

 東京電力福島第一原発事故をめぐり、東電幹部や政府関係者の刑事責任を追及している「福島原発告訴団」は3日、東電と広瀬直己社長ら現・旧幹部32人を公害犯罪処罰法違反容疑で県警に告発状を提出した。
 告発人は武藤類子団長(三春町)ら県民3人。告発状によると、同社と幹部らが(1)原発事故の収束作業で適切な対応を取らず、地上タンクから大量の高濃度の汚染水を海に漏えいした(2)原子炉建屋地下に流れ込んだ地下水が、放射性物質に汚染されたことを認識しながら対策を怠り、1日当たり300~400トンの汚染水を海に排出した-としている。
 武藤団長は同日、県庁で会見し「東電は経営を優先し遮水壁設置など適切な対策を取らなかった。深刻な海洋汚染を引き起こした責任や経緯を明らかにしたい」と述べた。告訴団は今後、告発人への参加を呼び掛けていくという。
 県警は「告発状の内容を検討し、受理するかどうかを判断する」としている。東電は「コメントを差し控える」とした。
 告訴団は昨年6月と同11月、原発事故で多くの住民を被ばくさせ、住民らに傷害を負わせたなどしたとして、東電幹部らを業務上過失致死傷などの容疑で福島地検に告訴・告発した。検察当局が捜査を進めている。

( 2013/09/04 08:32 カテゴリー:主要 )




環境基本法改正と原発公害 法律問題の基礎要点
http://blog.goo.ne.jp/zzyukio8989/e/885c9fefbf7fd229dd1778029176439d

1-1 いつ、どのように環境基本法改正がなされたのか。

  2012年6月20日環境基本法13条の放射性物質を適用除外とする規定の削除法案が国会で成立27日公布されました。異常なことに新聞もテレビも全く報道していません。この法案は「原子力規制委員会設置用案」の附則として提案され可決成立したものです。附則だから軽視ししてよいなどというものではありません。それは立法過程の形式に過ぎません。今後の放射能汚染政策にとって原子力規制委員会の設置などより遙かに重要です。 (6月20日成立 。6月27日公布です。再訂正しました。)

 削除された規定 「放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、原子力基本法(昭和30年法律台186号)その他の関係法律の定めるところによる。」(第13条)

1-1-2 第183国会の大気汚染防止法、水質汚濁防止法などの改正
上記改正案(「放射性物質による環境の汚染のための関係法律の整備に関する法律案」)は2013年6月17日参院で可決され成立しました。放射性物質関係条文の問題点などは下記の通りです。

*大気汚染防止法
・第27条(放射性物質適用除外条項)削除。
・第22条3項加入「環境大臣は、環境省令で定めることにより、放射性物質(環境省令で定めるものに限る。第24条第2項において同じ。)による大気の汚染の状況を常時監視しなければならない。」
・第24条2項加入「環境大臣は、環境省令で定めることにより、放射性物質による大気の汚染の状況を公表しなければならない。

*水質汚濁防止法
・第15条3項「環境大臣は、環境省令で定めることにより、放射性物質(環境省令で定めるものに限る。第17条第2項において同じ。)による公共用水域及び地下水の汚濁の状況を常時監視しなければならない。」
・第17条2項加入「「環境大臣は、環境省令で定めることにより、放射性物質による公共用水域及び地下水の水質の汚濁の状況を公表しなければならない。」

*環境影響評価法
・第52条1項(放射性物質適用除外条項)削除。

*その他の法律改正 南極地域の環境の保護に関する法律第24条(放射性物質適用除外条項)削除や、大気汚染防止法などの改正に伴う地方自治法の改正などがあります。

<解説1>環境基本法改正に伴い、国が行わなければならない法整備
環境基本法に則して、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染について、放射性物質に関する法整備をしなければなりません。ポイントを整理しておきます。

ア 重要なポイントは次の3点です。
① 環境基準(環境基本法16条1項)と、規制基準(環境基本法21条1項)を定める こと。
常時監視体制を整備すること。(環境基本法21条1項)
違反に対する行政処分や罰則を定めて順守させること。(個別法に規定されます。)

イ 環境基準と規制基準
① 環境基準 「人の健康を保護し及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準です。(環境基本法16条1項)
  この基準は行政の努力達成目標です、具体的法的強制力はないと言われておます。(判例・学説)。しかし、実務的には、この基準を達成するための政策が実施されているので軽視できません。
② 規制基準 「事業者の遵守すべき基準」(環境基本法22条1項)。具体的法規性があり、法律による強制力を持ちます。違反には操業停止のような行政処分や刑事罰があります。排出基準と表現されることもあります。

*上のように2段構えになっています。水質汚濁防止法の例で示します。
・カドミウム    環境基準=リットル0.01㎎以下 規制基準=リットル0.1㎎
・アルキル水銀  環境基準=検出されないこと    規制基準=検出されないこと

ウ 常時監視
  基準を守らせるには汚染状況の把握が重要です。常時監視は国の義務です。(環境基本法29条)。通常個別法で都道府県や市などの自治体に行わせています。

エ 行政処分や刑事罰による強制
  大気汚染防止法のばい煙排出規制の例を紹介します。
①施設の改善その他の措置命令などの行政処分(9条、9条の2)。
 命令違反は、1年以下の懲役又は百万円以下の罰金(33条)
②排出基準違反、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(33条の2)

 ここで、刑事罰の重要性について触れておきます。実際の検挙数が少ないことなどを理由に、刑事罰を軽視したり、行政指導を重視する考えが根強くあります。このような考えは、事業者や行政に「強制力がないから」という口述を与え、公害は犯罪であるという「公害国会」の成果を後退させることにつながります。行政周辺から常に流出する考えです。注意しましょう。

オ 改正された大気汚染防止法も水質汚濁防止法には、肝心な環境基準も規制基準もありません。常時監視は国がやることになっているので、これまでの法の空白と何も変わっていません。

<解説2>定めるべき環境基準と規制基準は
① 放射性物質について、大気汚染防止法も水質汚濁防止法も、環境基準は、年0.05ミリシーベルト、規制基準は年1ミリシーベルト、これを超えてはなりません。
  公衆の被爆基準は、これまで国際的な基準を取り入れてきたものがあります。
  環境基準に相当する、努力目標の基準は0.05ミリシーベルトです。昭和50年5月13日原子力委員会「発電用原子炉施設周辺の線量目標値に関する指針」に定められています。
  規制基準は、周知のように、原子炉等規制法や放射線障害防止法の定める年間1ミリシーベルトです。公害規制である以上これを超えてばらまいた者に罰則を定めるのは当然です。

*国民を守るべき法整備を「なまけながら」国は再稼働に動いています。国会、政府、関係省庁、都道府県などに、法整備をなまけるな、環境基準・規制基準を作れ、罰則を定めよ、汚染まみれを許す欠陥法で再稼働するのはやめろ、と声をあげていきましょう。    <解説1,2終了>

・・・



2012年(平成24年)9月19日に環境基本法が改正施行され、これまで適用除外とされていた放射性物質を公害物質と位置づけることとなった[1]。
原子力規制委員会設置法(平成24年法律第47号)附則第51条

http://www.nsr.go.jp/nra/gaiyou/data/sinkyu6.pdf